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メルセデスのエンジンを積んだ「軍用車」の余生 スウェーデン製水陸両用車の気になる落札価格とは

スウェーデン軍のためにヘグランドが開発した連結型トレーラー「BV206」(C)The best vintage and classic cars for sale online
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メルセデス・ベンツのエンジンを搭載した軍用車

 先日、アメリカのオークションサイトで、メルセデス・ベンツのエンジンを搭載する元“軍用車”を発見しました。当該車両は、スウェーデンのメーカー・ヘグランド(Hägglunds)が1980年からデリバリーを開始した「BV206」です。

 ヘグランドは1899年、家具メーカーとしてスウェーデンで創業。1920年代にはバスやトラム、1930年代には飛行機まで手がけるメーカーへと成長しました。

 1988年には軍用車部門が売却され、クラシックカーで有名なイギリス・アルヴィスの軍用部門傘下やアメリカのユナイテッドディフェンス傘下を転々。そして現在は、スウェーデンのBAEシステム傘下に収まっています。

 BV206のBVとは、スウェーデン語で“軌道車”を意味する「Bandvagn」を短くしたもの。206という数字の由来は定かではありませんが、BV206の前身に当たるものとして、ボルボが「BV204」を製造していました。

 軌道車という響きと、コンパクトながらずんぐりしたルックスから、まさか水陸両用車だとは思いませんよね? ボディパネルはグラスファイバー製で、装軌が水をかき4.7km/hで推進できるそうです。

 そもそもBV206は、雪上やスウェーデン北部の泥炭地において、兵員と装備の輸送を前提に設計されたものです。軽い車体とゴム履帯によって低い接地圧を実現し、やわらかい雪や悪条件下の地形でも移動することができるそうです。

 搭載していたエンジンはヨーロッパ・フォード製の2.8リッターV6エンジンで、トラスミッションにはメルセデス・ベンツ製の4速ATを組み合わせていました。なお、アメリカ向けに納品されたものは、メルセデス・ベンツ製の直5ディーゼルターボエンジン(OM617型)が積まれているそうです。

 実に1万1000台以上が生産され、世界37か国以上に“納車”された実績を持っています。そもそもは軍用車ではありますが、消防や南極観測隊、レスキュー隊など幅広い分野で活躍しました。ちなみにアメリカでは“SUSV(Small Unit Support Vehicle=小部隊支援車両)”と呼ばれるジャンルに入るそうです。

●不動車ながらオークションは盛況

 そんなBV206が、つい先日、アメリカのオークションサイトに出品されていました。当該車両、搭載エンジンがメルセデス・ベンツ製ですから、アメリカ向けのものであることがうかがいしれます。

 ただし、筆者は特段、軍用車に詳しいわけではないこともあって、一体どのくらいの額で落札されるのか、見当もつきませんでした。そこで、ものの試しに日本のサイトを検索してみると、某中古車サイトに1台あるではないですか! そのプライスは1200万円。

 オークション期日の3日前、筆者がサイトをのぞいたときはたったの1万1000ドル(約147万円)までしか入札がありませんでした。というのも当該車両、燃料噴射装置がなく、圧縮も下がっていてヘッドガスケット交換が必要、という不動車だったのです。ただし、「じっくりDIYで修理する人向け」と割り切れば、破格かもしれないと思っていました。

 結果的には、不動車にもかかわらず6万500ドル(約871万円)まで競り上がりました。当初からは考えられないほどの熱気が感じられますね。

 悪路走破性に長けていて、水陸両用車で、ハードウェアは基本的に乗用車のものを流用しているため整備性も悪くないでしょう。実はBV206ってよいことづくめなのかもしれません。実用的なだけでなく、走らせる場所を確保できる人にとっては“走れる玩具”としてうってつけです。

 軍用車として生まれ、レクリエーショナルビークルとして余生を送るBV206。さすがに最初から計画されたものではないでしょうが、なんとも素敵なライフサイクルですね。

Gallery 【画像】レクリエーショナルビークルとしての余生を送るスウェーデン製水陸両用車を見る(11枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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