「テントは空を飛べるんです」――失敗から学ぶキャンプで注意したい3つのコト
●自然の中で頼れるのは自分だけ
日常から離れた自然の中で過ごすだけに、アウトドアでは想像の斜め上をいく失敗をすることも。いまでこそ達人っぽさを醸し出すベテランも、初心者時代には山ほど失敗をしていたのです。
①「テントは空を飛べるんです」
アウトドアでの悩みのタネの一つが、強く吹きつける風。テントやタープなど布でできているアイテムは、風をはらむと想像を絶する力がかかり、ペグが抜けてしまうことも。
春うららかなキャンプロケに初張りのテントを持参し、ウキウキのVAGUE編集M氏。設営途中にトイレに行ったその瞬間、突風にあおられテントが離陸。
一本だけペグダウンしていたので大事には至りませんでしたが、「今後は仕事よりペグダウンを優先する」と真顔で誓っていました。
また、とあるキャンプ場のマネージャーによると、強風で飛んだ利用者のタープがふわりと焚き火に落下するのを目撃。
「意外とあっけなく燃えるな」と、消火器を持って現場に急行しながら思ったそうです。
どちらのケースでも大切なのは、たとえ風が吹いていなくても面倒くさがらず確実にペグダウンするということ。短時間の日帰りのデイキャンプであろうとも、ペグはしっかり打っておきましょう。
②「ライトがなければ見えません」
衣食住すべてを自分で用意する必要のあるアウトドア。忘れ物はつきもので、「無ければないで楽しもう」という開き直りも大切。ですが、持っていかないと致命的なのがライトやランタンなどの灯火器具です。
「灯りっていいよね」が口ぐせのとあるVAGUE編集スタッフ。“光り物マニア”を自認する彼ですが、キャンプロケの際に自慢の灯火類を満載したギアバッグごと忘れてきたことも。
ライトがなければテントの設置はもちろん、食事中のお皿の料理も見えなければ、トイレに行くこともままなりません。ライトアプリを灯したスマホを片手にキーマカレーを作る姿はいまでも語り草になっています。
例えデイキャンプでもライト類は必携です。映画『ブラックホーク・ダウン』はご覧になったでしょうか。精鋭部隊が白昼の短時間ミッションに出撃するも、アクシデントで泥沼の夜戦に突入。隊員たちは夜間装備を持っていなかったばかりに窮地に追い込まれてしまいます……。
アウトドアでも同じことで、明るい時間帯に撤収する予定でも、季節によっては夕方以降に一気に暗くなり、月のない夜などは自分の手ですら見えなくなります。最低限の灯り、例えばヘッドライトは持っておくのが無難なのです。
惨めな思いをしないためにオススメなのが、小型ヘッドランプの複数持ち。ギアバックのほか、サコッシュなど身につけるラゲッジにも一つ入れておけば安心です。
●車載ナイフに警察も騒然
便利なアウトドアギアも、時と場合によっては法律に触れることもあります。よく知られているのがナイフや斧などの刃物類で、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)で刃渡り6cm以上の刃物は正当な理由がなく携帯することが禁じられています。
銃刀法のほか、軽犯罪法ではサイズを問わず刃物を隠し持つことが取締の対象になることもあります。もちろん、キャンプは「正当な理由」になるので大丈夫ですが、普段からクルマに積みっぱなしにするのはNGです。
前出のキャンプ場のマネージャーは、焚火イベントで使用したナイフやハチェットをクルマに乗せたまま、その翌日に検問に遭遇。「危険なもの持ってないですよねー」と笑顔でトランクを調べる警察官に緊張が走り、説明に四苦八苦。検問のお巡りさんからは「アウトドアから帰ったら、その日のうちに必ずクルマから降ろして」と、かなりキツめに注意されたのだそう。
以外な落とし穴がハンマー類。国土交通省は緊急時の脱出のため車内にハンマーなどを用意することを推奨している一方、検問や職務質問では「危険物」として問題になった事例もあるのだとか。
ペグハンマーなどを車に積みっぱなしているのは考えもの。ここで法律について詳しくは触れませんが、使い方によっては人を傷つけることができる物は、理由がなければ持ち歩くことを避けるのが無難。バッグや車に入れっぱなしにせず、キャンプから帰ってきたら必ず自宅にしまっておくことをおすすめします。
自然のなかでは我々の予想を超えることが起こるもの。アクシデントは起きて当たり前とゆとりを持つことも大切ですが、イザというときへの備えは万全にしてアウトドアを楽しみたいですね。