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AIが“専属シェフ”になる!? 高級家電ブランド・ミーレが見せた、調理から後片付けまで任せる未来のキッチン

セレブリティが認める“家電の王様”

「一生モノの家電」といえば、今から127年前、1899年(明治32年)に創業したドイツの「ミーレ(Miele)」だ。なぜ「一生モノ」なのか。その理由は、他の家電メーカーとは異次元の「20年間の使用に相当する試験に裏付けられた耐久性」。そして「Immer Besser(インマー・ベッサー、ドイツ語で「常により良いものを」という意味)」という経営哲学に基づいた「独自の先進機能」。さらに「飽きのこないタイムレスで美しいデザイン」にある。

 手動の木製洗濯機に始まり、掃除機、ヨーロッパ初の電気式食器洗い機、給水、洗い、すすぎ、脱水を1つの洗濯機で行う全自動洗濯機、初の家庭用電気式タンブル乾燥機と、いつも画期的な製品を開発・実用化してきたミーレ。その名をさらに高めたのが、1969年に発表したシステムキッチンの先駆的なモデルである「Studio M(ストゥデュオ エム)」だ。

 これは当時の他社のデザイン最優先のシステムキッチンとは違い、家事の効率化をどうすれば実現できるかというテーマで行われた調査に基づいてオーブンや食洗機が機能的で使いやすく組み込まれたものだった。現代のシステムキッチンの基本思想はここで確立されたと言ってもいい。

 発売直後からその優れた機能と使いやすさは女性の社会進出が進んでいた母国ドイツですぐに評価され、爆発的な大ヒットを記録。これ以降、現在までミーレは、1983年の世界初となるビルトイン型のスチームクッカーや、1998年の家庭用ビルトインコーヒーマシンなど、常に時代に先駆けた画期的な機能を持つシステムキッチンのためのビルトイン家電を製品化。世界中のセレブリティの間で圧倒的な支持を得ている。

ミラノ・サローネのMieleブース。赤い造形に包まれた会場で、暮らしに寄り添うキッチンの新たな提案を披露した。
ミラノ・サローネのMieleブース。赤い造形に包まれた会場で、暮らしに寄り添うキッチンの新たな提案を披露した。

世界最大の家具見本市「ミラノ・サローネ」で最新機器を発表!

 そのミーレは去る4月下旬にイタリアのミラノで開催された世界最大規模のインテリア家具見本市ミラノ・サローネとミラノ市内ブレラ地区にあるショールーム「Miele Experience Center(ミーレ・エクスペリエンス・センター)」で、最新のキッチン家電機器のコンセプト展示を行い、世界中から集まった来場者を魅了した。

「Designed to Move with You(あなたと共に動くデザイン)」というテーマのように、展示された家電機器はどれも「使う人と一緒に動き、その意思に寄り添う」ようにデザインされている。以下、来場者をブースに釘付けにした具体的な機器を紹介しよう。

ミラノ市内のMiele Experience Centerで初公開された「Miele Compact Living: Kitchen Unit powered by Hettich」のコンセプト 画像。調理・食事・仕事の機能を一つのユニットに集約する。(photo: Miele)
ミラノ市内のMiele Experience Centerで初公開された「Miele Compact Living: Kitchen Unit powered by Hettich」のコンセプト 画像。調理・食事・仕事の機能を一つのユニットに集約する。(photo: Miele)

 赤いコーポレートカラーで統一された外観のブースに入ると、まず印象的なのが昨年2025年に発表されたIHクッキングヒーター「KM 8000シリーズ」とそれに対応する「M Senseクックウェア(調理器具)」だ。

 全面加熱タイプでは、調理器具を加熱面の好きな位置に置けるうえに、クックウェアにはセンサーが内蔵されていて火力を自動制御し、焦げつきや吹きこぼれを防いでくれる。

 また、調理面から蒸気を吸い込む換気システム一体型のクッキングヒーターや、キャビネットに組み込むガラスパネルフードも披露された。

IHクッキングヒーター「KM 8000シリーズ」と「M Senseクックウェア」。内蔵センサーを用いて温度と火力を制御し、調理をサ ポートする。(photo: Miele)
IHクッキングヒーター「KM 8000シリーズ」と「M Senseクックウェア」。内蔵センサーを用いて温度と火力を制御し、調理をサ ポートする。(photo: Miele)

AIが専属シェフのようにあなたをサポート!

 さらに家電と連携するスマートフォン用の「Miele」アプリ内に新しく導入されたAI搭載アシスタント「CulinaryCoach(カリナリー コーチ 料理コーチという意味)」が、使う人の好みや調理スキルに応じて料理を提案し、調理に関する質問に応えるほか、対応するオーブンに適切な設定を送信するなど、調理をサポートしてくれる。

Mieleアプリ内のAIアシスタント「CulinaryCoach」。好みや調理経験に応じた提案で、日々の料理をサポートする。(photo: Miele)
Mieleアプリ内のAIアシスタント「CulinaryCoach」。好みや調理経験に応じた提案で、日々の料理をサポートする。(photo: Miele)

 またこれ以外にも、プロフェッショナルレベルのスチーム調理ができる新型のスチームドロワー(スチームクッカー)も発表された。

 電子レンジ機能付きオーブンと組み合わせることで、標準的な高さ60cmの設置スペースに、「焼く」「温める」「蒸す」の3つの調理が可能となる。

調理と庫内洗浄を紹介するオーブンの展示。壁面にも、自ら調 理し洗浄する機能を訴求するメッセージが掲げられていた。(
調理と庫内洗浄を紹介するオーブンの展示。壁面にも、自ら調 理し洗浄する機能を訴求するメッセージが掲げられていた。(

 設計・製造段階から「20年間の使用を想定した製品づくり」と、それを支える「修理のしやすさ」、「修理&部品の長期に渡る保有体制」などで、時代が求めるサステナビリティをどこよりも実現しているミーレの家電の価値と魅力は、戦争などが原因でエネルギーやレアメタルなどさまざまな資源の獲得競争が激化した世界で、かつてない注目を浴びている。

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渋谷ヤスヒト
渋谷ヤスヒト
時計&モノジャーナリスト、編集者
1962年生まれ。文芸編集者を経て、モノ情報誌や時計専門誌の副編集長を務めた後、時計ジャーナリストとして独立。現在はライター、フリー編集者として多方面で活動。特筆すべきは1995年から一度も欠かすことなく続けているスイスの時計フェアや世界各国のブランド取材。30年以上のキャリアに裏打ちされた業界VIPとの信頼関係を活かし、業界全体を俯瞰した独自の記事を執筆する。また時計に留まらず、モノ情報誌の編集者時代のネットワークと知識でIT機器、自動車、家電、食品など、「モノ作り」の現場を幅広く網羅。完成品から下請け企業まで一貫して追いかけ、「人が本当に幸福になれるモノとは何か」を探求し発信中。

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