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「薪は叩いて割るべし」――“ハチェット(手斧)”を使いこなして焚き火をもっと楽しくする方法

●ベテランも納得の小型ハチェットの使い心地

 ズッシリとした鋼鉄のヘッドと長いウッドハンドルで、小気味よく薪を割ってくれるハチェット(手斧)。そのパワフルさゆえ、安全に使いこなすためにはそれなりにコツが必要です。

 そこで今回は、林業のプロにも愛される斧を生産するスウェーデンのブランド「ハスクバーナ・ゼノア」の黒澤宜史さんに、初心者でも安全かつ楽に薪を割ることのできるハチェットの活用法をレクチャーしてもらいました。

1689年創業のハスクバーナのハチェット。キャンパーに人気なのがコンパクトな「ハチェットヤンキー」(写真左、消費税込6534円)と「ハイキングハチェット」(8360円)
1689年創業のハスクバーナのハチェット。キャンパーに人気なのがコンパクトな「ハチェットヤンキー」(写真左、消費税込6534円)と「ハイキングハチェット」(8360円)

●バトニングなら初心者でもパッカリ割れます

 キャンプで楽しむ焚き火に最適なハチェットについて黒澤さんは、「入門しやすく、使い勝手のよさでベテランにも支持される、コンパクトな『ハイキングハチェット』と『ハチェットヤンキー』がオススメです」と説明します。

「斧の性能は、刃がついたヘッド部の重さとハンドルの長さで決まります。当然、重く長いモデルほどパワーがあって作業効率は高くなります。ですが、大切なのはとにかく怪我をしないこと。 “バトニング”なら、斧のサイズに左右されにくいので、ヘッドが1kg未満のコンパクトなモデルでも快適に薪割りが楽しめます」(黒澤さん)

●初心者は“バトニング”一択

 黒澤さんが推す「バトニング」とは、斧を振り下ろすのではなく、棒で斧を叩いて薪を割るスタイルのこと。今回はハスクバーナの斧のなかでも最小サイズの「ハイキングハチェット」を使って、初心者でも安全かつ確実に薪を割れる方法を教えてもらいました。

ハチェットを体と平行になる位置で構え、地面に向かって垂直を意識しながらバトン(薪)をヘッドに振り下ろします
ハチェットを体と平行になる位置で構え、地面に向かって垂直を意識しながらバトン(薪)をヘッドに振り下ろします

「薪割り時の怪我は、振り下ろした斧の勢いが強すぎて、弧を描いたヘッドが自分の体に当たってしまうのが主な原因なんです」(黒澤さん)。

 絶対にNGなのが、左手で薪を持って斧を打ち下ろすこと。ちょっと考えればわかることですが、少しでも斧が逸れたら大怪我は必至です。薪を真下に叩くバトニングなら斧に不必要な勢いがつかないため、不慮の怪我のリスクを最小限にしてくれるのだそうです。

「周囲に人がいないかなど、安全の確認をしてから左手で斧のハンドルの後ろを握り、体に対して並行になる位置で構えます。そして、立てた薪の断面に斧の刃が垂直になるように当て、右手で地面に向かって垂直方向にバトンを振り下ろしてヘッドを叩きます。そうすれば薪が割れて斧がフリーになったときでも、刃が体に向かってくることはありません」(黒澤さん)

 ヘッドの重さを通じてエネルギーを薪に伝えることが大切なので、薪に対してまっすぐ垂直に叩くことを意識するのがポイントだそう。また、このとき注意したいのは、半分に割ろうとしないこと。

小さなハチェットだけで、バリエーションに富んだ薪を用意することができます
小さなハチェットだけで、バリエーションに富んだ薪を用意することができます

「斧を振り下ろす場合、狙いやすい中央の部分に打ち下ろすことになります。でもそれだと半割りになるので、じっくり炎を楽しむ太い薪が作りにくい。バトニングなら、薪の端でも狙いやすいので、様々な太さに対応できるんです」(黒澤さん)

 まずは1:3ほどの比率で割り、太い方を本燃焼用の薪に確保します。そして、やや細い部分をさらに細かく割って焚きつけにします。

「真下に向かって力を伝えることを意識すれば、途中で折れることなく細く長い焚きつけを作ることができます」(黒澤さん)

 こうした手順を覚えておけば、様々な太さの薪でも、自分好みの太さの薪を効率よく取ることが可能。ハチェットの使い方をマスターすれば、より多彩な焚き火を楽しめそうです。

●製品仕様
■ハイキングハチェット
・価格(消費税込):8360円
・長さ:24cm
・ヘッド重量:500g
・総重量:590g

■ハチェットヤンキー
・価格(消費税込):6534円
・長さ:37.5 cm
・ヘッド重量:700g
・総重量:1.07 kg

Gallery 【画像】ハチェットを使ったバトニングの薪割の割り方を画像で見る(19枚)
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