VAGUE(ヴァーグ)

「商店街に泊まり、商店街を旅する」という新しい滞在体験——大阪に誕生した注目の宿泊スタイル『SEKAI HOTEL』の挑戦とは

●旅の本質をとらえる「まちごとホテル」

 2018年、大阪・東大阪に誕生した「SEKAI HOTEL」は、既存のホテルとは全く異なる形をとっています。宿泊施設となるのは、商店街の空き家やテナントをリノベーションした客室。

 食事は地域の飲食店で、大浴場は地元の銭湯を利用(室内ごとにシャワーや浴室もあり)。朝は歴史ある純喫茶でモーニングを楽しみ、昼は老舗のパン屋や精肉店でこだわりのコロッケを味わう。そして夜は、地元の銭湯で一日の疲れを癒したあと、常連客で賑わう居酒屋へ——。

観光地とは違う街の日常を楽しめる新業態
観光地とは違う街の日常を楽しめる新業態

 この試みが目指したのは、地域と旅人の新たな関係性。ホテルでゆっくり過ごすのも良いですが、街を歩き、住民と自然に会話を交わす。ここでの体験は、単なる観光ではなく、より本質的な旅へと昇華されるのです。

 宿泊者からの声も旅の本質をついているように見えます。

「地元の銭湯で、常連の方から昔話を聞かせてもらいました。まるで幼い頃に戻ったような、心温まる時間でした」

「商店街のパン屋で『今日は新作のパンがあるよ』と声をかけられ、地元の方と会話が弾みました。観光地とは違う、この街の日常がとても心地よかった」

 このコンセプトは高く評価されており、2019年に「日経MJ賞 最優秀賞」、2020年には「Human City Design Award ファイナリスト」に選出されました。

●モヤモヤした地域だからこそのSEKAI HOTEL

「布施はよく『商店街もあって昔は栄えていた』と言われるんですね。それこそ『銀座』と呼ばれる地域もあった。いくつかの候補の地域を巡った時に、この布施が一番、モヤモヤしていたんですね。首都圏と地方じゃない場所を活性化させたい、僕らもいちベンチャー企業ですので、勝負したくなったんですよね」

 言葉の主は、代表取締役の矢野浩一さん。

 観光の一等地でなくてもやっていける。そのためのヒントは、訪れる旅行客のスイッチをオンにさせることだと教えてくれました。

「旅先では、できるだけ生活者と同じ目線で、その地域を感じ取りたい」(矢野氏)
「旅先では、できるだけ生活者と同じ目線で、その地域を感じ取りたい」(矢野氏)

 たこ焼き屋を例にするとこう。

「僕自身が名店をコンプリートしたいタイプではないのもあるのですが、旅先では、できるだけ生活者と同じ目線で、その地域を感じ取りたいと思っていました。

 何よりもたこ焼きを堪能するなら、スイッチが入った状態のほうが絶対に良い。スイッチが入っていれば、食べログで高評価のお店に並ぶことも楽しい。

 そして、地域の名もなきたこ焼き屋であっても、道中の景色や、店先の店主の振る舞いなど、記憶に残ることがあります。地域の名もなきお店であっても、このスイッチが入った状態だと、感じ取り方が違うと思うんですよね。創業以来、このスイッチが押せる仕組みを考え続けています」(矢野氏)

 食べログ評価など認知的な判断で楽しむのもアリ、その地域に流れる景色など非認知的な判断で楽しむもアリ。

 ただ、後者の方が曖昧な部分が多いため、創意工夫が必要だと言えます。大阪は粉もん文化が醸成されており、名店と呼ばれるお店はいくつもある。名店を訪れる観光的な楽しみ方もあるでしょう。

 一方で、地元で長年やっている名もなきたこ焼きやもまた、味わい深いものがあるのです。

●「まちごとホテル」が成立する理由

 SEKAI HOTELを運営するのは大阪のクジラ株式会社。不動産・デザイン・建築のプロフェッショナルが集う企業です。

 一般的に、不動産と建築は分業されることが多いものの、KUJIRA株式会社ではそれらをワンストップで手がけることで、より一貫性のあるリノベーションを実現しています。

 特にSEKAI HOTELのプロジェクトでは、築年数の経った建物を、地域の歴史や文化と調和しながらモダンに生まれ変わらせる手法を採用。古き良きものを活かしつつ、新しい価値を加えることで、滞在そのものが「体験」となるよう設計されています。

 空間のデザインだけではなく、そこに流れる時間・物語までを創造することも視野にいれて、関西を中心に躍動しているのです。

 そんな彼らが提案する同ホテルは、歴史ある商店街の建物をリノベーション。デザイン性と快適性を融合させた空間となっています。

◾️モダンなデザイン:日本家屋の風情を残しながらも、モダンなインテリアと照明で洗練された雰囲気。
◾️木の温もりを活かした内装:天然木や漆喰の壁を活かし、ぬくもりと落ち着きを感じられる空間。
◾️プライベート感のあるくつろげる客室:賑やかな商店街のすぐそばにありながら、客室内は過ごしやすい設計(部屋による)。

 また、一人旅から家族旅行、グループ旅行まで、多様な客室が用意されているのもうれしいところ。

◾️スーペリアルーム(家族向けの広々とした贅沢な設え)
◾️ツインルーム(友人やカップルに最適な落ち着いた空間)
◾️ドミトリータイプ(リーズナブルな価格で利用可能な相部屋)

 古家をリノベーションした布施のそれは、ドミトリーとツイン、そして家族向けのスーペリアールームが用意されており、日常に飛び込むための準備ができています。旅の目的やスタイルに合わせて選べますね。

●「地域と共に成長する」ホテルとして

 SEKAI HOTELのコンセプトは、関西から全国へ、そして世界へと広がりつつあります。2022年12月には富山県高岡市に新たなSEKAI HOTELが誕生。今後も、各地でその街ならではの「日常に溶け込む旅」を展開していく予定です。

「たこ焼き一つおまけしとくわ」「おつり900万円な」——。そんな大阪ならではの軽妙なやりとりに触れるだけで、旅の記憶は一層鮮やかなものになるはず。

 旅人と地域が交わることで生まれる、小さな奇跡の積み重ね。それこそが、SEKAI HOTELが目指す「本物の旅の贅沢」なのかもしれません。

●施設概要
「SEKAI HOTEL Fuse」
大阪府東大阪市足代1-19-1
06-6748-0750

カフェ営業時間:1pm – 10pm
チェックイン対応時間:3pm – 10pm
休館日:水・木曜
※状況により、予定なく休館日が変更になる場合がございます。

なんば駅(道頓堀周辺)から電車で10分
近鉄大阪線・奈良線「布施駅」より徒歩約5分
大阪メトロ千日前線「小路駅」より徒歩8分
※専用・提携駐車場がございません。
https://www.sekaihotel.jp

Gallery 【画像】商店街に泊まる?謎のスタイルを画像で見る(17枚)
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