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「触ればわかる基礎体力の高さ」時計のプロ・広田雅将の視点

 この破竹の勢いを見せるプロダクトを、プロの目はどう評価するのでしょうか。今回は、数々の名機を見つめてきた時計専門誌「クロノス日本版」の編集長・広田雅将氏に、忌憚(きたん)のない意見を伺いました。

  • 広田雅将氏は、大阪府出身の時計ジャーナリスト。多数の連載を持ち、現在は時計専門誌「クロノス日本版」およびそのウェブ版「webChronos」の編集長を務めている

「全体的なパッケージとして、非常にうまくまとまっていますね。日本のマイクロブランドという文脈を抜きにしても、時計として質の良いものを作っているのが、触ればすぐに分かります」(広田氏)

 広田氏が特に感心したのが、時計としての「基礎体力」の高さと、使い勝手に対する細やかな配慮です。

 価格を抑えたマイクロブランドの時計では、どうしても細部の仕上げが荒くなりがちですが、本作にはそれが一切ないと言います。

  • リューズの操作感やケースの仕上げ、装着感に関わる細部まで、実機を手に取りながら入念にチェックする広田氏

「リューズを引いた時のガタつきが全くないですし、針合わせの前後の動きもすごく滑らか。それに、ケースのラグ(ベルトの接合部)を短く切って垂直に落としていたり、裏ぶたの角をきれいに磨いていたりと、装着感や使い勝手への配慮が素晴らしい。

 さらに、ストラップに芯地を入れないことで、新品の状態から腕にすっとなじむように作られています。こうした細かい部分のパッケージが実によく出来ていて、とても日本的だなと感じます」(広田氏)

  • 革本来の柔らかさを生かしたストラップにより、時計が腕の上で暴れず常に最適な位置をキープする

 奇をてらったデザインで目を引くのではなく、まずは時計としての基本構造を徹底的に磨き上げる。その真面目な姿勢こそが、目の肥えた海外コレクターをうならせている理由のようです。

  • 複数のモデルを手に取りながら、それぞれの仕上がりやたたずまいを確かめる広田氏。クラシカルな意匠の中にも、各モデルならではの個性が光る

「古典的な様式をしっかりとマスターした上で、無理なく独自性を出している点が、時計が分かっている人たちから見ても『面白いことをやっているな』と高く評価される理由でしょう。

 ベースの完成度がこれだけ高いからこそ、文字盤などでさまざまな遊びや拡張性を持たせることができます。シンプルに、クラシカルな日本製で良い時計が欲しいという人に、自信を持っておすすめできる1本です」(広田氏)

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三宅隆
三宅隆
VAGUE編集長
1978年生まれ。モノ・ライフスタイル誌等の編集部を経てWebメディア『VAGUE』編集長に就任。スイスで行われる世界最大の時計見本市「Watches & Wonders Geneva」を取材するなど、腕時計からモビリティ、最新家電、アウトドアまで大人の審美眼にかなうモノを幅広く追究。自らもキックボクシング歴17年の非常勤インストラクター(KNOCK OUT GYM)として活動し、ビジネスパーソンにウェルネスを提唱。「自分らしく輝く」ために自らをデザインする前向きな生き方の基準として、心身を整える実践者の視点を交え、自分らしい豊かさへの指針を発信中。

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