VAGUE(ヴァーグ)

「ケーニッヒはバブル期の遺産か?」どうして日本で販売された輸入車が海外に流出するのか

バブル全盛期の派手を通り越した奇抜スタイリングとは

 その名が世界に知られるようになったのは、1980年代にまで遡る。ポルシェやメルセデス・ベンツ、フェラーリなどをベースとしたコンプリートカーを次々に発表していったケーニッヒが、もっとも注目を浴びたのは、派手を通り越した奇抜なスタイリングだった。

 ベース車のデザインを活かしつつ、大きく膨らませたブリスターフェンダーや、大きな開口部を持つダクトの装備したフロントバンパーのデザインは、ひと目でケーニッヒだと分かる独特なものだった。

  • よく見ると、ピラー以外はすべてケーニッヒの手が加わってるエクステリア(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●バブル期の日本で販売されたケーニッヒ

 日本でもケーニッヒは人気が高く、バブル期後半は六本木通りや赤坂の外堀通りなどでよく見かけたものだった。そのクルマが、単にエアロパーツを装備しただけのものだったのか、コンプリートカーだったのかは、今となっては覚えていない。しかし相当数のコンプリートカーが、当時日本に存在していたことは確かなことだった。

 2021年11月6日に開催された、RMサザビーズオークションに出品された1990年式メルセデス・ベンツ「560SECケーニッヒ・スペシャルズ」は、そんな日本で販売されたコンプリートカーの1台だ。

 エンジンにはアルブレックス社製のスーパーチャージャーがセットされ、最高出力はノーマルの268bhp(約272ps)から、400bhp(約405ps)にパワーアップされている。

 装備されているエアロパーツ、というよりもボディキットは、ケーニッヒ・バージョンIIである。ホイールはケーニッヒのセンターキャップをセットした、おそらくはオーゼットのフッツーラではないかと思われるものが装備されている。サイズは17インチだ。

 インテリアはブルーブラックメタリックとブラックレザーでまとめられており、フロントシートはシートヒーター付き。日本で販売された高級輸入車の多くと同じく、この個体もインテリアの状態は非常によく、ヤレや擦れなどは見られない。だからこそ、日本から欧州や米国へ流出するのである。

  • 約405psにパワーアップされたエンジン(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 2014年、この個体は日本からイギリスへと輸出されており、2014年4月にイギリスで登録されている。その後、メルセデス・ベンツの整備で知られるジョン・ヘイズ・オートテクニクスに入庫し、スーパーチャージャーの修理やベルトの交換を、1650ポンド(約25万円)ほどを掛けておこなっている。

 2020年夏には、ショックアブソーバーやタイヤ、フロントコントロールアームブッシュの交換をおこない、2021年5月にはエアコンガスの充填やプラグ、ラジエーターの交換といった整備を受けている。現在の走行距離は9万1275kmだ。

 残念ながらオークションでは流札になってしまったが、この見るからに極上といっていい560SECは12万5000ポンド(邦貨換算約1900万円)で継続販売中。

 1990年代のクルマは、クラシックカーではなく、ヤングタイマーと呼ばれている。そのなかでも希少といえる1台だけに、イギリスに渡ってしまったのが惜しい個体だ。

Gallery 【画像】バブル期に日本で走っていたケーニッヒ・スペシャルズとは(26枚)
「2段あたため」レンジがすごすぎるっ!? 最新レンジを徹底紹介

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