現存するのは世界でたった2台! 6ドアで広いガラスエリアが未来的な 半世紀前のフィアット「6人乗りミニバン」を発見 どんなクルマ?
フィアットの工場を見学するためのモデル
2026年5月に開催されるコンコルソ デレガンツァ ヴィラ デステでのブロードアローオークション主催のイベントで、1977年式フィアット「850Tビジターバス」が出品される予定です。どんなクルマでしょうか。
1970年代、フィアットの社長であったジャンニ・アニェッリ(Gianni Agnelli)は、新設した工場群に重要な来賓客を案内するための、快適な車両の導入を進めました。
この計画は、カスタム仕様のフィアット「600マルティプラ」から始まり、6人乗り「850 Tファミリアーレ」へと発展していきましたが、アニェッリはさらに上質な移動空間を求めていました。
そこで、マルチェロ・ガンディーニ率いるベルトーネに白羽の矢が立ち、究極の見学用バスの開発が依頼されました。ベースは従来の850ながら、ベルトーネが手がけたフィアット・ビジターズバスは、量産バンとは一線を画す上質な仕上がりとなっていました。

この魅力的な6ドアのミニバスは、6つの独立シートを備え、プレキシガラス製のパノラミックルーフによって、乗員は工場内の様子を遮ることなく見渡すことができました。
また、デュアルエアコンの搭載により、季節を問わず快適な室内環境が保たれていました。
リアに搭載される843ccの直列4気筒エンジンと、イドロコンバート式の4速セミオートマチックトランスミッションの組み合わせは、広大なフィアットの工場敷地内を移動するには十分な性能を発揮しました。
1975年のトリノモーターショーで発表されたこのモデルは、会場内でもひときわエレガントな存在でした。ベルトーネはこの車両を850ファミリアーレの後継量産モデルとする構想を描いていましたが、最終的にそれが実現することはありませんでした。
フィアットはビジターズバスの生産台数を公表していませんが、この1976年式の個体は、製造台数が最大でも6台程度、そのうち現存はわずか2台と考えられる非常に希少な1台です。
シャシ番号345355は来歴が明確で、1977年3月14日にトリノのフィアット本社(コルソ・ジョヴァンニ・アニェッリ200)で登録され、「TOP41547」のナンバープレートを付けていました。こうした登録状況と車両の目的を踏まえると、このビジターズバスは当初の構想どおり、来賓を工場内で快適かつ優雅に移動させる役割を担っていたと考えられます。
1982年にはトリノを離れてリミニへと移り、まずS.p.A.サルティーニに、その後すぐにガーデン・スポーティングセンターS.p.A.へと渡りました。さらに1987年には同じくリミニのポリスポルティーヴァ・ガーデンS.r.l.へと移転し、その後およそ30年にわたって同地に留まっていた記録が残されています。
2023年2月からはフィレンツェ在住の現在のオーナーが取得しています。シャシ345355は、ベルトーネによる特異なプロジェクトの中でも屈指の希少な現存車です。
この1977年式フィアット「850Tビジターバス」、落札価格は8万ユーロから12万ユーロ(1ユーロ=184円換算で、日本円で約1472万円から2208万円)と予想されています。
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