マツダからポルシェ911対抗のスポーツカー誕生か!? ロータリーエンジンの開発も推進! 市販化へと前進したコンセプトカーの未来とは
マツダの熱い思いを形にしたコンパクトスポーツカー
マツダは東京オートサロン2024の会場で、「ロードスター」と「マツダ3」をベースとする“モータースポーツ直系“のコンセプトモデルを世界初公開しました。
その席上、マツダの代表取締役社長兼CEOを務める毛籠勝弘氏から、ちょっとしたサプライズ発言があったのです。
マツダが東京オートサロン2024の会場で世界初公開したのは、「ロードスター」と「マツダ3」をベースとする2台のコンセプトモデル。それぞれ、「マツダスピリットレーシングRSコンセプト」、「マツダスピリットレーシング3コンセプト」と名づけられ、“モータースポーツ直系“の刺激的な走りを味わえるモデルを目指しているといいます。
その紹介に先立ち毛籠氏は、ジャパンモビリティショー2023で世界初公開したコンパクトスポーツカーのコンセプトモデル「MAZDA ICONIC SP(マツダ アイコニック エスピー)」について触れました。
「『MAZDA ICONIC SP』は、時代が変わっても、その時代に適合したソリューションで『クルマっていいよね、楽しいよね』ということを提供し続けていくんだ、という私たちの思いを、コンパクトスポーツカーという形にまとめたものです」
“ヴィオラ・レッド”に塗られた「MAZDA ICONIC SP」は、左右のドアに特徴的な“シザーズドア”を採用。スーパーカーのような斬新なルックスでも注目を集めるコンセプトカーです。
印象的な走りのよさを想起させる低重心で美しいプロポーションは、マツダならではのコンパクトでレイアウトの自由度が高い2ローター・ロータリーEVシステムによって実現したもの。軽量・コンパクトなロータリーエンジンをクルマの中央部に寄せて搭載することで、低いボンネット高の実現を想定しています。
また「MAZDA ICONIC SP」は、2ローター・ロータリーEVシステムが発生する高出力と、さらに低重心なプロポーション、そして50:50の前後重量配分により、優れた運動性能を実現するともうたわれています。
駆動力を生み出すバッテリーは、再生可能エネルギー由来の電力で充電すると実質的にカーボンニュートラル燃料での走行が可能に。また、水素などさまざまな燃料を燃やせるロータリーエンジンの拡張性の高さを活かし、2ローター・ロータリーEVシステムはカーボンニュートラル燃料での発電を想定しているといいます。
普段はモーターとバッテリーで駆動するEV(電気自動車)として、一方、出かけた先ではロータリーエンジンの発電によって航続距離を気にすることなく自由にドライブを楽しめる「MAZDA ICONIC SP」。ラゲッジスペースにはふたり分のキャリーバッグを積載できるなど十分な実用性を備えており、ちょっとした旅行も心置きなく楽しめるといいます。
スポーツカーならではの気になるパフォーマンスは、システム出力370ps、車両重量1450kg、パワーウエイトレシオ3.9kgを想定。毛籠氏いわく「ポルシェ『911』相当のパフォーマンスを秘めている」ということですから期待がふくらみます。
●ロータリーエンジン開発グループの立ち上げを明言
カーボンニュートラル時代においても。人々をワクワクさせる夢のコンパクトスポーツカーを提案したいと意欲を見せるマツダ。しかし、「MAZDA ICONIC SP」の市販化には、高い壁があると思われてきました。
そんななか毛籠氏は、東京オートサロン2024の会場で次のように発言。周囲を驚かせました。
「このコンセプトカーへは、多くの賛同や激励をいただきました。大変うれしく感激しています。この場を借りて皆さんに御礼申し上げます。皆さまに背中を押されて、この(市販化の)夢に近づくべく、(2024年)2月1日にロータリーエンジン開発グループを立ち上げます。
カーボンニュートラル時代に向けた課題をブレークスルーするため、エンジン方式の垣根を超えた広い技術視座と最先端の内燃機関技術を習得し、モデルベース開発の使い手としての鍛錬を経たロータリーエンジンの技術者たちが再結集します」
なんと、ロータリーエンジンの開発推進を力強く明言したのです。
「そう甘くはないですが、飽くなき挑戦の新しいチャプターへ一歩進めれば、と思っています」と毛籠氏がつけ加えたように、世界中の自動車メーカーでマツダしか実用化できていない2ローター・ロータリーエンジンの開発推進は、決してやさしいものではないと推測されます。
しかし、これまで「ロードスター」や「RX-7」といったスポーツカーを量産してきたマツダだけに、新発想のパワートレインを持つ新時代のコンパクトスポーツカー「MAZDA ICONIC SP」の誕生にも期待がふくらみます。
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実は毛籠氏がロータリーエンジン開発グループの立ち上げを明言した同日、トヨタ自動車の代表取締役会長を務める豊田章男氏は、トヨタ社内で新たに、エンジン開発を進めていくプロジェクトが動き出したとコメントしています。
同じ日にトヨタとマツダがエンジンの新規開発について発表したことから、東京オートサロン2024の会場では、「マツダのロータリーエンジン開発をトヨタがサポートするのではないか?」とか、「トヨタとマツダが共同でエンジンを開発するのでは?」といった声も聞かれました。
実際はどのような顛末となるのか蓋を開けてみるまで分かりませんが、コトの進展を見守りたいところです。