常にシチズンブランドを牽引してきた「アテッサ」も“自動化”に挑んできた
モータージャーナリストの島下泰久さんは1972年生まれ。シチズン「アテッサ」のデビューは1987年なので、当時は中高生くらいということになる。
「時計にちょうど興味を持ち始めるような年齢ですよね。電車で高校に通学するなど行動範囲が広がれば、時計はどうしても必要になる。だから当時は、まずは実用品として時計を選ぶことが多かったかな。僕がアテッサの存在を強く認識したのは、GPS衛星電波時計のあたりですね。『なんじゃこりゃ』と。衛星で時刻を合わせるという概念がなかったので、インパクトがありましたね」
シチズン「アテッサ」は、“チタンの時計”としてセンセーショナルなデビューを果たした。それ以降も、1995年に光発電「エコ・ドライブ」を搭載して“止まらない時計”になり、1999年にはエコ・ドライブと電波時計を組み合わせ“止まらず正確な時計”へ。
2003年にフルメタル化になって“止まらず正確で高級感がある時計”として評価され、2015年には「サテライト ウエーブ GPS」を搭載したGPS衛星電波時計がラインナップに追加されて、“世界のどこでも正確な現在地時刻を示す時計”となる。アテッサは、シチズンの最新技術を搭載する時計という形で、どんどん存在感を強めていった。
時計愛好家であっても、出がけの忙しい時間に時刻を合わせるのは面倒なこと。そこである種の自動化が進んだことは大きな意義があった。
しかし“自動化”といえば、自動車産業でも大きなキーワードとなっている。なにせ世の中には“運転嫌い”も少なくないし、高齢化社会も進むのだから、自動運転技術の進化を望む声は多い。
「僕は運転好きですが、だからといって“面倒くさいこと”まで好きかって言われるとそれは違うんですよね。細い道も駐車場も渋滞も、楽ができるなら機械にある程度お任せしたいし、むしろ楽しいところだけを抽出したい。
もちろん完全自動化は難しいでしょうが、今日持ってきたスバル『レヴォーグ』に使われている運転支援システムの『アイサイト』の技術ですと、“面倒”をかなり軽減できますよ。例えば高速道路の走行の場合、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストし、運転負荷を大幅に軽減してくれる『ツーリングアシスト』がありますし、『全車速追従機能付クルーズコントロール』は、前のクルマについていき、渋滞や高速巡航を快適に走ることができます。
同じスバルのソルテラに装備されている『Advanced Park』は、ディスプレーの表示に従ってスイッチ操作すれば、カメラや超音波センサーが周囲を検知し、ステアリング・シフト・アクセル・ブレーキの各操作を車両が制御。駐車・出庫を支援してくれます。単純に疲労度が減るので、多少遠くても車で行けるようになり、結果、行動範囲が広がるというメリットがあります」(島下氏)
自動運転は運転する機会を奪う技術ではない。むしろ逆で“運転の楽しいところだけ”を味わうために、他を運転支援システムに安心して任せるということでもある。本当の技術革新とは、すごいことができるという話では終わらない。むしろ技術革新によって生じる余裕が、人々の生活に潤いをもたらす。そこに意味がある。
機能面だけでなくデザインの美しさも追求。レヴォーグとの意外な共通点とは?
シチズンの誇るGPS衛星電波時計も同様だろう。そもそもシチズンは2011年に世界で初めて光発電衛星電波時計を発売するなど、高精度技術の進化と革新に力を入れてきた。
電波時計は基地局から発信される標準電波をキャッチし、そこに含まれる時刻情報を解析して正確な時刻に修正するというもの。ただし電波時計に対応した基地局は、日本2局に中国、アメリカ、イギリス、ドイツの計6局しかなく、南半球にはない。だからどうしても電波圏外が生じることになる。
しかしGPS衛星が発する電波は、空が見える限りは世界のどこでもキャッチできる。しかも4基以上の衛星の電波をキャッチすると現在地がわかるので、正しいタイムゾーンの時刻を表示できる。しかも光発電エコ・ドライブと組み合わせているので、時計は止まらず、どこでも正確に時を刻む。
おそらくこれ以上の高精度技術は望めないだろう。となるとおのずと技術進化の方向は、デザイン面の強化に向けられることになる。
アテッサのACT Lineは、アクティブなデザインでありつつケースの重厚感や丁寧な仕上げ処理によって、カジュアルになりすぎないクラス感がある。
フラッグシップモデル アテッサ「CC4055-65E」は、スーパーチタニウム™のケース&バンドの表面に、デュラテクトDLCを施して精悍(せいかん)な雰囲気に。
さらにベゼル部分には、風防と同じくサファイアガラスを使用することで華やかさも加わった。平面を生かしたキレのあるデザインでスポーティさを引き出す一方、キラッと光ってラグジュアリー感を演出する手法は、時計界のトレンドでもある。
「スポーツとドレスをクロスオーバーするデザインですね。実は車のデザイントレンドも、このレヴォーグに代表されるようなクロスオーバーが人気です。
クロスオーバーといっても何でも掛け合わせるのではなく、セダンやワゴンのタイプにオフロードのテイストを掛け合わせていく。ある程度ラフに使えるのも魅力で、車高が高いので、段差とか乗り越えたり駐車スペースに寄せたりする場合も下を擦る心配がない。使い勝手も含めてデザインが出来上がっています。
そこがアテッサのデザインに通じますね。機能性に注力すると武骨になりすぎるし、ドレッシーさを重視すると用途が限られる。機能性と審美性をクロスオーバーさせる時計は、結局使いやすい」(島下氏)
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