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“レンタカー上がり”のフォード「マスタング」が高額な理由 シェルビーが手を入れた“レンタレーサー”とは

“レンタレーサー”として人気を博したモデルがオークションに

 かつてハーツ・スポーツカー・プログラムが取り扱っていたのが、あのシェルビーがフォード「マスタング」をチューニングしたレンタカー専用モデル、シェルビー「GT350H」。“レンタレーサー”として人気を博したこのモデルが、オークションに出品されて注目を集めています。

フォード「マスタング」をベースに、シェルビーがチューニングを施したシェルビー「GT350」。「GT350H」はそのレンタカーバージョンとして製造された(C)Mecum Auctions
フォード「マスタング」をベースに、シェルビーがチューニングを施したシェルビー「GT350」。「GT350H」はそのレンタカーバージョンとして製造された(C)Mecum Auctions

 スポーツカーをレンタルするハーツ・スポーツカー・プログラムは、レンタカー会社のハーツが提供していたサービスです。そもそもハーツは、フォード「モデルT」をレンタルする“レンタカー”という社名で1918年に創業。数台で始まったレンタカービジネスはわずか5年で600台の所有台数を抱えるまでに拡大しました。

 ビジネスのさらなる拡大を見越し、1923年にはイエロー・トラック&コーチマニュファクチャリング社がレンタカー社を買収。同社の社長がジョン・ハーツであったことから、社名をハーツ・ドライブ・ユア・システムへと変更します。

 その後、GM(ゼネラルモーターズ)傘下に収まった同社は、フランチャイズ権をリーマン・ブラザーズが融資するパッケージで全米に販売。これを快く思わなかったのか否かは定かではありませんが、ジョン・ハーツは1953年、GMからハーツ・ドライブ・ユア・システムを再度、買い取り、ハーツ・コーポレーションへと社名を変更しました。

 GMを離れた暁に、ハーツはフォード車を大量に仕入れることになりました。どんな商売にも当てはまることですが、大量仕入れをすればディスカウント率が高まります。自動車メーカー系なら、登録台数稼ぎにもつながりますしね。

●走行距離は5538マイル!? フルレストア済みがオークションに

 1960年代半ば、スポーツカーをレンタカーとして取り扱うハーツ・スポーツカー・プログラムをテコ入れするため、ハーツはマスタングの導入を検討していました。

 そんなウワサを聞きつけたシェルビーの敏腕営業マンは、ハーツ側に対して「どうせなら、シェルビーがチューニングしたマスタングの方が人気出ますよ!」と説得。かつて、ブラックのボディにゴールドのストライプを入れたスポーツカーをハーツがレンタルしていたことも調べ上げ、シェルビーがチューニングを施したGT350Hを提案したそうです。

 するとこれがハーツ側に大ウケ。レンタカーユーザーにとっても、当時、レースシーンで大活躍していたシェルビーが手がけたマスタングとあって、相当な人気を集めたそうです。

 ダッシュボード上にタコメーターが配され、ショックアブソーバーがコニ製になっていたり、シェルビーのロゴが入った3本スポークのウッドステアリングがおごられたりと、GT350Hはレンタカー(Rent a car)ならぬレンタレーサー(Rent a race)として大人気を博しました。

 最高出力306psを誇る4700cc(289キュービックインチ)のV8エンジンに3速ATを組み合わせたGT350Hは、幅広い年齢層がさぞかしブイブイいわせていたのでしょう。

 その後、全米各地のオーナーの手に渡ったレンタレーサーですが、直近でフルレストアが施されたのが今回の個体です。最近、アメリカの老舗自動車オークションハウス、メカム・オークションズに出品されていました。オークションサイトの写真は、どれを見ても驚くほどきれいな状態に保たれています。

 1001台限定(2台はプロトタイプ)というレアさ、フルレストア済み、(真偽のほどは定かではありませんが)走行距離もたった5538マイル(約8913km)とあって、出品者は強気だった様子です。17万6000ドル(約2420万円)まで入札がありましたが、最低落札価格には満たなかったようです。

“レンタカー上がり”ってネガティブな要素にとらえられるのが一般的ですが、ハーツ用に仕立てられたシェルビーのGT350Hは、ちょっと違うようです。なお、GT350HにはMT車も存在したようで、こちらはコンディションのよいものだと25万ドル(約3438万円)で落札されるほどの人気だそうです。いやはや、MT車の付加価値ってスゴいですね。

Gallery 【画像】オークションに出品されたかつての“レンタレーサー”シェルビー「GT350H」を見る(13枚)
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