“奇跡の一本松”を望む 「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」誕生! 泊まってわかった“北東北初”スノピの高規格キャンプ場の魅力とは?
●被災地から“防災ツーリズム”の拠点へ
「奇跡の一本松」は岩手県・陸前高田の気仙川の河口にある、2011年の東北大震災の大津波で唯一被害を免れた松の木です。
震災遺構として整備された一本松を挟んだ広田湾の向こう岸にオープンしたのが、スノーピークが北東北で初めて運営するキャンプ場「スノーピーク陸前高田キャンプフィールド」です。

ここは震災前「モビリア」と呼ばれる、地元はもちろん東北エリアで人気の県立オートキャンプ場でした。仮暮らしのための施設として被災した人たちの暮らしを支え、その役目を終えた2023年9月に、スノーピークと岩手県の連携によって再びキャンプ場としてリニューアルオープンしました。
広さ約6万8000坪と広大なフィールドは、リアス式海岸と呼ばれる自然豊かな海沿いの斜面に広がり、サイトや小道のそこかしこから牡蠣の養殖筏が並ぶ美しい広田湾の海の眺望が目を楽しませてくれます。
サイトのバリエーションは、88組に対応する広々としたフリーサイトをはじめ、区画サイト(電源あり17、電源なし31サイト)や2台駐車が可能なグループサイト(3サイト)、愛犬と過ごせるドッグランサイト(6サイト)と多彩なのが特徴です。
サイト数は同社の新潟本社に併設される「Snow Peak HEADQUARTERS Campfield」につぐ規模となっており、どのサイトも余裕をもったレイアウト。好みのスタイルに合ったサイトで伸び伸びとアウトドアを楽しむことができそうです。
また、アウトドア初心者でも安心なキャビンも充実しており、とくに注目したいのがバストイレ付きのモバイルハウス「住箱-JYUBAKO-」(3サイト)です。建築家の隈研吾氏とスノーピーク社が共同開発したもので、ミニマムな空間の中に快適に過ごせる仕掛けが満載している宿泊施設はぜひ体験してほしい居心地のよさでした。
キャンプフィールドまでのアクセスは、盛岡市や仙台市から車で2時間程度。車で15分ほどの距離にある奇跡の一本松周辺は現在「高田松原津波復興祈念公園」として整備され、震災の被害を伝える「東日本大震災津波伝承館」のほか、地元の海産物や果物、野菜などを豊富に扱う「道の駅高田松原」も併設。
地域の魅力と同時に防災への意識を高める「防災ツーリズム」としてもぜひ立ち寄ってほしいスポットです。
見逃せないのが、豊かな海の幸や果物、そして日本酒やワインといった陸前高田の美味しい食べ物や飲み物たち。オープニングレセプションには、広田漁協によるカキやアワビ料理をはじめ、明治38年創業の神田葡萄園のワインやクラフトジュース、酔仙酒造の日本酒などが振る舞われ来場者を喜ばせていました。
あれこれアクティビティを楽しむのも最高なシチュエーションですが、個人的にはじっくりと岩手の美味しいものをひたすら味わう“食べ飲みキャンプ”をぜひしてみたいと感じました。
初日の来場者のなかには「前日に大船渡で車中泊して今日のオープンに駆けつけた」という、東京から訪れたスノーピークファンの姿もあり、関東はもちろん関西のナンバープレートをつけたクルマも見かけました。
スノーピークの広報担当者によると、「おかげさまで幅広い地域の方から予約や問い合わせをいただいています」とのこと。東北のみならず日本全国のキャンパーから注目される存在になりそうです。
●Snow Peak RIKUZENTAKATA Campfield(スノーピーク 陸前高田 キャンプフィールド)
住所:岩手県陸前高田市小友町獺沢155-78
電話:0192-22-9477(9:00~18:00)
営業時間:9:00~18:00(冬季9:00~17:00)
定休日:水曜日