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手軽に釣れて天ぷらが美味しいマイボートのシロギス釣りテクニック――【釣りボートLife #08】

●対象魚:「シロギス」ってこんな魚

 春から夏休みいっぱいまで楽しめる手軽な釣りものといえば「シロギス釣り」です。 砂浜や堤防からの投げ釣りで、初心者やファミリー向けにも最適ですが、ボートだとより大きな個体の数釣りを、子どもと遊びながら、時には競いながら楽しめます。

 普段、ルアー釣りがメインだったり大物ハンターだったりする方は、「小物のキスはちょっと…」と思うかもしれません。ただ、この釣りのゲーム性と「答え探し感」は、意外に奥深くてハマります。

 今回はボート釣りの流し方や、魚の探し方などの基本がじっくり学べて、船長スキルを上げるトレーニングとしても最適なシロギス釣りをご紹介します。誰にでも釣らせることができる、腕利き船長を目指しましょう!

ボートが風に押されて流れているときはそのまま下に落として底をズル引きしながら誘えばOKなので、初心者や子どもでも簡単。動きが早すぎるときはパラシュートアンカーで抵抗を加えて速度調整します
ボートが風に押されて流れているときはそのまま下に落として底をズル引きしながら誘えばOKなので、初心者や子どもでも簡単。動きが早すぎるときはパラシュートアンカーで抵抗を加えて速度調整します

 シロギスは本州~九州までの広いエリアに分布する、砂地の魚です。砂浜からの投釣りなどでポピュラーな釣りの対象魚。雑食ですが主食はゴカイやイソメなどの多毛類。平均寿命が4年、長寿だと10年をこえるほど長生きする魚で、2年で15cmほどに成長します。

 最大サイズは25cm前後ですが、稀に30cmに迫るメガサイズも! 小さい個体が釣れたら、大きく育つので、可能な限り丁寧に素早くリリースすることをおすすめします。

 春から夏は3m~15mくらいの浅瀬の砂地にいますが、秋~冬は産卵のために30m前後の深場に落ちるそうです。相模湾沿岸では9月~12月が、産卵個体保護のために禁漁期間となっており、ボート釣りもこれに準じて釣りを控えています。

●シロギスの釣り方、魅力、季節

 メインのシーズンとしては4月~8月いっぱい。ちょうど春~夏の季節の釣り物となります。この季節ならば、狙う場所は水深が7m~15mの付近。また前後の天候なども考慮して、同じ湾内でも複数のポイントを開拓しておくとよいでしょう。

 逗子・葉山近辺には小さな川の流れ込みがいくつかあるのですが、大雨による川の濁り水が入って状況が一変したり、時化で底荒れしたりで、調子のよかったポイントが、1日でまったく釣れなくなった…というのもよくある話。

 こんなときのために、特徴の違うポイントを複数見つけておき、消去法で釣っていくのが効率がいいですね。

 ちなみにシロギスは砂地を移動しながらエサを探している魚ですが、大型個体(25cm前後)が釣れるのは、小さなツブ根や岩礁帯が近くにあるようなポイントであることが多いです。大物狙いのときは魚探の情報も意識してみましょう。

出港して5分のところが釣り場なので、9時〜正午までの短時間でも子どもとふたりで30匹以上のお持ち帰りができるので、時間効率の良い食材調達です
出港して5分のところが釣り場なので、9時〜正午までの短時間でも子どもとふたりで30匹以上のお持ち帰りができるので、時間効率の良い食材調達です

●釣り方:チャンスタイムの波にのるために準備を念入りに!

 基本的には市販の2本針仕掛けにジャリメをつけ、船がゆっくりと流れるように調整しながら探ります。

 シロギスは一定数の群れになっていることが多いようで、1匹釣れたポイントでは次々と同サイズの個体がかかることが多いです。GPSにマーキングし、風と潮を読んで、船の流れる位置を調整し、流すラインを少しずつズラしていくのが、数釣りのキモです。

 ゲストはメゴチ、小さなホウボウ、小さなマダイの赤ちゃん、ヒイラギ、クサフグ。この中では仕掛けを硬い歯で切っていくフグが厄介です。なぜかフグ優位なところは、シロギスがイマイチなことが多いので、割とすぐにエリア移動します。

 基本的な釣り方は、着底したらラインを張って数秒ステイ。アタリがなければ、ゆっくりとリフト&フォールしてストップ、シェイクなどで細かくさそって+ストップなど動きを入れていきます。大事なのは、動かしたあとに必ずピタリと止めて、吸い込んで食べられる間を作ることです。 また潮や風が止まって船が動かなくなったら、ちょい投げで引き釣りするのもありです。

 よくブルンと当たったあとに慌てて合わせたくなるのですが、シロギスは一度目の吸い込みでは針がかりせず、放っておくと二度食いしてくることもよくあります。

●道具立て

 ライトなスピニングタックルになります。小さい割にアタリが激しいので、割とどんなロッドでも楽しめますが、先調子のロッドが楽しいです。

 船用のキスロッドが無難ですが、キャストすることも多いので、少し短めのものが取り回しがよく使いやすいです。はじめての子どもでも、堤防釣りセットみたいなロッドで十分楽しめます。

 ぜひ試してもらいたいのが、先調子のティップラン用のロッド。シロギスの激しいアタリに、敏感な穂先が反応しすぎて釣味は抜群です。ブルン!という小さな前あたりも明確に手元に伝わるからおもしろいですよ。

 そのほかには、トゲがあってヌルヌルするメゴチやヒイラギも釣れるので、魚をはさむトング、飲み込まれた時の針外し、ジャリメを掴みやすくする石粉はぜひ準備しておきたい道具です。

シロギス料理の大定番はやはり天ぷらですね。カリッと揚げたてを塩でいただくのもおいしいのですが、野菜などとともに甘めのおつゆをかけて、天丼もおすすめ。ふわりと香る独特の香りと上品な味わいがくせになります
シロギス料理の大定番はやはり天ぷらですね。カリッと揚げたてを塩でいただくのもおいしいのですが、野菜などとともに甘めのおつゆをかけて、天丼もおすすめ。ふわりと香る独特の香りと上品な味わいがくせになります

●定番の天ぷらだけでなく、キスしゃぶ、刺し身や昆布じめも

 シロギスはさばくとふんわりと独特の香味と旨味がある、上品な白身が特徴です。油との相性がとてもいいので、やはり天ぷらや天丼、フライは定番メニューです。

 キスしゃぶ、キスご飯、大型個体は刺身や昆布じめも楽しめます。 さばく際は、だいたい数が多いので、ウロコを取り頭を落としたら、大名おろしで効率よく2回のアクションで3枚に下ろしていきます。

 また一度で食べ切れないときは、クッキングペーパーに並べてクルクルと筒状に巻いて、空気を抜いたジップ袋などに密封して冷凍します。こうすると長く保存できるので、ストック食材としても役立ちますよ。

 処理の際にもっとも疲れるのは、びっしりと並んだウロコとりです。ですが、ペットボトルや缶コーヒーのボトルキャップを使うと、子どもでも簡単に、きれいにウロコ取りができます。ぜひお子さんに手伝ってもらいましょう。そのあと裁くのも簡単なので、キッズの魚おろし体験にはもってこいの素材です。自分で釣って自分でさばいた魚が、みんなに美味しいと食べてもらう。そんなときは、嬉しそうな顔で

「パパ、明日も行こうぜ!」となりますよ(笑)

 シロギスは、自分が大分県に住んでいた子どものとき、近くの砂浜でかなり楽しんだ思い出の釣りでもあります。釣ったシロギスを母が天ぷらにしてくれて、家族みんなで「すごくおいしい!」と食べてもらったのが、子供心にすごく嬉しかったなぁ。

 お子さんや釣りが初めての方に、「獲って食う」の楽しさを体験してもらうのに、もってこいのターゲットでもあるシロギス。簡単に始められるのでぜひお試しください。

Gallery 【画像】シロギスの釣り方、さばき方、天ぷらのやり方を見る(14枚)
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