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“完全防水腕時計の祖”ロレックス オイスターの革新性と、オイスター100周年をたたえる「オイスター パーペチュアル 41」が傑作である理由

ホコリと水からムーブメントを守り抜く、ロレックスの「完全防水ケース」の誕生

 私たちが毎日、何気なく腕に着けている腕時計。その歴史にはこれまでいくつかの“革命”ともいえる大きな発明があった。

 そして20世紀前半に起きたそんな発明のひとつが、今からちょうど100年前の1926年に起きた、ロレックスによる「完全防水ケース=オイスター」の発明と、それを採用した防水腕時計「ロレックス オイスター」の発表だ。

 それ以前の腕時計はどれも防水性が不完全なもの、つまりケースが完全に密閉されていない構造のため、ホコリや水や水蒸気がどうしても内部に入ってしまう。そのため、取り扱いには細心の注意が必要だった。

 機械式時計の“エンジン”である機械式ムーブメントは、歯車やレバーやバネとそれを支える軸受、そしてそのスムースな動きを実現する潤滑油から構成されている。

 そして機械式ムーブメントの“天敵”が、こうした部品の動きを妨げ、また部品のスムースな動きを助ける潤滑油の働きを妨げる微小なゴミやホコリ。それ以上にダメージが大きいのが、部品をサビさせる水や水蒸気(湿気)だ。だから、雨の日は使わない。手洗いをするときは必ず腕から外す。こんな配慮が欠かせなかった。

 そしてこの防水性という大問題を腕時計で解決した、つまり完全密閉・防水構造のケースを最初に採用し、この面倒な配慮なしで腕時計を使えるようにしたのが、1926年に発表された初代「ロレックス オイスター」だ。

「ロレックス オイスター」の初代モデル(1926年)©Rolex/Stojan
「ロレックス オイスター」の初代モデル(1926年)©Rolex/Stojan

 これはロレックスが1905年の創立からわずか25年あまりで腕時計の世界で成し遂げた2つ目の「革命」だった。

 ひとつめの革命は、腕時計で歴史上初めてスイスクロノメーター歩度公認検定局から精度を保証する「クロノメーター」の公式証明書を獲得したこと。つまり“精度の革命”だ。

 そしてこの革命に続いてロレックスは「ロレックス オイスター」で“防水性の革命”を成し遂げた。どちらも腕時計の常識を変える、懐中時計に代わって腕時計の普及を促す画期的な出来事だった。

 この革命の立役者、オイスター(牡蠣)という名が付けられたケースの高い防水性=密閉性の秘密は、ベゼル、ケースとリュウズに使われているねじ込み式の構造にある。

 ケースの中胴(ミドルケース)に風防と裏蓋を、そしてケースに圧入されたパイプにリュウズをねじ込めるようにしたことで、それぞれがすき間なくぴったりと密閉できる。これで、ホコリや水や水蒸気がケースの中に入らない完全密閉構造、完全防水構造が実現した。

 1927年、ロレックス オイスターは、イギリス人の女性スイマー、メルセデス・グライツが着用し、彼女と共にイギリス海峡を泳いで横断した。

 このとき彼女が着けていた「ロレックス オイスター」は、10時間以上もずっと水中にあった。だがケース内に海水が侵入することはなく、時計は問題なく動いていた。

 この事実は新聞記事や広告で告知され、「ロレックス」と「ロレックス オイスター」の名とその画期的な防水性は一般の人々にまで広く知られることになった。今日まで続く“ロレックス伝説”はここから始まったのだ。

「防水」と「自動巻き」の融合。100年の歴史を紡ぐ特別なアニバーサリーモデル

 そして5年後の1931年、ロレックスは「オイスター パーペチュアル」の初代モデルで、腕時計における3つ目の「革命」を起こした。

 それは世界初の両方向全回転式自動巻き機構「パーペチュアル」による“時計の持続(使用)時間の革命”だった。完全防水のオイスターケースに自動巻き機構を搭載したことで、手巻き式でリュウズを使って動力源の主ぜんまいを定期的に巻かなければならない「ロレックス オイスター」よりも、微小なゴミやホコリ、水や水蒸気が時計の内部に入る可能性は激減。

 時計の信頼性や耐久性がさらに高まった。「防水で自動巻き」という、現代の機械式腕時計のスタンダードはここで確立されたのである。

 そして今年2026年、ロレックスはその真髄であり原点でもある初代「ロレックス オイスター」の誕生100周年を祝うアニバーサリー(記念)モデル「オイスター パーペチュアル 41」を、今年4月14日(火曜日)から4月20日(月曜日)の7日間開催された世界最大の時計見本市「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ」で発表した。

100周年記念モデル「オイスター パーペチュアル 41」
100周年記念モデル「オイスター パーペチュアル 41」

 初期の「ロレックス オイスター」のケースデザインを思い起こすこのモデルは、“イエローロレゾール”を新解釈し18Kイエローゴールド製のドーム型ベゼルとリュウズを採用。そしてリュウズには「100」の数字が浮き彫りであしらわれている。

 またサンレイ仕上げのスレート文字盤も特別仕様だ。6時位置には通常の「SWISS MADE」に代わって「100 YEARS」の文字が記され、ミニッツトラックの5分間隔の目盛りや、「ROLEX」のブランド名も同じブランドカラーのグリーンに。

 針、インデックス、クラウンロゴにはゴールドを採用。“アニバーサリーモデル”というだけでなく、ダークなトーンを基調にゴールドを差し色にした、華やかさと落ち着きが絶妙にミックスされたこの色使いもこのモデルの見逃せない魅力のひとつ。

 精度、防水性、自動巻き、パワーリザーブの4項目でテストされ遵守されてきた独自の認定「Superlative Chronometer(高精度クロノメーター)」の検査基準に今年から新たに「耐磁性」「信頼性」「持続可能性」がプラスされるなど、見えないかたちだが実質的なスペックアップが図られた今年のロレックス。

 その新作の中でもこのモデルには、ブランドの歴史や伝説がもっとも反映されている。

 この物語を楽しめる人には最もオススメしたい珠玉の1本だ。

ロレックス
「オイスター パーペチュアル 41」
Ref.134303
・142万8900円(消費税込)
・自動巻き(Cal.3230)
・31石
・28800振動/時
・パワーリザーブ約70時間
・ケース径41mm
・SS×18KYGケース&ブレスレット
・100m防水

Gallery 【画像】ロレックスの歴史と100周年モデルの魅力を画像で見る(9枚)
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渋谷ヤスヒト
渋谷ヤスヒト
時計&モノジャーナリスト、編集者
1962年生まれ。文芸編集者を経て、モノ情報誌や時計専門誌の副編集長を務めた後、時計ジャーナリストとして独立。現在はライター、フリー編集者として多方面で活動。特筆すべきは1995年から一度も欠かすことなく続けているスイスの時計フェアや世界各国のブランド取材。30年以上のキャリアに裏打ちされた業界VIPとの信頼関係を活かし、業界全体を俯瞰した独自の記事を執筆する。また時計に留まらず、モノ情報誌の編集者時代のネットワークと知識でIT機器、自動車、家電、食品など、「モノ作り」の現場を幅広く網羅。完成品から下請け企業まで一貫して追いかけ、「人が本当に幸福になれるモノとは何か」を探求し発信中。

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