日本を代表する漆工芸の技術が結晶した繊細な色使い
<SARD019>
セイコー腕時計110周年記念限定モデル
セイコー プレザージュ クラフツマンシップシリーズ
・自動巻(手巻つき)、キャリバー(6R24)、SSケース、カーフレザーストラップ、10気圧防水、ケースサイズ(厚さ:12.8mm、横:40.2mm、縦:48.0mm)
・価格(消費税込):24万2000円/世界限定:1500本(うち国内:300本)
さてホーローに続いて、匠の技術が冴える「漆」ダイヤルが「SARD019」です。こちらのモデルを監修するのが、漆芸家・田村一舟氏。
「今回のダイヤルに採用した赤茶色の表現はとても難しく、“本朱”という赤色の漆と黒蝋色漆(くろろいろうるし)を混合して出せる色ですが、乾燥前と後で色がかなり異なっていまして…、何度も配合の試行錯誤を繰り返しました」
石川県・金沢に伝わる伝統蒔絵(まきえ)「加賀蒔絵」を習得するなど、腕時計だけでなく高級万年筆なども手掛ける田村さんは、「SARD019」の赤茶色ダイヤルについて、金沢の茶屋街の夜景をイメージして製作したと言います。
日本人にはなじみ深い漆ですが、実は1本の木から約200ccしか採れません。近年では世界最古の漆(うるし木片)が福井県で出土し、およそ1万2600年前のものと発表されています。それまでの定説では海外から持ち込まれたものと思われていましたが、縄文時代から日本に存在していた可能性が出てきました。
これほど歴史が古く、貴重な漆をダイヤルに塗布した「SARD019」もまた、非常に繊細な作業のもとで製作されています。
「ダイヤルが完成するまでは、おおよそ2カ月かかります。金属板の研ぎ、焼き付け、漆の塗り、乾燥など、何十回も塗りと研ぎを繰り返し、最後に、光沢が出るよう仕上げます」
今回、目の前で工程の一部を見せていただきましたが、ろくろにダイヤルとなる金属板を置き、丁寧に磨きと下塗りなどを繰り返すさまは、まさに伝統工芸の粋を小さな文字盤に詰め込んでいるようでした。
驚くべきは、ホーローと同じく、色のムラや均一に磨きをかける際のミクロン単位の厚みなど、すべて手の感覚と目視で判断していたところ。しかも、漆を塗るための筆も何種類かあり、微細な調整をするための筆は自作されていました。
歴史的な重要文化財にも使われる漆ですが、こうして腕時計として身に着けることについて、田村さんはこう語ります。
「正倉院の御物(ぎょぶつ)にも漆は現存していますし、殺菌作用のある漆には、大切なものを未来永劫(えいごう)残していきたいとの想いが込められています。ですから、この時計も父から子へ、子から孫へと、最高のクオリティーの日本文化としてつないでいってもらえるとうれしいですね」
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