もはやポルシェの新車が買える「ワーゲンバス」驚愕の値段がついたVW「タイプ2」とは
愛嬌ある顔した「タイプ2」はいかにして生まれたのか
後輪の車軸後方に水平対向4気筒空冷エンジンを搭載したVW「タイプ1」、通称「ビートル」は世界的なヒット車となった。フロントにエンジンを搭載し後輪を駆動するFRレイアウトではトランスミッションとデフをつなぐプロペラシャフトが室内空間を圧迫するのに対し、後部に搭載されたエンジンとトランスミッションが後輪を駆動するRRレイアウトではプロペラシャフトはいらず、そのぶん車内空間を広くできる。また、車体前部に重量物であるエンジンがないことから、操舵力も軽くなる。パワーステアリングなどなかった時代、これは大きなメリットであったといえる。
●ビートルをワンボックスにした「タイプ2」
そんなタイプ1をベースに箱形のボディを乗せ、荷物をたくさん積めるクルマをつくろうというアイディアから開発されたのが、今回紹介するVW「タイプ2」だ。ビートルは戦時中の1930年代から開発がはじまり、1940年代前半にはすでに生産されていたが、市場向けの生産が本格的に始まったのは1945年。
このタイプ2は1947年にアイディアスケッチが生まれ、プロトタイプは1949年に完成。1950年から市販が開始され、ドイツ本国では1967年まで、ブラジルにあるVWの現地法人では、1975年まで生産されていた。
その特徴は、ワンボックスタイルのボディにある。いわゆるキャブオーバー型といっていいスタイルなのだが、タイプ2の場合、エンジンはリアにあるので、フロントのエンジンの上に運転席があるというキャブオーバーという概念には、正確にいえばあてはまらない。しかし、車軸の上に運転席があるという意味では、キャブオーバーの一種であるともいえるだろう。
このビートルと比べると大きな重いボディを架装するために、基本的なコンセプトはビートルと同じとはいえフレームはラダー式が新規に開発されることとなった。サスペンションも重さに耐えられるよう強化されているし、重量物を積載することを考慮し、ハブの内部にギアを組み込むリダクションハブを採用することで、高トルクを発生できるようになっている。そのぶん、最高速度はビートルよりも遅い。
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