【第1章|黒月と浅黄──2つのモデルが語る“静のデザイン”】
東京・浅草。伝統と革新が交差するこの街から、新たな日本製マイクロブランド「KIWAME TOKYO ASAKUSA」が立ち上がります。“極める”という言葉をその名に冠し、奇をてらうことなく静かに、それでいて確かな美意識をまとって誕生した時計です。
ファーストラインナップとして登場するのは、「黒月(くろつき)」と「浅黄(うすき)」の2モデル。いずれも38mmという絶妙なケースサイズに、日本の職人精神と静かな美意識が凝縮されています。
ケース径38mm、厚さ9.5mmというプロポーションは、クラシックなドレスウォッチに通じる洗練された装着感を意識して設計されています。
さらに、ラグからラグまでの全長は46mmとコンパクトながらも、手首への自然なフィット感を追求。スーツスタイルにもなじむスマートな厚みにもかかわらず、100m防水という本格的なスペックを備えており、フィールドウォッチとしての実用性も両立させています。
加えて、ベゼルとケースは別体パーツとして個別に成型されており、細部に至るまで仕上げが明確に分けられているのも、「KIWAME TOKYO ASAKUSA」ならではのこだわりです。
具体的には、ベゼル上面とケース側面に繊細なヘアライン加工を施し、一方でベゼル側面とケース正面は鏡面ポリッシュに。この組み合わせにより、素材そのものの質感を引き立てながら、ケース全体に豊かな立体感が生まれています。
特に横から見た際のエッジとカーブのコントラストは秀逸で、薄型ながらも平たんに見せない奥行きのある造形となっています。
一見して控えめながら、ディテールに宿る工芸的な美が、プロダクトの完成度を物語っています。
「黒月」は艶のあるブラックダイヤルに、カーフレザーストラップを採用した漆黒のモデルです。
ベゼルの段差と光の陰影が、静かな存在感を強調します。針はシルバー、インデックスにはシルバーのバーティカルブラッシング仕上げが施され、コントラストを抑えた美しさが際立っています。
また尾錠の形状も、浅草寺の玄関口である雷門から着想を得た特別デザインを採用。建築的な力強さと和の趣を凝縮し、時計全体の世界観を完成させています。
一方の「浅黄」は、アイボリーカラーをダイヤルに用い、アクセントとして印象的な素焼きの青針を配置。アプライドインデックスに黒い塗装を施し、どこか懐かしい表情をまとっています。
どちらのモデルも、「語りすぎない美」が貫かれています。奇をてらわず、細部に意味を宿し、静かにたたずむ──それが、「KIWAME TOKYO ASAKUSA」が体現する“静のデザイン”なのです。
また今回、ブランドのローンチを記念して本モデルはどちらも99本限定。シリアルナンバー(XX/99)も刻印されます。
【第2章|静かにして確かな誕生──「KIWAME TOKYO ASAKUSA」とは何か】
「時計って、ある意味“完成されたジャンル”なんですよね。だからこそ、自分がやる意味を考えました」
そう語るのは、「KIWAME TOKYO ASAKUSA」を立ち上げたウォッチディレクター・渡辺雅己さんです。
渡辺さんは長年にわたって時計業界の第一線に立ち、並行輸入のほか相手先ブランドによる生産であるOEM、ライセンスビジネスなど、多様な立場で“時計の実像”に触れてきました。そしていま、自身のブランドとして選んだのが「KIWAME TOKYO ASAKUSA」でした。
「これまで、売れる時計もたくさん見てきました。でも、それが“本当に良い時計”かどうかは、また別の話でした。僕がやりたかったのは、“売るための時計”じゃなくて、“納得できる時計”なんです」
「KIWAME TOKYO ASAKUSA」が目指すのは、単なる“日本製”という肩書ではありません。丁寧な構造、無駄のない意匠、そして語るべき文脈を持つこと。派手な装飾やトレンドを追うのではなく、生活の中でじんわりとなじみ、時を重ねることで深みを増す――そんな「静かな存在感」を目指しています。
「“極める”って言葉って、日本人には特別な響きがありますよね。何かを突き詰めていく、余計なものを削っていく。僕が作りたい時計は、まさにそういう方向なんです」
組み立ては浅草の自社工房で行い、過剰なマーケティングや演出ではなく、「必要なことだけを、丁寧に積み重ねる」ものづくりが、ブランド全体に貫かれています。
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