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ボルボ新型「C40リチャージ」はなぜフロント駆動からリア駆動に変更? 進化した電動クーペSUVの走り味はどう変わった?

モーター出力もパワーアップ さらにバッテリー容量もアップした

 急速にBEV(バッテリーEV)へとシフトしているボルボが2023年3月、クロスオーバー「C40リチャージ」とコンパクトSUV「XC40リチャージ」の仕様を前輪駆動から後輪駆動へと変更した2014年モデルを発売しました。

 今回はそのうちの「C40リチャージ」の走りをレポートします。

仕様変更されたボルボ「C40リチャージ」
仕様変更されたボルボ「C40リチャージ」

 ボルボの電動化への行動は、ここ数年、めざましいものがあります。

 2017年に発表したその計画によれば、2020年以降に発表される新型車はすべて電動化するとしており、2025年には全ラインナップの約半分をBEVに、2030年には100%BEVを実現する“EV専業メーカー”を目指しているのです。

 発表当初は「ホントか?」といぶかる声も聞かれましたが、年間70万台の“小所帯”のボルボだけに、その行動はすぐに有言実行となりました。

 2020年にはさっそくMHEV(マイルドハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)による電動化を実現。そこから少し間を置いた2022年の1月には、ついにBEV第一号となる「C40リチャージ」をサブスクプランでの販売を開始。そこからは雪崩を打つように一気にBEVモデルを登場させます。

 2020年3月にはそれまでの2モーター4WDのみだったラインナップに、電池容量を減らして駆動方式も1モーターFWDとしたエントリーモデル「プラス シングルモーター」を追加。そして、5月になるとボルボのBEV第2弾となる「XC40リチャージ」を発表することで、一気に電動化への動きを強めてきたのです。

 2023年に入ってからは、今回の「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」の後輪駆動化を発表し、ボルボとしては25年ぶりとなる後輪駆動(RWD)モデルをラインナップすることとなりました。同じボディで駆動方式をFWDからRWDに変更するなんてエンジン車ではあり得ない話でしたが、それを変更できてしまうのもBEVだからこそです。

 では、ボルボはどうして従来のFWDだった駆動方式をRWDに変更したのでしょうか。

 その理由として考えられるのが、電動車ならではの大トルクをRWDなら受け止めやすいということです。これがFWDだと、たとえば急発進すれば前輪が空転したり、トルクステアによってハンドルが取られたりもしがちです。今後、モーターのさらなる大トルク化を踏まえれば、RWDの方が優位性があると判断したのではないでしょうか。

 しかもBEVの場合は中央部に重量がある大型バッテリーを搭載していることで、中央部が最も重くなり、どちらかと言えばミッドシップに近いドライブフィールが生み出されるのです。

 これを機に、両車はパフォーマンスも高められました。モーターの出力を約3%向上させ175KW(238ps)へとパワーアップ。最大トルクにいたっては従来比で約27%アップの420Nmという巨大なトルクを発生するクルマへと進化を遂げたのです。

 また、バッテリーの容量を従来の69kWhから73kWhへ約5%拡大し、これが航続距離を590km(WLTC)にまで延長していることも見逃せません。

 ただ、今回のRWDへの仕様変更により、これまで駆動方式として用意されていた1モーターのFWD車とツインモーターの4WD車はラインナップからなくなってしまいました。FWD車がなくなるのは理解できますが、4WD車までもなくなるのは残念なところ。とくに海外市場では、RWD車のほかに4WD車も設定されるということを聞けばなおさらで、できることなら4WD車の復活を望みたいところです。

Next力強い加速力と「澄んだ」ハンドルフィールは後輪駆動のおかげ
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