VAGUE(ヴァーグ)

ボルボはなぜ長距離運転でも疲れない? 九州で2日間走行してわかった「クルマづくりの思想」とは?

1日目:V90PHEVとXC40のマイルドハイブリッドモデルで平戸へ

 春の九州で、ロングドライブを楽しみました。お供に連れ出したのは、2023年モデルの最新型ボルボ4台となります。

 初日は売れ筋のコンパクトSUV「XC40」と大きめのワゴンである「V90」の2台を交互に運転しながら、福岡から西に向かうことにしました。

  • ボルボ「XC40 Ultimate B4 AWD」(手前)と「V90 Recharge Ultimate T8 AWD Plug-in-hybrid」

 旅の始まりにあたり、まずは神社に行き、安全を祈願しようという話になり、福岡空港からほど近い筥崎宮(ハコザキグウ)に向かいました。こちらは延長元年(923年)創建の歴史のある神社で、地元ソフトバンクホークスはこの神社で優勝祈願をしているようです。もちろん我々は交通安全祈願をしました。

  • 福岡市東区箱崎にある神社「筥崎宮」。日本三大八幡宮のひとつ
  • 「敵国降伏」の扁額。元寇の際に亀山上皇が祈願したという

 旅先の駐車場でクルマの乗り降りをするときでも、ボルボの良さは感じられます。

 ドアはバスッという上品な閉まり音なのが、筆者が好きなポイントです。ガチャンという金属音が聞こえないということは、高級車であるV90だけでなくコンパクトなボディのXC40でも同じです。こうして乗り降りするだけでも、ボルボがしっかりしたボディを持っていることが感じ取れます。

 まずハンドルを握ったのは、ワゴンモデルのV90。試乗車のグレードは、「V90 Recharge Ultimate T8 AWD Plug-in-hybrid」という長い名称からわかるとおり、プラグインハイブリッド車です。

 福岡PayPayドームを横目に見ながら、福岡都市高速を快適に走っていきます。アダプティブクルーズコントロール(ACC)をオンにしてみると、交通の流れに合わせて違和感なく走ることがわかります。このあたりの快適性は、ボルボ車が他メーカーよりも一歩リードしているところです。

 西に向かって行くと唐津に近づきました。ここから北に行くと呼子は近いです。その昔、呼子のイカを食べるためだけに来たことを思い出しました。

  今回は西九州自動車道の終点から伊万里道路でさらに西に向かいます。

 V90 T8プラグインハイブリッドは、18.8kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーにより、電気モーターでも駆動することができます。前:165Nm/後:309Nmという最大トルクを発揮でき、モーターだけで走ることも可能です。もちろんエンジンをアシストすることもでき、アクセルペダルの踏み込みに対して遅れなく加速してくれる感じが気持ち良かったです。

 PHEVなので、外部から200Vで充電することもできますが、走りながら回生ブレーキで充電したり、走行モードの切り替えにより駆動中のエンジンで充電したりすることもできます。

 一般道を走っていると綺麗な道ばかりではありません。路面の段差や舗装が荒れたところもありますが、V90は剛性感のあるしっかりしたボディとタイヤの当たりの丸さ、しなやかに動くサスペンションストロークによって高級車らしい快適性を保っていました。

  • ボルボ「V90 Recharge Ultimate T8 AWD Plug-in-hybrid」の走り

 焼きもので有名な伊万里市を通過し、松浦市まで来ました。ここでは「道の駅松浦 海のふるさと館」に立ち寄り、昼休憩をしました。

 ロングドライブでは、途中で休憩したり食事をとったりしますが、全国で1204駅(国土交通省資料から)ある道の駅が便利です。ローカル色豊かな道の駅では、その地方の特産品もあるし、食事も楽しみです。

 ここ松浦は「アジフライの聖地」といわれているそうなので、ここで昼食をとることにしました。もちろんアジフライ定食です。ふわふわで分厚いアジフライは、これまで食べたもののなかで一番美味しかったです。

  • 道の駅松浦 海のふるさと館で食べたアジフライ定食(600円)。脂が乗っていて美味しい
  • 松浦は「アジフライの聖地」と言われているそうだ

 お腹を満たしたところでさらに西に向かいます。ここでXC40に乗り換えます。

 このXC40、試乗車は「Ultimate B4 AWD」というグレードです。197馬力・300Nmを発生する2リッターガソリンエンジンに10kW・40Nmのモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドモデルになります。

 こちらは硬めのサスペンションセッティングですが、乗員が揺すられることなく乗ることができました。

 先ほどまで運転していたV90は、ワゴンボディのため乗用車感覚の低めの位置に座りますが、XC40はSUVらしくヒップポイントが高く、アップライトな姿勢で乗ります。どちらもシートの剛性の高さとホールド性が良く、身体をしっかりと支えてくれているので、ロングドライブでも疲れず乗ることができました。

 赤い平戸大橋を通って平戸島に渡り、さらに西に行くと美しいブルーの生月大橋が待っています。生月島に渡り「道の駅生月大橋」でひと休み。

  • 生月島にあるカトリック山田教会とXC40

 薄いブルーの橋を背景に、橋の色とは対照的なデニムブルーのV90と上品なフュージョンレッドのXC40をカメラマンが美しく撮ってくれています。

Next2日目はBEVの「XC40リチャージ」とPHEVの「XC60リチャージPHEV」で高千穂へ

2日目はBEVの「XC40リチャージ」とPHEVの「XC60リチャージPHEV」で高千穂へ

 2日目は宿泊地の博多駅前から南に向かうことにしました。今度は宮崎県の高千穂神社を目指します。

 九州自動車道を南下し、熊本から阿蘇くじゅう国立公園に向い、阿蘇山周辺の山々、外輪山、内輪山の景色を眺め高原ドライブを楽しみながら高千穂峡に向かいます。

  • ボルボ「XC60 Recharge Ultimate T6 AWD Plug-in Hybrid」の走り

 今回の試乗車は「XC60」と「XC40」の2台です。

 XC60は、「Recharge Ultimate T6 AWD Plug-in Hybrid」、つまりPHEVです。初日の試乗車であるV90と同じPHEVですが、1日目はVだったのでワゴンで、2日目はXCなのでちょっと背の高いボディを持つSUVです。アルファベットの後の数字はボディの大きさを表しますので、90、60、40という大きさのラインナップのミドルクラスということがわかります。

 XC40は「Recharge Ultimate Twin Motor」と呼ばれるBEV(バッテリーEV)で、エンジンは搭載していません。ロングドライブでは途中で充電することも頭に置いて計画を立てなければなりません。

 試乗車のXC60は、XC90と同じPHEVのシステムです。エンジンの出力、トルクは抑えて燃費に振っていますが、電気モーターの出力、トルク、リチウムイオンバッテリーの容量は同じです。

 ちなみにカタログ上でバッテリーだけで走れる距離は、V90が75kmに対しXC60は81kmです。電気モーターは前後にあり、前はエンジン始動、回生、駆動の3役です。後ろは大きなトルクを発生し、発進加速を助けます。V90に対して全長は235mm短くなっていますが、全幅は35mm広く、全高はSUVらしく185mmも高くなります。そして車重は50kg重くなっています。

  • 阿蘇山の草千里ヶ浜を走行するボルボ「XC60 Recharge Ultimate T6 AWD Plug-in Hybrid」
  • ボルボ「XC60 Recharge Ultimate T6 AWD Plug-in Hybrid」の走り

 ボディの幅は多少広めでも、全長が短く市街地での取り回しも意外としやすいと感じました。

 XC60の一番のメリットはキャビンが広いことです。単純に空間容積が大きくなっているだけでなく、シートの座り方がアップライトなので、後席に乗ったときのことを考えてもセダンやワゴンボディよりも広さを感じます。今SUVが売れている理由はここなのかと、今回のロングドライブでも感じました。

 阿蘇山付近では、急激な標高差を道路が通っているので、当然ながらクネクネしたワインディングロードが続きます。

 ここではボルボのハンドリング性能の良さが安心感と運転の楽しさを与えてくれました。SUVのボディは重心が高くなりますが、XC60はロール角が小さく抑えられ、ハンドルを切ったとおりのドライバーが狙ったライン取りで走ってくれます。

 ヘアピンカーブもハンドルの切り込みに従って綺麗にクリアできます。XC40は重いバッテリーが床下にあるので、重心位置が低く常に安定感がありました。

  • ボルボ「XC40 Recharge Ultimate Twin Motor」

 長い下り坂でもフットブレーキには余裕があります。それの理由は、XC60はPHEVでXC40はBEVだから、どちらも回生ブレーキで電気モーターが発電することでブレーキがかかっているためです。つまり強いブレーキのとき以外の通常ブレーキでは機械的なブレーキ(ブレーキローターやパッド)には負担がかからないのです。

 高千穂神社に無事到着し、参拝したあとに観光名所の高千穂峡も上から覗きました。

  • 宮崎県西臼杵郡高千穂町にある国の名勝、高千穂峡
  • 高千穂神社。高千穂は神話の里だ

帰り道は飛行機に間に合うように寄り道せずに九州自動車道を北上しました。

 高速道路では、ハンドルのセンター付近の遊びが小さく、ダイレクトなハンドルフィールがボルボの共通点で大きなアドバンテージになっています。

 これは目立たない事柄ですが、これはロングドライブではドライバーの疲れを少なくし、陰で安全性を向上させることに貢献しています。安全を最優先に考えているボルボのクルマづくりの思想が、今回のロングドライブでも感じられました。

  • ボルボ「XC40 ULTIMATE B4 AWD」

Volvo XC40 ULTIMATE B4 AWD
ボルボXC40 アルティメート B4 AWD

・車両本体価格(消費税込):579万円
・全長:4440mm
・全幅:1875mm
・全高:1655mm
・ホイールベース:2700mm
・車両重量:1750kg
・エンジン形式:直列4気筒ターボ+モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:7速DCT
・エンジン最高出力:197ps/4750−5250rpm
・最大トルク:320Nm/1500−4500rpm
・モーター最高出力:10kW/3000rpm
・モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
・燃費(WLTC):14.2km/L

  • ボルボ「V90 RECHARGE ULTIMATE T8 AWD PLUG-IN HYBRID」

Volvo V90 RECHARGE ULTIMATE T8 AWD PLUG-IN HYBRID
ボルボV90 リチャージ アルティメート T8 AWD プラグインハイブリッド

・車両本体価格(消費税込):1109万円
・全長:4945mm
・全幅:1880mm
・全高:1465mm
・ホイールベース:2940mm
・車両重量:2130kg
・エンジン形式:直列4気筒ターボ+モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・エンジン最高出力:317ps/6000rpm
・エンジン最大トルク400Nm/3000−5400rpm
・モーター最高出力:52kW/3000−4500rpm(前) 107kW/3280−15900rpm(後)
・モーター最大トルク:165Nm/0−3000rpm(前) 309Nm/0−3280rpm(後)
・充電電力使用時走行距離:75km
・燃費(WLTC):14.5km/L

  • ボルボ「XC40 RECHARGE ULTIMATE TWIN MOTOR」

Volvo XC40 RECHARGE ULTIMATE TWIN MOTOR
ボルボXC40リチャージ アルティメート ツインモーター
・車両本体価格(消費税込):739万円
・全長:4440mm
・全幅:1875mm
・全高:1650mm
・ホイールベース:2700mm
・車両重量:2150kg
・電動機:EAD3−EAD3
・モーター最高出力:408ps/4350−13900rpm
・最大トルク:660Nm/0−4350pm
・総電力量:78kWh
・一充電走行可能距離:484km
・交流電力量消費率(WLTC):188Wh/km
・駆動方式:4WD
・変速機:1段固定式

  • ボルボ「XC60 RECHARGE ULTIMATE T6 AWD PLUG-IN HYBRID」

Volvo XC60 RECHARGE ULTIMATE T6 AWD PLUG-IN HYBRID
ボルボXC60リチャージ アルティメート T6 AWD プラグインハイブリッド

・車両本体価格(消費税込):999万円
・全長:4710mm
・全幅:1915mm
・全高:1660mm
・ホイールベース:2865mm
・車両重量:2180kg
・エンジン形式:直列4気筒ターボ+モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・エンジン最高出力253ps/5500rpm
・エンジン最大トルク350Nm/2500−5000rpm
・モーター最高出力:52kW/3000−4500rpm(前) 107kW/3280−15900rpm(後)
・モーター最大トルク:165Nm/0−3000rpm(前) 309Nm/0−3280rpm(後)
・充電電力使用時走行距離:81km
・燃費(WLTC):14.3km/L

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