ベントレーと小原流「いけばな」に共通する変化を恐れない姿勢
3大流派である小原流「いけばな」の家元を、わずか6歳で継承した小原さん。日頃から講習や展覧会、デモンストレーションなどを通じて、日本が世界に誇る伝統文化「いけばな」の魅力を発信し続けています。
「『いけばな』が誕生したのは室町時代ですが、江戸時代以降には多くの流派が誕生するなど、先人たちは常に新しいことにチャレンジしてきました。時代のニーズや状況に応じて『いけばな』を少しずつ変化させ、姿や形を変えながら引き継いできたのです。
私も同様に、単に伝統を受け継いでショーケースに入れて保存していくのではなく、『いけばな』を今の時代に生きる人々の生活に息づく文化にしたいと考え、さまざまなチャレンジをおこなっています。
その一例が、最新テクノロジーの活用です。作品の写真をInstagramにアップしたり、現実世界と仮想世界を融合し、バーチャルな世界をよりリアルに感じられるMR(Mixed Reality)技術を駆使したエンターテインメントを創造したりと、これまでにない手法でグローバルに小原流『いけばな』の魅力をアピールしています」(小原さん)
そうした変化を恐れない姿勢は、ベントレーにも通じるものがあると小原さんはいいます。
「ベントレーは、イギリスの歴史ある高級車ブランドだけあって、随所に伝統を感じさせてくれます。ベントレーの人々も小原流『いけばな』に携わる我々も、スピリットやフィロソフィーみたいなものを継承しながら進化させてきたわけですが、時代を経るにつれて人々のニーズは変わるため、当然、変化したり新たなものを取り込んだりしなければいけません。
オープン2シーターカーからその歴史がスタートし、長年、高級なサルーンやクーペを展開してきたベントレーが、現在はSUVのベンテイガを手がけているのも、変化を恐れない姿勢の一端ではないでしょうか。
継承したものや魂を大切にしつつ、ある程度の柔軟性を持って未来に対してどのようにアプローチしていくか……ベントレーと小原流『いけばな』には通じるところがあると感じました」(小原さん)
「べにや無何有」に到着すると早々、日常の喧騒から離れた無の贅沢を感じさせる、山庭に囲まれた静寂な一室にマッチした「いけばな」づくりに取り組み始めた小原さん。
こうした作品づくりの際に重視するのは、“心の在り方”だと小原さんはいいます。
「『いけばな』は、生けた人自身を象徴する鏡です。生けた人がどういった人なのか、生けたときにどんな感情だったのか、作品に色濃く反映されるのです。なので私は、作品づくりに挑む際、なるべく明るく、ポジティブな気持ちを保つよう心がけています。
日本の文化には、『いけばな』の華道はもちろんのこと、柔道や剣道、茶道など、“道”という字がつくものが多いですよね。そして、それぞれの“道”において、携わっている人々をどのように修練していくか、ということが、よく考えられているのです。
武道などではよく“心技体”という言葉を耳にしますが、技だけあっても“道”は成り立ちません。心とそれをコントロールする体があってこそ、ようやく“道”が成り立つわけです。つまり、技を身に付けた人がどのように心と体をコントロールするのかが、とても重視されているわけです。
『いけばな』という“道”も、単に花を生けるのが上手くなるための“道”ではありません。
『いけばな』の背景には日本の四季があり、四季は生命のサイクルなのです。春に芽生えたものが夏に成長し、秋に衰退し始めて、冬になると枯れて死ぬ、という生命のサイクルを通じて、生ける我々も生き物として何を感じ、その感じたものを自分自身にどう反映していくかが問われるのです。
そうした“道”を経ていくことで、私を含め、『いけばな』に向かう人々の心は自然と満たされていくのだと思います」(小原さん)
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