技術革新でイージー操作による快適ドライブを実現
エモーショナルなカーデザインへの挑戦とは対照的に、キャデラックはクルマをより便利で魅力的なものとし、女性を含む新たな層へと普及させるロジカルな挑戦も続けてきた。その一環として、キャデラックは世界初の技術を次々と開発、実用化してきたのである。
キャデラックが生んだ革新的技術、その最たる例が“セルフスターター”だろう。キーをひねったりスターターボタンを押したりしてエンジンを始動させる電気式セルフスターターの前身を、キャデラックは1912年に世界で初めて実用化した。それまで自動車は、エンジンのクランク棒を手動で回し始動させていたが、かなりの重労働である上、危険をともなう作業だった。
そこでキャデラックは、エンジン始動用の電動モーターをクルマに搭載。力の強い男性に頼っていたエンジン始動操作を、誰でも簡単におこなえるようにしたのである。クルマへと乗り込んで、スターターボタンを押してエンジンを始動させる……。現在、クルマで出かける際に誰もがなにげなくこなすこの一連の行為も、キャデラックなしには実現していなかったかもしれない。
またキャデラックは、1912年に高電圧電気点火システムやヘッドライトをはじめとする灯火類などを融合した“デルコ・エレクトリカル・システム”を世界で初めて実用化し、スイッチひとつでさまざまな装備を作動させることが可能にした。
さらに1915年には、“ティルトビームヘッドライト”を世界で初めて実用化した。これは、ダッシュボードに備わるハンドル型スイッチでヘッドライトの照射角度を調整できる仕組みで、今でいうハイビームとロービームの切り替え機構である。
現代では当たり前の装備となったオートマチックトランスミッションも、ゼネラルモーターズが世界に先んじて実用化した技術である。“ハイドラマティック・4段オートマチック・トランスミッション”と呼ばれた世界初のATは、1940年にキャデラック「シリーズ60スペシャル」に初搭載。キックダウンなど現代も使われる機構がすでに盛り込まれていた。
このほかキャデラックは、1951年に初採用したパワーステアリングをいち早く全モデルに標準装備化したり、1959年に世界で初めてクルーズコントロールを実用化したり、1964年にそれまでの常識を打ち破るサーモスタット式冷暖房システムを初導入したりと、いつの時代も技術革新に注力。イージーな操作で快適なドライブを楽しめる機構を次々と世に送り出した。
●時代の要請に合わせて安全性能や環境性能の向上にも注力
キャデラックがテクノロジーにおいて追求してきたのは、快適性の向上やイージードライブだけではない。安全性能や環境性能の向上にもしっかりと注力してきた。
安全性能に関しては、それまで培った性能と名声を一段とイノベーションすべく、1974年にエアバッグを世界で初めて導入。一方、環境性能の追求においても、1963年にゼネラルモーターズが世界で初めて開発した“PCVバルブ”を採用したり、1975年にキャブレターに代わってEFI(エレクトロニック・フューエル・インジェクション)と呼ばれる電子制御燃料噴射器をアメリカ車でいち早く導入したりすることで、排出ガスの低減や燃費効率の向上を積極的に推し進めた。
このようにキャデラックは、イマドキのクルマでは当たり前となった機構や装備を世界で初めて生み出し、その普及に邁進してきた。それによってドライビングの民主化やクルマの大衆化が実現した結果、私たちは日々、クルマのある暮らしを楽しむことができるようになったといっても過言ではない。
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デザインもテクノロジーも現状に決して甘んじることなく、オリジナルを追求し、未知の世界へと挑戦し続けるキャデラック。その姿勢は、創業120周年を迎えた今も変わることはない。エモーショナルな革新的デザインと、ロジカルな革新的技術が融合しているからこそ、キャデラックは長きに渡って人々に支持されているのである。
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