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6速MTも選べるFRスポーツ BMW新型「M2」はどんなクルマか? 460馬力の直列6気筒ターボが生み出す走りとは

「M4クーペ」より全長が225mm短いコンパクトクーペ

 コンパクトな2ドアクーペボディにハイパワーの直列6気筒ユニットを積み、後輪を駆動するBMW M社謹製のスポーツカーとして2015年にデビューしたBMW「M2」は、世界的に大成功を収めたといいます。

 なかでも特筆すべきは日本市場での好調ぶりで、その販売台数は世界のトップ5に入るものでした。そもそも、この国の成熟したユーザーたちが“M”の文字に対して畏敬の念を強く持っていることに加えて、そのコンパクトなサイズや、刺激的でありかつFR(フロントエンジン/リアドライブ)として扱いきれるギリギリともいえる絶妙なパフォーマンスなどが受け入れられたのでしょう。それゆえに、新型の導入を心待ちにしている方もきっと多いはずです。

ワインディングロードでの試乗で底知れないパフォーマンスを披露したBMW新型「M2」
ワインディングロードでの試乗で底知れないパフォーマンスを披露したBMW新型「M2」

 2022年秋に世界初公開され、すでに日本でもスペックや価格などが発表済みのこの新しいM2を、いよいよ試すことができました。試乗の舞台はアメリカ・アリゾナ州、フェニックス近郊の一般道です。

 写真では見ていたにもかかわらず、そこに置かれた新型M2の姿にはあらためてうれしい驚きを感じることとなりました。これまでよりも俄然、迫力が増しており、それでいてM2らしい手ごろ感のようなものも失っておらず、きっとコレは誰もが好きになるなと確信したのです。

 新型M2のベースとなっているのは当然、新しい「2シリーズ クーペ」であり、“CLAR(クラスター)アーキテクチャー”を用いたその車体は先代よりもサイズアップしています。しかしながら、こちらも気づけば随分大きくなった「M4クーペ」と比べると、それでもまだ全長は225mm短く、強い凝縮感を覚えます。

 キドニーグリルは「M3」や「M4」のように大きくはありませんが、フレームレスデザインとされることでまた違った雰囲気を醸し出しています。代わりに、大きく口を開けているのがバンパー下の開口部で、こうした機能最優先の造形はソソるところです。

 驚くことに、全幅はベース車より60mmも拡大され、1885mmにも達しています。張り出したフェンダーがすさまじい迫力を生み出していますが、もちろんそれも機能のため。そこにはフロント275/35ZR19、リア285/30ZR20という変則サイズの、いずれもワイドなタイヤ&ホイールが収められています。最近のハイパワーFR車のトレンドに則り、前輪が太めなのが特徴的です。

 それらに比べれば、リアビューは控えめと映るかもしれません。大げさなウイングなどはなく、トランクリッドにスポイラーリップが追加されているのみ。ただし、バンパー下部はディフューザー形状とされ、4本出しのマフラーエンドが大いに主張しています。

 エンジンはM3/M4ゆずりの3リッター直列6気筒ツインターボユニット。内部パーツなどもほとんど変更はないといいます。最高出力は460ps、最大トルクは550Nm。先代M2の370psから一気に90psも上乗せされています。

ワインディングロードでの試乗で底知れないパフォーマンスを披露したBMW新型「M2」
ワインディングロードでの試乗で底知れないパフォーマンスを披露したBMW新型「M2」

 このアウトプットは、こちらもデュアルクラッチ式トランスミッションから変更されたトルクコンバーターを用いた8速AT、もしくは6速MTを介して後輪に伝達されます。エンジンスペックはいずれも共通。また、4WDは潔く用意されていません。駆動系には“アクティブMディファレンシャル”、いわゆる電子制御LSDが組み合わされています。

 シャシーも当然、専用の設定となります。目を引くのは“アダプティブダンピングシステム”がついに搭載されたこと。先代M2は固定レートのサスペンションのみの設定で、乗り心地が数少ない欠点となっていただけに、これは朗報といえるでしょう。当然、土台となるボディもフロントピラーやリアピラー、ラゲッジスペース内への補強部材、フロントサブフレームへのシアパネル追加などによって強化が図られています。

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