終了すればレギュラー1リッター200円超えも現実に!? 首相「延長も検討」 “ガソリン補助金” 5月からどうなる?
改めて注目されるガソリン税の「トリガー条項」とは
じつはこのガソリン補助金に、これまでに投じられた予算は合計6.4兆円で、もちろんその原資は税金です。
あまりにも金額が大きいため、ピンとこない人もいるかもしれません。そこで消費税の税収と比べてみましょう。

日本の消費税収は、2023年度予算で23.4兆円と見込まれています。
つまり単純計算すれば、消費税でかき集めた年間の税収の4分の1以上をガソリン補助金事業に費やしていることになるのです。
そしてここであらためて注目しておきたいのが、「トリガー条項」との関係です。
トリガー条項とは、ガソリン価格が1リッター160円を3カ月連続で超えた場合、1リッターあたり53.8円かかっているガソリン税のうち、「当分の間税率」とされている25.1円分を免除する仕組みです。
これは国民生活の負担を減らすため、2021年の民主党政権により導入されましたが、2011年に発生した東日本大震災の復興財源を確保するために発動が凍結され、現在に至っています。
2022年2月14日、鈴木俊一財務大臣は、衆議院予算委員会で「トリガー条項の発動が1年間続いた場合、国および地方の税収減は1兆5700億円と見込んでいる」と答弁しました。
つまりこの2年間でのガソリン補助金に費やした税金は、トリガー条項発動での税収減の4年分にも上っているのです。
しかもトリガー条項が国民の負担を直接減らすのに対し、ガソリン補助金は石油元売り各社に支給されるため、そのすべてがガソリンの値下げにつながっているかどうかは不透明です。
激変緩和事業という名目ではじまったものがここまで続き、巨額の税金を投入することになってしまったことを考えると、当初よりトリガー条項を復活させていたほうが、結果論ながらも、すっきりしていたのではないでしょうか。
※ ※ ※
さて、4月30日にガソリン補助金事業が終了すると、ガソリン価格はどうなってしまうのでしょうか。
資源エネルギー庁は、直近の1リッター174.3円は、この補助金により22.2円抑制されたものとしています。
つまり、もし補助金がないと仮定すると、ガソリン価格は1リッター196.5円と、“1リッター200円”にほぼ近い水準になると考えられるのです。
今後の原油価格がどう動くのか、また外国為替相場はどう遷移するのかは予断を許しませんが、少なくとも現状の「原油高・円安」が続くのであれば、5月以降、とくにクルマを必需品としている地方在住の人にとっては、ガソリン代の高騰で家計の負担が大きくなる覚悟が必要になりそうです。
2024年3月18日におこなわれた参議院予算委員会で、岸田首相は「国民生活や経済活動への影響を考慮して、検討していくことは当然重要なこと」と述べ、ガソリン補助金制度の延長を検討する考えを示しています。
そのうえで「国際情勢や経済、エネルギーをめぐる情勢などをしっかり見極めた上で適切に判断」するとしています。
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