クラシックカーへの愛が止まらない!? 時計メゾン・ショパールと伝説の公道レース「ミッレミリア」に見る“ステキな関係”とは
時計業界最長かも!? 38年間も続く支援と協賛
先日、ショパールからタブロイド新聞のスタイル、それもイタリアの有名なスポーツ新聞「ガゼッタ・デロ・スポルト」のフォーマットで作られた「ミッレ ミリア」の新作2モデルのプロモーションパンフレット「LA GAZZETTA DI CHOPARD」が届いた。
ショパールは数年前からこのスタイルでプロモーションパンフレットを作っている。その最新版、今年は8号目なので同業者の方にとっては「ああ、いつもの」と思うだろう。
でもこのパンフレット、クルマ好きには絶対に観てほしいし、ショパールとミッレミリアの特別で素敵な関係を理解できる素晴らしい内容なのでぜひご紹介したい。

時計ブランドのような大企業がイベントを支援や協賛をすることは珍しくはない。ではなぜ支援するのか。それはお互いの利益になるからだ。ただ、企業にとって短期的な利益になるケースと、長期的な利益になるケースがある。
どんなイベントにもお金はかかる。企業がプロモーションに直結しないイベントや活動を応援してくれれば、イベントの主催者は運営費の調達ができるので、安心してイベントを開催することができる。
しかも長期間の定期的な支援・協賛であれば、しっかり運営計画を立てて事前準備も行うことができる。
また時計ブランド側にとっても、イベントの支援・協賛はブランドイメージや製品イメージの着実な向上につながる。さらにイベントにちなむ商品の開発・展開も行える。双方にメリットがある。

そして短期的な利益が目的の支援と協賛の場合は、1回限りや回数を絞ったものが多い。続いてもせいぜい数年間。ほとんどがこちらだ。
経営責任者が短期的な成果を求められることの多い大企業では、それは仕方がないことだろう。
特に大企業では、同じ経営責任者が長くその場に留まるということは、よほど特別な場合でない限りあり得ない。
人事異動は企業内の活性化にとって不可欠だし、人事抗争もその意味では企業内の活性化のひとつだ。その結果、マーケティングやプロモーションの担当者も数年ごとに変わる。担当者が変わったら支援と協賛の関係も白紙になる。再構築しなければならない。
だから1988年から現在まで、今年2025年で38年間も続いてきた、きっと今後も続く、ショパールによる伝説の公道レースイベント・ミッレミリアの支援と協賛は、時計業界に限らずどの業界でも異例中の異例、奇跡的な素晴らしいことなのだ。どんなに称賛しても、しすぎることはないだろう。

成功を続ける家族経営だから行える支援と協賛
なぜショパールとミッレミリアはこんな長期にわたる「ステキな関係」を築くことができたのか?
それは改めて言うまでもなく、ショパールがショイフレ一家による家族経営、それも成功を続ける家族経営企業だから実現できたことだ。
加えて、何よりも大きな理由がもうひとつある。それは、ショイフレ家は素晴らしいカーコレクションを持っているモータースポーツエンスージアスト一家であり、何よりも誰よりも自動車文化を、そしてクラシックカーを愛しているからだ。

現会長のカール・ショイフレ3世と、その息子で現共同社長のひとりカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏は自身のクラシックカー、ヴィンテージカーコレクションで支援・協賛を開始した1988年からミッレミリアに自身で出走。
息子のカール‐フリードリッヒ・ショイフレ共同社長は自らステアリングを握って毎年出走。今年2025年は、自身の息子で「アルパイン・イーグル」をデザインしたカール-フリッツ・ショイフレとこのイベントに出走してこのイベントを楽しんでいる。
そして出走者への参加賞という顔も持つショパールのスポーツウォッチ「ミッレ ミリア」コレクションは、クルマ関連のウォッチコレクションの中でも、ミッレミリアに出走しているクラシックカー、ヴィンテージカーと同様に、世界でいちばんクラシックでエレガントでスポーティな時計として唯一無二の存在だ。今年も魅力的な2本の新作が登場している。
ミッレ ミリア GTS パワーコントロール – 2025 レーシング エディション
Ref. 168638-3001
114万4000円(税込)世界限定250本

ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ トリビュート トゥ サー・スターリング・モス
Ref. 168619-3012
161万7000円(税込)世界限定70本

ミッレミリアは、イタリア語で「1000マイル」という意味そのままに、イタリアの1927年に始まった公道レースだ。
世界でいちばん美しい公道レース・イベント
サーキットを走るような当時最新型の純レーシングカーが、北イタリアの古都でロンバルディア州の州都であるブレシアから南下してサンマリノを経てローマ、さらに再びブレシアまで、美しい田園風景の中の公道をアクセル全開で疾走してトップチェッカーを目指す。現代では安全上も絶対に不可能な実現不可能な夢の公道レース。

「世界で最も美しいレース」としても知られ、第二次世界大戦中には中止されたものの、1947年には復活。しかし1957年に、伝説のダンディ・ドライバーだったスペインのアルフォンソ・デ・ポルターゴ侯爵がドライブするフェラーリが観客を巻き込んだ死亡事故が原因で中止になった。
その後、1977年に、当時参戦した実車とその同型車のみが参加できるタイムトライアル方式のクラシックカーイベント「ミッレミリア・ストーリカ(Mille Miglia Storica)」として20年ぶりに復活。
隔年で開催されることに。そしてショパールが支援・協賛を始めた前年の1987年以降は、ジャッキー・イクスやクレイ・レガッツォーニ、ミカ・ハッキネンなどの元F1ドライバーや、スターリング・モスなどの初代ミッレミリアに参加したドライバーも多数参戦する、格式の高いクラシックカーラリーとして毎年開催されている。
筆者は幸運にも200x年にこのイベントのプレスツアーに参加。ブレシアの広場での車検、スタートから前半のブレシア〜ローマ間のコースを、アウディのカブリオレを香港からの若い同業者のお兄さんとコンビで取材、体験している。
そこで、日本からは想像できない、大人から子どもまであらゆる人に何世代にも渡って浸透しているイタリアやヨーロッパの自動車文化の奥深さ、イタリアの美しい風景をダイナミックに身体全体で体験することができた。これまでご紹介した写真はその時に撮影したものだ。
カーエンスージアスト必見!
今回、送っていただいた「LA GAZZETTA DI CHOPARD」(MILLE MIGLIA 2025 |#8)には、このミッレミリアの中でも最も有名な1955年のレースで、伝説のイギリス人コンビ、伝説のレーシングレジェントであるサー・スターリング・モスとモータージャーナリストでコ・ドライバーを務めたデニス・ジェキンソンがガルウィング式のドアで知られる伝説のレーシングカー「メルセデス 300SLR」で樹立したミッレミリア史上最速記録、平均時速98.55マイル(平均時速157.65キロ)のレースを描いたコミック「THE ETERNAL LEGEND OF THE 1955 MILLE MIGLIA」が掲載されている。
ぜひ読みたいという方は、あなたのお近くの「ショパール ブティック」に足を運んでみては。
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