世界最大の時計見本市で気付いた「腕時計の矛盾」
2026年4月中旬、スイス・ジュネーブ。世界中の高級時計が一堂に会する最大の新作時計見本市「ウォッチズ&ワンダーズ 2026」を取材してきた。
各国のジャーナリストやバイヤーが熱視線を送るなか、超絶技巧を凝らした複雑な機構や、息を呑(の)むような美しいダイヤルが次々と発表される。たしかに素晴らしい。圧倒される。
だが、華やかな会場を歩き回り、数え切れないほどの新作時計を見てきた中で、ふと気付くことがある。
「時計のムーブメントは基本的に『平ら(フラット)』である」ということだ。
人間の手首は丸い。なのに時計の機械は平ら。この矛盾に対し、今から10年前、時計づくりの常識を打ち破る非常に珍しいアプローチに挑んだタイムピースがあった。
アメリカ発祥のブランド「BULOVA(ブローバ)」が世界で初めて開発した、ムーブメントごとカーブしているクロノグラフ「CURV(カーブ)」だ。
今回、待望の小径化を果たした10周年記念モデルを手にする機会を得た。
金属を腕に巻くストレスと、「ムーブメントごと曲げる」という執念
重い金属の塊を腕に巻く。当然、ケースの真っすぐな底面と手首のカーブの間には微細な「隙間」が生まれる。これが装着時の違和感や、長時間の着用での疲労に直結する。
歯車や電子部品が精密にかみ合う基盤を曲げる。言葉にするのは簡単だが、技術的にはとてつもない困難を伴う。人間工学に基づいて何年もかけて開発されたこの独自のムーブメントは、手首の曲線にピタリと寄り添い、時計と腕を完全に一体化させる。
「どうしても腕にフィットさせたい」という実用への執念。これこそが、カーブの最大の面白さであり、真骨頂だ。
また搭載されているのは、通常のクォーツの約8倍となる262kHzの高振動で駆動し、月差±5秒という圧倒的な精度を誇る「ハイプレシジョンクォーツ」。スイープ運針が、滑らかなケースの曲線と美しく呼応する。
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