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Gショックが「異次元の高級時計」発表!? 造形は人工知能と“共創”? 驚異のフルゴールドモデルが本当にすごい理由

ケース・ベゼル間には緩衝体を使用しない新構造で「耐衝撃性」実現!

 来場者への挨拶の後、最初に会場のスクリーンに上映されたのは、会社のデスクで悩み考えているカシオの若い社員と思える男性。そして突然その前に現れて彼の顔を覗き込む熟年の男性。

 このビデオに続いて、伊部氏はいよいよ語り始めた。

「今からちょうど5年前、この場所で発表したドリーム・プロジェクト第1弾のG-D5000-9JRはG-SHOCKの35年間の集大成でした。でもこれから発表する第2弾は『Break the Boundary(境界、限界を超える)』というキーワードの下、これまでのG-SHOCKを超えるという目標で若手が開発に取り組み、これまでG-SHOCKを育ててきたベテランがサポートして生まれた、すべてがまったく新しい次世代のG-SHOCKです」

それはG-SHOCKの商品企画を考えた当時の1982年にタイムスリップした伊部菊雄氏。そして若者は「壊れない時計」という、ただそれだけの「G-SHOCKの企画書」を書いた1982年当時の伊部氏。彼は悩む昔の若き自分に「悩むことが大事」と声をかける。
それはG-SHOCKの商品企画を考えた当時の1982年にタイムスリップした伊部菊雄氏。そして若者は「壊れない時計」という、ただそれだけの「G-SHOCKの企画書」を書いた1982年当時の伊部氏。彼は悩む昔の若き自分に「悩むことが大事」と声をかける。

 そしてスクリーンに映された「G-D001」の映像に会場はどよめいた。

 フルゴールド。だが、アナログで、一見すると機械式のスケルトンモデルのように見える。

 しかしケースの造形、特にサイドの造形が普通の時計とはまったく違う。まるで熱帯雨林の汽水帯にあるマングローブやスペースフレーム構造の現代建築のような、有機的な構造になっている。

 そして、時計史上初めてのこの斬新なケースの構造と造形は、これも時計界ではたぶん史上初の「人とAIの共創デザイン」、カシオが「ジェネレーティブデザイン」と呼ぶ手法で設計&開発されたもの。

 伊部氏によればこの造形は「この40年間、G-SHOCKの開発で蓄積された『時計を落下させたら、どこにどんな力がかかるか』というデータをすべてコンピュータに入力。人間のデザイナーがスタイルの骨格を決め、それにAIのデータを融合させた形状を人間のデザイナーが何度も修正する」という方法で完成したものだという。

スクリーンに映された「G-D001」の映像に会場はどよめいた
スクリーンに映された「G-D001」の映像に会場はどよめいた

 ただ、発表会では語られなかったが、ステージ裏での伊部氏の解説では、デザイナーの骨格にAIを融合させた造形はそのままでは魅力的ではなく、人が手を加えることで“デザインに息が吹き込まれる”のだという。

 しかもこのケースで何よりもすごいところは、ベゼルが緩衝体の役割を果たしているため、ケース・ベゼル間には緩衝体を使用しない新構造で耐衝撃性を実現していること。

 この実現のために、自動車の衝突解析のようなコンピュータシミュレーションも行ったという。もちろん最終的には、リアルなテストも行って耐衝撃が確認されている。しかもスペースフレームのようなこのケースの素材は18Kイエローゴールド。

 SS(ステンレススチール)など通常のメタル素材よりも柔らかい分、素材での衝撃吸収が可能なのかもしれない。

 ロストワックス法(ワックスを使って金属部品を鋳造する方法)で作られたこのケース、そしてブレスレットは熟練の作業者の手作業で、高級機械式時計と同じレベルで仕上げられている。ポリッシュとヘアライン、2つの仕上げを緻密に使い分けて。

Next高級機械式時計なみのアナログ方式とは
Gallery 【画像】まさに異次元なラグジュアリー「Gショック」とニューヨーク会場の様子を写真で見る(28枚)

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