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モビリティショー2023にも初出展 世界最大手のEVメーカー「BYD」ってどんな会社? 日本上陸したEVの現在の評価とは

1995年に創業した新興EVメーカー

 ハイブリッド車が主流となっている日本市場に向けて、2022年あたりから中韓勢によるEVの発売が相次いでいます。

 中でも見逃せないのが中国のEVメーカー「BYD」の動向です。

2023年9月に日本で発売されたBYDのコンパクトEV「ドルフィン」
2023年9月に日本で発売されたBYDのコンパクトEV「ドルフィン」

 BYDは2022年7月、3車種のEVを日本市場で2023年度中に発売すると発表し、2023年に入ってからは、それを着々と実行。1月にミドルレンジSUVとして「ATTO3」を、9月にはコンパクトハッチの「ドルフィン」を相次いで発売し、10月末に開催されるジャパンモビリティショー2023では最上位セダン「シール」が発表されることもわかりました。

 またジャパンモビリティショー2023では、プレミアムブランド「仰望(ヤンワン)」の最新モデルで1100馬力以上のオフロードSUV「U8」や、メルセデス・ベンツとBYDの合弁会社が開発した新ミニバン「デンツァD9」も展示すると発表しています。

 果たしてBYDは日本市場で存在感を発揮できるのか、気になるところですが、まずは会社の生い立ちからたどってみましょう。

 BYDは1995年、創業者である王伝福氏によってバッテリーメーカーとして創立された若い会社です。中国での正式名称は比亜迪股分有限公司(分はにんべんに分)「略称:比亜迪」。BYDは「Build Your Dream」の略でもあります。

 当時は市場から見放されかけていたニッケルカドミウム電池を手がけることでバッテリーメーカーとして頭角を現し、その後は携帯電話やカメラなど向けにリチウムイオンバッテリーを提供して、2008年には中国ナンバーワンの電池メーカーまで成長しています。

 しかし、王氏はバッテリーだけでは成長にいずれ限界が来ると考え、これと並行して中国国内の自動車メーカーを2003年に買収。クルマのデザインこそ、先進国車両をまんまコピーするといった状況でしたが、それでも三菱自動車からエンジンの供給を受けた車両が大ヒットとなり、そこから自動車メーカーの地位を築き上げたようです。

 転機は2008年のこと。BYDは世界初のプラグインハイブリッド車(PHEV)「F3DM」を世界初めて量産化。さらに2009年には電気自動車「e6」を発表し、この時、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーをいち早く採用。ここから電気自動車メーカーとしての頭角を現し始めたのです。

 そんな中でATTO3は、1月に発売して以降、8月下旬時点で販売台数は700台を超え、購入者層は全体の6割が40歳以下となっており、BYDジャパンによれば「まずは狙い通りの滑り出し」としています。

 実は運転してみると両車ともに、日本で使うにあたってのローカライズが徹底されていることが気付きます。

 ひとつはウインカーです。輸入車は国際基準に合わせてウインカーの位置が右ハンドルであっても左となることがほとんどなのですが、BYDはこれを国産車と同じ右側に設置したのです。

 販売もオンラインではなく“対面”を重視することに重きを置き、店舗は全国に100店舗用意する計画で、これまでに全国10店舗がオープンさせています。まさに日本で根付くためのローカライズが徹底されていると言えるでしょう。

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Gallery 【画像】世界最大手のEVメーカー「BYD」のEV3モデルを写真でチェック(27枚)

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