トラウトが水面を割る“ガボッ!”にシビれる――「トップウォーター」の釣りはロマンの塊だ
●目で見て感じるトップに夢中
フィッシュイーターにとって水面は、人間や鳥など外敵の潜む地上と水中を分ける境界線。近づくことは命がけのため、水面で勝負する「トップウォーター」は難易度が高いとされ、一匹の価値を重く感じずにはいられないゲームといえます。
群馬にある「アングラーズエリアHOOK」のマネージャーの中林大佑さんは「トラウトは普段、水面に撒かれるエサのペレットや落下した虫などを食べています。そのため、何か落ちてこないかという意識が常に水面に向いているため、条件さえあえばむしろトップが釣りやすいんです」と説明します。
●トップウオーターゲームが成立しやすい時合は?
トップウォーターに適したシチュエーションは、基本的にトラウトの活性が高い時間帯です。
「曇りや朝夕のローライトの時間帯や、風が吹き始めたときがチャンスです。強い風で水面が荒れていたり、水の濁りがきつい場合は音でアピールできるラトル入りやポッパーが有効です」(中林さん)
●初心者が選ぶべきはリップつきプラグ
中林さんがトップゲームの初心者に推すのがティモンの「デカミッツDRY」。リップのついたクランクベイト系のルアーですが、表層攻略に特化したモデルです。今回は鉄板トップウォータープラグの「デカミッツDRY」を使ってルアーの動かし方を解説してもらいました。
●放置で釣れる「ほっとけメソッド」
「トラウトはルアーの着水と同時にバイトする“落ちパク”が意外と多いもの。あえて動かさないという「ほっとけメソッド」と呼ばれる技があるくらいです」(中林さん)
落ちパクで出た魚を確実に掛けるため着水の瞬間に集中するのも大切。
「着水時にラインがたるまないようにするのがキモで、着水直前に指先でラインにブレーキをかけるサミング(フェザリング)を行い、すぐにリールを巻けるように即ベールを返すようにしてください」(中林さん)
●ただ巻き&シェイク巻き
「積極的にルアーを動かさず、リールを巻き続けるただ巻きも定番です。水面に引き波が立つギリギリの超スローから徐々に速度を上げていきます」(中林さん)
ただ巻きで反応が薄いようなら、ルアーを震わせるシェイクの動きを加えてみるのも手。ロッドの先で軽くラインを弾くのがコツで、広範囲をテンポよくチェックできるだけでなく、強めの雨などでも効果は絶大なのだそうです。
●強弱のトゥイッチの使い分け
「短いコンパクトなロッドワークでルアーの向きを左右に振らせるトゥイッチ。「直線的に動かすのではなく、移動距離を押さえながら首を左右に振る“ドッグウォーク”アクションが最近よく効くようになったと感じます」と中林さん。
大切なのは、食わせの間(タイミング)を作ってあげることで、ルアーをトゥイッチさせるたびにステイを入れる“1アクション・1ワンステイ”にトラウトは弱いとのこと。
雨や風で水面が波立って魚が沈んでいるシチュエーションでは、ルアーの存在を気づかせるような強めのトゥイッチが効果的だそうです。魚を寄せる強めのアクションと、食わせの間を生む弱めアクションを組み合わせると絶大な効果を生むことがあります。
●リーリングにメリハリを効かせるデジ巻き
「デジ巻きは、ロッドを固定したままリールをグリっと巻いてピタリと止めるメソッド。柔らかめのロッドや伸びの大きなナイロンラインなど、初心者向けのタックルでもメリハリのある動きが可能です」(中林さん)
ハンドルを半回転させるのと一回転させるのとでは釣果に大きな差が出ますが、最初はリアクションで食わせる早めの一回転、反応がなければ食わせの間を入れられる1/2回転、1/3回転と変化をつけてあげます。
●クリア系カラーがトラウトを惑わせる
アクション同様に大切なのがカラー。トラウトは基本的に腹ペコなので、水面に浮かぶ物体に対し「エサだといいな」「エサに違いない」と思っているもの。
「ですが、同時に『不自然だから食べないほうがいい』という警戒心も捨てきれません。食べるかスルーかでせめぎ合うそのとき、クリア系ルアーは水面の波紋に揺られてシルエットがボヤけるため『エサじゃない』という理性に、『食べたい』欲望が競り勝って水面のルアーに飛びかかると考えられています」(中林さん)
クリアー系のバリエーションを用意しておけば間違いないですし、余裕があればエサのペレットに似たブラウンやオリーブ系、ローライトでも存在感を演出できる膨張色の白パール系も揃えておくと完璧なのだとか。
「目で見て楽しめるのがトップの醍醐味なので、自分好みのカラー探しも楽しんでほしいですね」と話してくれた中林さん。水面にレンジを限定しているので、むしろ初心者でもとっつきやすいのがトップウォーターゲームのようです。