クルマの“顔”に異変!? 最近「フロントグリル」のないモデルが続々と登場 “カーデザインの流行”だけでない理由とは?
フロントグリルがないモデルが増えた理由は「BEV」にある
一方、近年ではフロントグリルそのものが存在しないモデルが増えているようです。

ボルボの新型「EX30」や、テスラ「モデル3」「モデルX」などはその代表格といえます。
また、たとえばレクサス「RZ」やBMW「i7」といったモデルでは、それぞれ一見すると「スピンドルグリル」や「キドニーグリル」を模したデザインが採用されています。
しかし「グリル」の本来の意味は「格子状の柵や網」といったものであり、風を通すことのできる構造であるというニュアンスが含まれているなかで、これらのグリルはそうした構造とはなっていません。その点において、RZやi7は「グリルのデザインだけを採用しているが、フロントグリルそのものはないクルマ」と言うことができます。
ではなぜ、こうしたクルマは増えつつあるのでしょうか?
その謎を解くキーワードとなるのが「BEV」です。
この2つのクルマは、どちらも内燃機関を備えないBEVであるという点で共通しています。そもそもフロントグリルは、走行時にボンネット内部に空気を流入させることで、エンジンおよびその周辺部を冷却するという役割を持っています。
エンジンが大きくなればなるほど、冷却のために必要な空気の量も多くなるため、より大きなフロントグリルが必要となります。そのため、大きな開口部を持つフロントグリルは、ハイパフォーマンスカーの象徴とされてきました。
逆に言えば、ボンネットの内部にエンジンがなければ、フロントグリルそのものが必要ないということになります。実際、ミッドシップにエンジンを置くモデルでは、大きなフロントグリルを見ることがありません。
もちろん、BEVであっても一定の冷却は必要ですが、シリンダー内部で断続的に「爆発」が起こっている内燃機関車に比べれば、その程度はごくわずかです。
むしろ、あえてフロントグリルのないデザインとすることによって、内燃機関車との差別化を図り、近未来的なクルマであることをアピールするほうがメリットが大きいと言えそうです。
また、BEVは最新の安全運転支援システムなどとも高い親和性がありますが、こうした機能を採用しているクルマの多くはフロントグリルの内部にカメラやレーダーなどを搭載しています。フロントグリルレスとすることで、これらの機器を守るというメリットもあります。
さらには、整流効果を高めることによる走行性能や電費効率の向上も期待できます。
こうした観点で見ると、メルセデス・ベンツ「EQ」シリーズやアウディ「e-tron」シリーズ、あるいは日産「アリア」などは、すべてフロントグリルのないデザインを採用していることがわかります。
今後BEV化が進めば進むほど、フロントグリルのないクルマが増えていくことが予想されています。
一方、これまではフロントグリルレスであることを明確にするデザインが主流でしたが、i7のようにあえてグリルがあるかのようなデザインを採用するケースも見られるようになっており、デザイナーの腕が試される部分となりそうです。
※ ※ ※
グリルレスのデザインを積極的に採用してきたのがテスラです。先進的なイメージの強いテスラですが、フロントグリルを無くすという当時としては斬新なデザインも、そうしたイメージに貢献していることは間違いなさそうです。
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