デジタル時代にふさわしい高級車が誕生! メルセデス・ベンツ新型「Eクラス」は独自OS搭載でADASやインフォテイメントが劇的進化
正統派サルーンの王道をゆく新型「Eクラス」
誕生から70年という歴史を持つメルセデス・ベンツ「Eクラス」がフルモデルチェンジ。その国際試乗会がオーストリアのウイーンで開催されました。
新型Eクラスは伝統的な高級サルーンでありながらデジタル化が推し進められたメルセデスの意欲作。そんな新型Eクラスに乗って感じたことをレポートしたいと思います。
新型Eクラスの細かいスペックを紹介する前に、まずはふたつの視点からこのモデルを解剖したいと思います。
ひとつ目の視点は、世界的にSUVブーム真っ只中という状況下でも、メルセデスがサルーン(セダン)にこだわる理由とは何か? というもの。
その理由について、メルセデスの開発部門のトップであるマーカス・シェーファー氏は次のように話します。
「多くの人はメルセデスといえば『Sクラス』のような高級サルーンをイメージします。なかでもミドルサイズのEクラスはSクラスより長い歴史を持ち、メルセデスの原点ともいえるモデルなのです」
この話を聞いて、メルセデスにとってEクラスがどれほど重要なモデルであるかが理解できました。
そしてふたつ目の視点は、走る・止まる・曲がるという基本性能以外に、新型Eクラスではどのような新しい価値が提供されているのか? というもの。
この点において、メルセデスは数年前より“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)を提案してきましたが、新型Eクラスではそれがさらに進化を遂げています。
クルマは工業製品、いわば機械ですが、進化の止まないADAS(安全運転支援システム)やインフォテイメントシステムにおいては、ドライバーが使いやすいシステムを構築することが重要です。しかも、多くの機能は走行中に操作する必要があるため、直感的かつ分かりやすく操作できること、そして、システムが迅速に対応することが重要です。
●新型「Eクラス」の技術的ハイライト
ボディやサスペンションといった新型Eクラスの基本的なプラットフォームには、現行Sクラスから採用された“MRA-II”が使われています。
このプラットフォームは、エンジンを縦向きに置く後輪駆動向けで高級車専用のもので、新型Eクラスの乗り心地や高速安定性は先代のそれよりもさらにアップデートしています。
しかし“これからのクルマ”には、もうひとつのプラットフォームが必要となります。それは、高度に複雑化するデータを迅速に処理するための車載OS(オペレーションシステム)。最新のクルマには、まるでスマートフォンのようにOSが搭載されており、その上で各種アプリが稼働しているのです。
クルマもスマホなどと同様に、ソフトウェアのアーキテクチャーを構築しているわけですが、メルセデスはかねてよりアメリカの半導体メーカーであるNVIDIA社と共同で独自OSの“Mercedes.OS”を開発。新型Eクラスから、その一部となるインフォテイメントを搭載しました。
その結果、コックピットはまるで最新航空機のように完全にデジタル化。カーナビを始めとする各種機能を操作する音声認識はより精度が増し、便利さも増し、それに対する反応も驚くほど高速化しているのです。
それだけにとどまらず、ドライバーが運転中にTVなどを観られないような安全面での配慮や、直前まで使っていた各種機能を記憶し、同じドライバーだと判断するとAIがセットアップしてくれる利便性などもユーザーにもたらしてくれます。
それらのカギを握る膨大なデータはクラウド上に保管し、AIが頻繁にドライバーをサポートしてくれます。こうしたきめ細かいサービスが可能になったのは、まぎれもなくMercedes.OSのおかげなのです。
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