「ケーニッヒはバブル期の遺産か?」どうして日本で販売された輸入車が海外に流出するのか
憧れだったチューニングブランドの究極のコンプリートカー
1980年代後半から1991年初頭まで続いたバブル期は、さまざまな方面でお金が動いていた時代だった。目に見えるのは消費の派手さだったわけだが、それ以外の部分、たとえば設備投資や技術開発などにも、いまから見れば潤沢な予算が割り振られていた。
これはクルマの開発でも同じであった。もちろん当時なりのコスト抑制という概念はあったのだろうが、いいものをつくれば多少販売価格が高くても売れるという時代であったため、自動車メーカーはこぞって新技術を投入したクルマをつくっていた。いま人気の、中古車価格が高騰している90年代前半のクルマは、このバブル期に開発されたものだ。
●コンプリートカーとドレスアップカーの違い
同時にバブル期は、クルマのアフターパーツ業界が大きく伸長した時代でもあった。それまでのアフターパーツは、いわゆる峠族やレーシングカーに憧れる人たちが、チューニングを目的としたパーツをクルマに装着するといった程度の小さな世界だった。クルマをカスタマイズするというのは、マニアックな趣味だったのである。
しかしバブル期には、他人とは違うスタイルを求める人が増え、ホイールの交換はもちろん、車高を下げたりエアロパーツを取り付ける、などといった、チューニングとはちょっと違う、ドレスアップという概念でのカスタマイズが多くの人に受け入れられるようになった。そうした楽しみ方を好む人たちの憧れとなっていたのが、チューニングブランドのコンプリートカーである。
コンプリートカーとは、チューニングブランドがクルマ1台を丸ごと自社製パーツを使ってカスタマイズすることで、ノーマル車の性能アップや、ブランド独自のイメージへと変化させた完成車のことである。
クルマは、トータルバランスが非常に重要だ。たとえば、エンジンパワーを向上させた場合、それに見合うブレーキシステムやサスペンションが必要となる。さらにパワーアップに伴う高速走行に合わせて、空力特性も高いレベルでまとめなければいけない。
もちろん、これらの各パートを個別にカスタマイズしていくことも可能だ。しかし、見た目だけのカスタマイズでいいのなら、深く考えずに見栄えの派手なエアロパーツやホイールをセットするという選択もある。
しかし実際に高いレベルの走行性能を実現し、それに見合った裏付けのあるパーツが装備されているコンプリートカーは佇まいから特別なオーラを放っており、カスタマイズの完成形のひとつといっていい。
そうしたコンプリートカーのなかで、人気となっていたもののひとつがケーニッヒである。ケーニッヒ──正式にはケーニッヒ・スペシャルズは、1977年にドイツで設立されたチューニングメーカーのことである。
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