「迷惑!」と思われる前に… 満員電車でのスーツケース持ち込みはアリ?ナシ? ネットで呟かれる賛否の声とは
鉄道会社の対応と求められる“折り合い”とは
こうした状況に対応するため、鉄道会社の中には大型荷物置き場を設けた車両を導入しているところもあります。

たとえば、京成スカイライナーや小田急ロマンスカーなどの特急列車には、専用の荷物スペースが設置されています。
大きなスーツケースを安全に保管できるようにすることで、車内の通行を妨げない工夫がされています。
しかし、これらの設備はあくまで一部の特急列車などに限られており、一般的な通勤電車では大型荷物置き場が設けられている車両はほとんどなく、ラッシュ時には立つスペースを確保するだけでも困難です。
そのため、実際には利用者のマナーや配慮に委ねられているようです。
SNS上では、「通勤時間帯だけでもいいから、スーツケースやベビーカー専用車両を作ってほしい」といった声も見られます。混雑を避けるのが難しい都市部では、時間帯や車両を分けるなどの折衷案を求める意見も少なくありません。
また、荷物の持ち込みについて具体的なルールを明示している鉄道会社もあります。
たとえば、西武鉄道は「縦・横・高さの3辺の合計が250cm以内、重量が30kg以内のものであれば2個まで持ち込み可能。ただし、1辺が200cmを超えるものは不可」と定めています。
これは、マナーの問題としてではなく、ルールとして明確に示すことでトラブルを防ぐ試みといえます。
実際、海外の都市鉄道では車内への大型荷物の持ち込みを制限している例も多く、公共交通機関として安全かつ快適に運行するための仕組みが整えられています。
日本でも観光需要の増加にともない、同様の仕組みを検討する必要があるかもしれません。
とはいえ、現時点ではルールが統一されているわけではなく、鉄道会社ごとに基準が異なります。そのため、利用者が事前に確認し、状況に応じて対応することが求められます。
たとえば、混雑する時間帯を避ける、荷物を小分けにする、駅のコインロッカーを利用するなど、できる範囲での工夫も大切です。
また、スーツケースを持ち込む際は、通路やドア付近に置かず、他の乗客の動線をふさがないよう配慮することが望ましいとされています。
※ ※ ※
電車内でのマナーをめぐる議論は、個々の感じ方や事情の違いによって意見が分かれる傾向にあります。
スーツケースを持つ人にも、旅行や出張など避けられない事情がある一方で、通勤などで日常的に電車を利用する人にとっては、混雑時の荷物は大きな負担となります。
公共交通を利用する以上、互いに譲り合いと配慮の意識を持つことが欠かせません。鉄道会社による案内や設備整備に加え、利用者自身がマナーを意識することが、快適な車内環境につながるといえます。
行楽シーズンや年末年始の帰省ラッシュを迎える今こそ、乗客一人ひとりの思いやりが試されている時期といえるでしょう。
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