複雑な工程を経てたどり着く、ほのかに青白く光る琺瑯モデル
<SARD017>
セイコー腕時計110周年記念限定モデル
セイコー プレザージュ クラフツマンシップシリーズ
・自動巻(手巻つき)、キャリバー(6R24)、SSケース、カーフレザーストラップ、10気圧防水、ケースサイズ(厚さ:12.8mm、横:40.2mm、縦:48.0mm)
・価格(消費税込):19万8000円/世界限定:1500本(うち国内:300本)
そもそもホーローとは、金属の表面にガラス質の釉薬(ゆうやく・うわぐすり)を焼き付けた素材であり、主に食器や調理器具に使われています。前述のローレルをオマージュした「SARD017」は、ダイヤル素材にホーローを採用しているのが大きな特徴です。
「ホーローといってもキッチン関係と違い、時計に使うとなるとケースに収める必要があります。数字で言うと800ミクロン以下。その範囲に厚みを抑えないといけないのが難しいところです」
そう話すのは、ホーロー職人の横澤 満氏。50年以上のキャリアを持ち、わずか0.01mm刻みの仕上がりを見抜く眼力を持つ匠(たくみ)でもあります。その横澤氏は20年以上、セイコーのダイヤル製作に携わってきました。
新作となる「SARD017」にも多大な苦労をされているとのことで、その工程としては大きく分けて6つに分かれます。
製品の原型を作る「素地成形加工」が終わったら横澤氏のもとへダイヤルが送られ、原型となる金属の油分を抜く「前処理」→ダイヤル表面に塗布する「釉薬の製造」→実際にスプレーガンで塗布する「くすり掛け」→うわぐすりを塗ったダイヤルを乾燥させて炉で焼く「焼成」→仕上がった製品を「検査・検品」という流れ。
いずれも難易度が高く、とくに焼成の工程においては季節による温度・湿度変化、それにともなう焼成の時間、釉薬を吹き付けるときのミクロン単位の加減など、すべて五感をフルに働かせて見極めているそうです。
「ホーローならではの美しさを感じられるのが、小さな針を備えた段差の切れ目の部分。光を受けると艶(つや)のある光沢が見られます。薄い部分は割れやすくなりますし、強度を保ちつつ美しく仕上げるこだわりが詰まっています」
横澤氏とセイコーとの関係は、すでに20数年とのことで、今回の110周年モデル製作依頼についても、もはや“あうんの呼吸”なのでは?と聞いたところ、
「いや、セイコーさんの求める精度は非常に高くて、毎回チャレンジです。もはや楽しさはなくて、苦しいだけです(笑)」
横澤氏は冗談交じりに話してくれましたが、やはり相当な産みの苦しみを味わっているようです。しかし、ダイヤルに文字が印刷され、針が装着されると「ああ、こうやって皆さんのもとに届くんだなと思うと、喜びが湧いてきます」と、それまでの苦労も報われると言います。
「大変な苦労を重ねて、細かいところまでこだわった作品ですから、やはり『時間を大切にする人』に身に着けてもらいたいですね」
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