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昭和の傑作バイク「モトコンポ」が爆上がり中! 折りたたんで「シティ」に搭載する元祖6輪生活とは?

ボクシーな折りたたみバイク「モトコンポ」とは

 日本のバイクメーカーが次々と新技術や新たな価値観を生み出していった1980年代、バイクライフに目覚めた世代は本当に幸せだったといえるだろう。当時を知っている世代は、いま再びバイクに触れて、若かった頃を思い返しつつ新しい喜びや感動を味わうことができるからだ。

 その1980年代を思い返すと、色々なバイクの姿が目に浮かんでくる。その中でもとくに衝撃を受けた1台、それはホンダが手掛けたトールボーイ「シティ」のラゲッジスペースにジャストフィットで収納された小型バイク「モトコンポ」ではないだろうか。

ホンダが「シティ」に搭載するバイクとして開発した「モトコンポ」
ホンダが「シティ」に搭載するバイクとして開発した「モトコンポ」

●バイクをクルマに積むという発想

 モトコンポは、小型バイクの「ダックス」や「モンキー」で長年培ってきたホンダ流の遊び感覚を持った新発想のレジャーバイクとして登場した。自由で活発で変幻自在のトリッキーさ、そしてモトコンポをシティ(クルマ)に搭載し、出かけた先々で機動力を活かして活動範囲がさらに広がる。まさに当時のホンダイズムの集大成といえる組み合わせ、コンポーネントだったといえる。

 モトコンポは1981年にホンダ・シティに搭載できるバイクとして4輪+2輪の6輪ライフをテーマに、シティと同時発売された経緯がある。当時高まっていたレジャー需要に応える為に、クルマで出かけた先でアシとして活躍できることをコンセプトに開発。折りたたみ式のトランクバイクという言葉もモトコンポの登場によってはじめて使われた。

 1980年代当時、折りたたんで収納できる可変機構が付いたバイクというだけでも珍しかったが、それがクルマのトランクルームにすっぽり収まるという斬新な発想は、四輪・二輪メーカーであるホンダならではのアイディアだったといえるだろう。まさにレジャーに出かけた先での楽しさを具体的に提案してくれた。

 折りたたみ機構についてはとても簡単で、ハンドルとシートはボックス状のカウルに格納でき、前後タイヤはそのままの状態でシティのトランクルームに収まるサイズとして設計。もちろん、単に車載できるバイクというだけでなく、バイクとしても十分な性能が与えられ、小型ながらもよく走ってくれた。

 よくよく考えてみればこの発想、実は現代でも十分に通用すると思ってしまう。エンジンからモーター駆動の電動バイクに置き換えることで、より軽量で小型化が可能になり、さらなる広がりを持たせたバイクになるに違いない。

 このように考えると、1980年代に登場した車載バイクという発想そのものは、現代のモビリティにおいても十分な商品価値を見い出せるのではないだろうか。むしろ、アウトドア志向が高まっている現在、より需要があるように思われる。

 もし仮に現代にモトコンポが復活するとしたら、やはり電動バイクということになるだろう。その際にシティも復活ということにでもなれば、セットで欲しいという人も多いのではないだろうか。当然、シティもEVもしくはハイブリッドということになるだろうが……。

* * *

 ボクシーなスタイルのモトコンポは、現代の目で見ても古さは感じられず、むしろレトロフューチャーな雰囲気すらある。現代のミニバンやSUVなら余裕で積載できそうだ。ガレージにコレクションとして飾ってもお洒落な1台だ。

 そんなモトコンポの現在の中古実勢価格は、30万円以上。程度のよいものであれば50万円、60万円という物件も珍しくない。新車価格が8万円、しかも当時はそれほどヒットしなかったことを考えると、ようやく時代が追いついてきた、といえなくもない。

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