カンパノラ、時を愉しむ時計
モデル名:25周年記念限定モデル「星響(ほしのひびき)」ミニッツリピーター
(AH7064-52E・限定250本)
価格(消費税込み):45万1000円
スペック:Cal.6762(精度±20秒/月)、日常生活用防水、厚み15.5mm/横幅42.5mm、ケース・バンド:ステンレス(デュラテクトDLC・ブラック色)
このマインドフルネス・ジャーニーの主役となるのは、「CAMPANOLA(カンパノラ)」がブランド誕生25周年を記念して発表した限定モデル「星響(ほしのひびき)」である。カンパノラは「雄大な宙(そら)に想いを馳せ、今という時を愉しむ。」をテーマに掲げ、時を刻む道具を超えた独創的な時計を生み出してきた。
今回フォーカスする「AH7064-52E」は、高度な複雑機構であるミニッツリピーターを、高精度なクオーツムーブメントで実現した類稀(たぐいまれ)なるモデルである。
時刻を「高い音」と「低い音」の高低2種類の音色で報(しら)せる機構を備えており、クオーツウオッチながらも、無機質な電子音ではなく、まるで本物の鐘をたたくような、人にやさしく心地よい独自の音色を目指して緻密に調律されている。
さらに、アラーム機能は朝、昼、夜それぞれのシーンに合わせて異なる3種類の音色を奏でるよう設計されており、時間帯ごとの情緒を音で演出する。
限定モデルの最大の特徴は、「デュラテクトDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)」を採用した、カンパノラでは初めてのオールブラックのケースとバンドである。艶やかで深みのあるブラックは、果てしなく広がる宇宙空間そのものを体現している。
その漆黒のキャンバスの上に、針やダイヤルを飾るリングパーツ、さらにミニッツリピーターを操作する2時位置のプッシュボタンに配されたゴールドカラーが、夜空に輝き互いに影響し合う星々のように美しいコントラストを描き出している。
そして特筆すべきは、その文字板のデザインコンセプトである。
日本庭園の伝統的な音響装置である「水琴窟(すいきんくつ)」をイメージとし、手水鉢から滴り落ちる水の雫や、それが水面に描き出す幾重にも重なった美しい波紋を、高度な電気鋳造のパターンやゴールドカラーの五徳リングの重なりによって可視化している。
時間を「確認する」ための道具から、時間を「聴き、味わう」ための装置への昇華。その哲学が、この小さなケースの中に凝縮されている。
共鳴する鼓動「マセラティ グラントゥーリズモ トロフェオ 75th Anniversary」
カンパノラが刻む微小で静謐(せいひつ)な音に対し、旅の足として選ばれたのは、ダイナミックで官能的な「動」の音を奏でるイタリアの至宝、「マセラティ グラントゥーリズモ トロフェオ 75th Anniversary(Maserati GranTurismo Trofeo 75th Anniversary Edition)」である。
初代グラントゥーリズモ(A6 1500)の誕生から75年を記念して全世界で限定生産されたこのPrimaSerieは、究極のパフォーマンスと長距離ドライブの快適性を高次元で融合させたグランドツアラーの完成形である。
本車両の外装色「Nero Cometa(ネロ・コメタ)」は、深淵なる宇宙を思わせるブラックボディーであり、カンパノラ「星響」のデュラテクトDLCの質感と完璧なシンクロニシティを見せる。インテリアにはブラック&アイスのレザーが配され、そこにミントグリーンのステッチが鮮烈なアクセントとして施されている。
ヘッドレストやホイールのセンターキャップに刻まれた75周年のロゴが、この車両の希少性を無言のうちに物語っている。
丸の内から北関東へ 都会の洗練と躍動
日本のビジネスの中心地でありながら、早朝の丸の内仲通りは特有の静けさと透明な空気に包まれていた。マセラティ グラントゥーリズモの流麗なドアを開き、アイスカラーのレザーシートに身を委ねる。
腕元にはカンパノラの「星響」が漆黒の艶めきを放ち、ステアリングホイールを握る左手の所作の中で、デュラテクトDLCとゴールドパーツのコントラストが朝の光を反射して美しい陰影を作る。
エンジンを始動させると、Nettuno V6(ネットゥーノ V6)エンジンが短く吠え、すぐにアイドリングの心地よい重低音へと落ち着く。都市のモダンな景観をバックに走り出したマセラティは、首都高から東北自動車道へと入り、洗練されたアーバンクルーザーから俊敏なスポーツカーへとその表情を変える。
高速巡航時のキャビンは驚くほど静粛性が保たれており、ロードノイズを遮断した密閉空間の中で、ドライバーは自らの内面と向き合う準備を整える。
巴波川沿いの散策 流れる時間と歴史の積層
最初の目的地である栃木県栃木市に到着する。巴波川(うずまがわ)沿いに広がる「蔵の街」は、江戸時代に木材などの舟運で隆盛を極めた歴史的景観を今に残している。
黒塗りの見世蔵や白壁の土蔵が立ち並ぶ遊歩道を歩きながら、川面を滑るように進む遊覧船と、水流の穏やかなせせらぎに耳を傾ける。
ここでの時間は、都会のそれとは明確に異なる速度で流れている。運河の水音という自然の「音」と、歴史の積層を感じさせる古い建築群。
過去と現在が交差するこの空間において、カンパノラの文字板に刻まれた水琴窟の波紋パターンは、巴波川の穏やかな水面と視覚的な共鳴を起こし、日常の緊張を少しずつ解きほぐしていく。
水琴窟の響きと自己との対話 足利「物外軒」でのマインドフルネス
巴波川での歴史散策と、佐野市内のアストルカフェでのくつろぎの時間を経て、旅は「音とウェルネス」の核心である足利市へと舞台を移す。
市内にある茶室「物外軒(ぶつがいけん)」は、数寄(すき)を凝らした静かな日本庭園を備え、知的な雰囲気が漂う場所である。
物外軒の庭園を歩み、木々の葉擦れの音や小径を踏む音を感じ取りながら、蹲踞(つくばい)へと向かう。この蹲踞の下には、現在でもかすかながら音を響かせる稀少な「水琴窟」が存在する。左手で備え付けられた竹筒を持ち、そっと耳を当てる。
かすかに、しかし確かな輪郭を持って、地中の甕(かめ)の底に滴り落ちた水滴が反響し、金属的で透明感のある「キン、カラン」という琴のような音が響いてくる。
不規則でありながら自然の摂理にのっとったこの水琴窟の音色は、聴く者の心を波立たせない深い安らぎをもたらす。
カンパノラ「星響」の意匠は、まさにこの場所、この瞬間のために存在しているかのようである。電気鋳造技法によって精密に表現された文字板の波紋は、水琴窟の甕の中で水面が揺れる様をそのまま閉じ込めた芸術品である。
自然界の偶然が織りなす水琴窟の微細な響きと、クオーツテクノロジーが制御するミニッツリピーターの正確無比な音響。アナログな自然現象とハイエンドな電子機構という両極にあるものが、「音を愛でる」という日本古来の美意識において完全に融和している。
縁側に座り、水琴窟の余韻を感じながら時計を眺める。この時、時間は無慈悲に過ぎ去るものではなく、空間にとどまり、精神を豊かに満たす「質量」を持ったものへと変化する。
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