VAGUE(ヴァーグ)

●名匠に聞く「漆塗りの奥深さ」を知る

<SARD019>
セイコー腕時計110周年記念限定モデル
セイコー プレザージュ クラフツマンシップシリーズ
・自動巻(手巻つき)、キャリバー(6R24)、SSケース、カーフレザーストラップ、10気圧防水、ケースサイズ(厚さ:12.8mm、横:40.2mm、縦:48.0mm)
・価格(消費税込):24万2000円/世界限定:1500本(うち国内:300本)

  • 漆で表現される赤茶の大人らしい表情をした「SARD019」。金を基調とした秒針に加え、曜日、カレンダー、残り駆動時間を示すパワーリザーブインジケーターを備える

 都内を出発したのは朝の6時。腕元には「SARD019」を装着し旅への気分は上々です。東京を出て約6時間、日産「スカイライン 400R」を駆り、VAGUE取材班は関越道を通過して石川県入りします。

 車種選びの理由ですが、やはりメイド・イン・ジャパンの名車であること、そしてスポーティーかつ伝統のセダンが気分にマッチするだろうとのこと。

  • 日産 スカイライン 400R/寸法: 全長 4810 mm x 全幅 1820 mm x 全高1440mm、エンジン:3.0 L V6、最大出力:224~298 kW 駆動方式:後輪駆動、ボディタイプ:セダン、価格(消費税込):456万9400円~

 「到着したら何を食べる?」なんて車内で盛り上がりつつ、金沢エリアに入ると、さっそく和の雰囲気を感じる趣深い古民家などが目に飛び込んできます。

 待ち合わせ場所に行くと、今回お話を聞かせていただく漆芸家・田村 一舟さんはすでに到着。慌ててごあいさつし、すぐに取材へと移ることに。

  • 漆芸家・田村 一舟氏/1957年(昭和32年)生まれ。石川県金沢市在住。金沢に伝わる伝統蒔絵「加賀蒔絵」を習得後、世界に類を見ない独自の細密技法を生み出す。漆器のみならず、加賀蒔絵をあしらった高級万年筆や腕時計を発表、その極めて緻密な技術による精緻な美しさが、世界的に高い評価を受けている。

――すみません、今回取材させていただく「VAGUE」と申します。さっそくですが、この漆モデルの特徴を教えてください。

田村:こんにちは。遠路はるばるありがとうございます。今回の「SARD019」は110周年記念限定モデルということで、ダイヤルの色にこだわって作りました。赤茶色の表現がなかなか難しくて、“本朱”と言いますが、赤い漆と黒蝋色漆(くろろいろうるし)を配合しております。乾燥前と乾燥後でかなり仕上がりが異なってしまうため、一定の表現になるよう何度も試行錯誤を重ねています。

――そんなに難しいのですね。この色は何かにインスピレーションを受けているのですか?

田村:はい。こちらは金沢の街、特に「ひがし茶屋街」という場所の夕方から夜にかけての風景をイメージしたカラーになっています。石畳の道に風情のある町家が立ち並び、味わい深い赤茶色の景色を堪能できるので、そうした金沢のロマンを感じてもらいたいと思っています。

――さぞ、すてきな風景なのでしょうね。もう愛着が湧いてきました。もう少し詳しく工程を教えていただけますか?

田村:では実際にやってみましょう。

  • 金属ダイヤルを専用の炭で磨き上げる

 そう言って田村さんがまず取り出したのは「ろくろ」。その上にダイヤルになる金属板を置きます。工程を説明してもらうと、まず漆の乗りをよくするための「(1)金属研ぎ」→塗装の厚さを均一にするための「(2)下塗り・研ぎ」→続いて漆黒さを醸し出し厚みを出すための「(3)中塗り・研ぎ」→さらに「(4)上塗り・研ぎ」を繰り返し→微細なキズを拭き取り漆の表面を美しく見せるためにコンパウンドによる手磨き「(5)磨き・摺(す)り漆」→そして最後に特殊な粉を指につけて表面の艶出しをする「(6)艶上げ」で完了です。

  • 1本の木から200ccしか採取できない貴重な漆を、和紙に移したあと口で絞りながら丁寧に漆を拭き取る

 ここまでで約2カ月前後がかかるとのこと。大変な集中力と根気が必要な作業であることが見て取れました。

田村:今回使用している赤茶色の漆は、黒漆よりもキズが取りにくいんです。回転しながら光を当てて、丁寧に磨き上げていますが、この工程は一般的な漆器とは違います。最高品質の時計を届けたいという想いがあるからこその部分になりますね。

 国産の漆はとても貴重ですが、その品質が再評価されているとのこと。中尊寺金色堂、鹿苑寺金閣、世界遺産の二社一寺など、日本を代表する国宝建造物にも漆は使用されています。

 田村さんいわく、こうした伝統の業が詰まった腕時計を文化の継承という意味も込めて、親から子へ、子から孫へと日本のよさを伝えていってもらいたいと言います。

田村:こうした工芸品を身に着けることは、金沢だけでなく、さまざまな土地の文化へ目を向ける機会にもなります。世界の美術館にも日本の漆を使用した工芸品は数多くありますし、そうした日本の文化をまとって海外の方と語り合ってもらえればうれしいですね。

●実際に金沢の街を散策してみよう!

 田村さんにダイヤル作りの現場を見せてもらったことで、この時計にどんな想いが込められていたのかが分かり、その想いにまつわる場所へ実際に行ってみようと、取材班は金沢の街へ。まず訪れたのは「武家屋敷」。昔ながらの土塀や石畳の小路が残り、豪壮な武家屋敷が立ち並ぶ様はタイムスリップした感覚に陥ります。

  • 情緒ある門構えや土壁が居並ぶ武家屋敷を散策

 続いて田村さんのお話にあった「ひがし茶屋街」。こちらも古い町並みに情緒あふれる旅館や食べ物屋などが整列しています。

 案内してくれた地元の人に聞いてみたところ、「最近はインバウンドが戻ってきまして、外国からのお客さまがたくさんいらっしゃっています。それに20代くらいの若い皆さんもドラマの舞台になったことから、和装で街を歩くといった楽しみ方をされているのを多く見かけますね」と盛況ぶりを教えてくれました。

  • ひがし茶屋街には銘菓や飲食店など、さまざまなお店が並び観光客で賑わっていた
  • 街の情景を模した漆塗りダイヤルが、さりげない気品を与えてくれる

 さらに、金沢城にある「なまこ壁」など、加賀百万石を感じられる壮麗かつ歴史ある風景の数々に思わず一同、観光気分(笑)。次々と名所を回っていきながら、どこか上品で、かつ奥深さを感じる金沢らしさ。

 ゆったりとした優雅な時間が流れているというか、こうした伝統が腕時計に込められているのだなと実感します。

  • 金沢城「なまこ壁」の前にて。名所ばかりの金沢旅を楽しむ一行

 金沢は、戦国時代に加賀一向一揆の拠点として金沢御堂(尾山御坊)が築造され、その周りに町がつくられたのが始まりとされます。

 また、加賀藩を治めた前田家の歴代藩主が工芸振興に力を入れた結果、加賀友禅、九谷焼、金沢漆器、金箔など、多彩な伝統工芸が今も受け継がれているのです。

 漆だけでなく、日本古来のさまざまな伝統が今も息づく街。その心地よさを体感できるのが、こうした腕時計などに受け継がれたメッセージなのだと気付かされる旅でした。

  • 日本海を望む浜辺で休憩し、いざ都内へ帰京。実り多き旅でした

 そんなことを思いながら、「北陸ならではの、おいしい寿司でも食べて帰ろう!」という取材班全会一致の意見の下、海辺を気持ちよくドライブしながら帰路へ。

 セイコー腕時計110周年とともに歩んできた、漆と金沢の歴史、その魅力をすべて堪能できた旅となりました。ちょっと大人のブラウンダイヤルを携えた「SARD019」を身に着けて、また新しい旅に出てみたいと思います。

 セイコープレザージュ110周年モデルの詳細はこちら 

問い合わせ先:セイコーウオッチ(株)お客様相談室 0120-061-012
セイコーウオッチ公式サイト
https://www.seikowatches.com/jp-ja

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