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「ミラノデザインウィーク」に5日間通って感じた「デザインは生きる力だ!」【イタリア通信】

パンデミック後にミラノサローネが目指すもの

 今回残念ながら足を運べなかった、ミラノサローネ。

 昨年の春中止になったため18か月ぶりの開催となった。今年は規模を縮小し、今年1回限りの特別企画展「supersalone(スーパーサローネ)」と命名し開幕に至った。

ミラノサローネ/スーパーサローネ(C)Andrea Mariani
ミラノサローネ/スーパーサローネ(C)Andrea Mariani

 ミラノサローネの新代表である若干38歳の女性マリア・ポッロを筆頭に建築家ステファノ・ボエリ、他のメンバーが共にチームを組み、コロナ感染防止対策に沿い会場全体の構成の指揮をとった。若き建築家アンドレア・カプートの斬新なライブラリー形式の展示案が、展示会場に新鮮な空気を添えた。

 ひとつのチームが先頭に立ち、プロジェクトが進められたので、全体的に統一感があり、それが見る側への安心感にも繋がったのではないだろうか。「安心」は今、私たちには必要なことかもしれない。

 出展社は425社で8割以上がイタリア国内から、その他がイタリア国外からという。これは、海外渡航規制があったので仕方ない。6日間の入場者は113か国から6万人。約半分がバイヤーでそのうちの47%が外国人、そして1800人のジャーナリストが来場したという。

 前回の入場者数38万6000人とはかなりかけ離れるが、今回は来たくても来られなかった人が大勢いただろうから、6万人という数字はやはりミラノサローネの底力だ。この時期に開催を決定したオーガナイザー、出展を決意した企業、デザイナー、また遠く海外からミラノまで足を運んできたバイヤー、そして一般人の方、皆の「強い意志の存在」によって運営された覚悟を背負ったスーパーサローネだったのではないだろうか。緊張感の中でおこなわれたスーパーサローネは皆の心を奮い立たせ、良いものを生み、発表するという基本的な理念が蘇ったと思う。

 また、コロナと共存することにより、全てにおいて「リモート化」が進み、スーパーサローネもソーシャルネットワークに力を入れ、世界中の人が自由にいつでも見学に来られるようにデジタルプラットフォームが作られた。これでコロナ対策を施した実体験型とヴァーチャル体験型とのふたつの見学方法で新しい形のイヴェントの運営方法が確立されたのである。

 常に評価は「数字」で測られるという価値観は拭いきれないが、これからは数字に頼る評価ではなく、違う形の評価が生まれてくるのではないだろうか。「重要なのは質か数か」、それが今回のサローネで皆に投げかけられた問いではないかと思う。(資料提供:ミラノサローネPR)

●ミラノデザインウィークを終えて

 コロナで全てのイヴェントが中止になり、感動に「飢えていた」人々にとってもミラノデザインウィークは心を潤し、耕す重要な時間だったことだろう。

 何はともあれ、この時期に開催を決行したオーガナイザー、出展を決めたデザイナー、企業の方々に感謝。1週間、ミラノの街にはポジティブなエネルギーが流れていた。

 なぜ、ミラノがデザインの街と呼ばれるか。この街はデザインが暮らしの中に自然に溶け込んでいる。そんな街に暮らすミラノ人のフォルムやディテール、そしてカラーに関しての感覚が研ぎ澄まされているのは当然だろう。

 覚悟をして回った今回のフオーリサローネ。それでもまだまだ見足りないところが数多くあるので残念さが残る。その場に行き、自分の目で見て感じること、その空間に流れているエネルギーを感じ、感動する度に自分の中でも何かが動き始める。

 クリエーターたちもここミラノに来て、見て、聞いて、触って、何かを感じ、その刺激がこれからの活動に拍車がかかるのではないだろうか。

 来年のミラノサローネの日程は、2022年4月5日から10日と決まった。それに伴い、フオーリサローネも動き出す。今回の開催を経て、これからは新しい価値観のデザインの世界が生まれることだろう。来年はミラノサローネの60周年記念。コロナとの暮らしを経て、デザイン界がどのように変化を遂げるのか楽しみだ。

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「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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