デロリアンと故コーリン・チャップマンの闇とは? 「ロータス創業者生存説」は単なる都市伝説なのか改めて検証
もし生存していたら懲役10年だったかもしれないチャップマン
そして長い月日が経ち2010年代後半、F1マシンの著名な空力エンジニアであるエイドリアン・ニューエイ(現レッドブル・レーシングCTO)が自伝で「マリオ・アンドレッティは、チャップマンがブラジルに逃げたことを知っている」と記述し話題になった。当のマリオ・アンドレッティは代理人を通じて「この件についてコメントすることもないし、何が記述されたのかも知らない」とコメントしている。

これが唯一の「信頼できそうな」逃亡説だったが、結論はうやむやなままに。残る逃亡説は、以下の断片的な噂や情報を繋ぎ合わせたものばかり。
・亡くなる直前、コーリン・チャップマンは航空機操縦ライセンス更新のために受けた健康診断で、問題がなかった。また、死亡保険の見直しもおこなっていた。
・コーリン・チャップマンの死を目撃したのは、妻のヘーゼルだけ。かつてチーム・ロータスに所属したドライバーたちが葬儀に参加しようとコンタクトをとったら、すで埋葬されていた。
・霊園の管理人の妻が、コーリン・チャップマンの埋葬記録を改ざんしていた。
・1983年、飛行機嫌いを公言しているコーリン・チャップマンの妻が、ブラジルに1か月滞在。
●晩節を汚したチャップマン
しかし、コーリン・チャップマン亡きあと、妻のヘーゼルは精力的に夫が残した会社やロータス財団のために活動してきた。仮にブラジルに逃亡していたとすると、自分を捨てた人間のために、そこまでやるだろうか?
また、コーリン・チャップマンはアンフェタミン(覚醒剤)と鎮静剤を普段から常用していた、という証言も出ている。当時は、今と比べて規制が緩く、医師の処方箋で購入できたそうだ。当然、アンフェタミンと鎮静剤の併用は、心臓への負担が大きかった、と容易に想像できる。
コーリン・チャップマンは検察の訴追を恐れてブラジルへ逃亡した、というよりも「若くして死んだ」というのがまっとうな考え方だろう。
* * *
なお、共犯者だったフレッド・ブッシェルは懲役3年がいい渡され、罰金の支払いができなかったのでさらに1年延長で服役した。コーリン・チャップマンが逮捕されていたなら、懲役10年は下らなかっただろう、といわれている。
バックヤード・ビルダーからF1優勝まで手にした誇り高きコーリン・チャップマンなら、服役するくらいなら自分の死を偽装してもオカシクない、と妄想する気持ち……、少しだけ分からなくもない。
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