VAGUE(ヴァーグ)

BMWはセダンをやめない! 新型「5シリーズ」は電動仕様「i5」でも“らしさ”が濃密 最新鋭“電動スポーティセダン”の実力とは

「5シリーズ」はBMWのクルマづくりにおける基本のキ

 累計販売台数1000万台――これが、世界的な定番銘柄と呼ばれるための、ひとつの到達点であり、分水嶺なのかもしれません。

「5シリーズ」はBMWの屋台骨を支える重要なモデルだが、新型はデザインもメカニズムも意欲的に刷新してきた
「5シリーズ」はBMWの屋台骨を支える重要なモデルだが、新型はデザインもメカニズムも意欲的に刷新してきた

 ちなみにトヨタ「カローラ」はシリーズ累計5000万台超え、そして「ヤリス」は2023年、シリーズ累計で1000万台を超えました。なのに「クラウン」は700万台弱と聞けば、そのニュアンスが伝わるでしょうか。たとえ長い歴史があったとしても、ドメスティック銘柄でその殻を破るのは難しいものです。

 BMW「5シリーズ」は1972年の登場以来、過去7世代に渡って販売され、その累計販売台数は1000万台を超えたといいます。いわずもがなのアッパーサルーンですが、ひと回り小さく安い「3シリーズ」のそれが1500万台超と聞けば、BMWにとって5シリーズの貢献度がどれほどのものか想像できるのではないでしょうか。

 昨今はSUVが全盛ですが、BMWのエンジニアは、クルマづくりの基本のキとして現在の5シリーズのあり方を変えるつもりは全くないといいます。おそらくはこの新型5シリーズをベースとしたツーリング=ステーションワゴンも早晩追加されることでしょう。

 8代目となる“G60型”新型5シリーズの最大のトピックは、「7シリーズ」と同様、内燃機とEV(電気自動車)というふたつのパワートレインを擁していることです。

 そのなかで今回、試乗する機会を得たのは、「i5」の「eDrive40」と「M60 xDrive」。つまり、リアモーター/リアドライブの前者とツインモーター/4WDの後者。ともにEVです。

 発表後初の試乗会でEVしかないというところが世知辛い感じですが、日本仕様はこの2モデルに加えて、MHEV(マイルドハイブリッド)の2リッター4気筒ガソリンが「523i」として、ディーゼルが「523d」としてラインナップされています。

 一方、先代の後期モデルではディーゼルと並ぶほどの販売台数を記録したPHEVのラインナップは未定だそうです。

●ソフトウェア領域の進化の速さが見てとれるインテリア

 新型5シリーズのもうひとつの大きな特徴は、大きくアップデートされた車内環境です。EVの旗艦モデルである「iX」から導入されたBMW OS 8は、このモデルから早速8.5に更新されています。

 モニターは、12.3インチ+14.9インチのカーブドディスプレイを採用しますが、インフォテインメントのアイコンはよりタッチパネル側での操作性を意識し、主要な操作系を前面に配したQuickSelectを採用。iDriveのダイヤルを介さず大半の操作を可能としました。

 また、手持ちのスマホをインフォテインメントモニターとミラーリングすることで、スマホ側のゲームを大画面でプレイすることができるAirConsoleや、さまざまなサービスのアプリとの親和性向上、スマホ連携のスマートキーやリモートパーキングといった機能、さらには、ADASのカメラを用いたドラレコ機能など、ソフトウェア領域の進化の速さが見てとれます。

 さらに内装のオーナメントには、7シリーズと同様のインタラクションバーを採用。これ単なるアンビエントのみではなく、ドライブモードやADASなどの機能の作動状況をイルミネーションで示すなど、文字どおりインタラクティブに室内を彩ります。

Next意のままに操らせることを妥協しない――BMWの意地と覚悟
Gallery 【画像】新型になってもBMWらしさは健在!8代目となった新型「5シリーズ」を写真で見る(37枚)

page

  • 1
  • 2

RECOMMEND