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“プラド”のサブネームが消えた理由とは? なぜ“250系”を名乗る? トヨタ新型「ランドクルーザー」のネーミングの秘密

歴代ランドクルーザーに課せられた使命とは

 トヨタ自動車は2023年8月2日、新しい250系「ランドクルーザー」を世界で初めて公開しました。日本市場向けは特別仕様車の「ファーストエディション」を含め、2024年前半の発売が予定されています。

 そんな新型ランドクルーザーのトピックのひとつが、ポルトガル語で「平原」を意味する“プラド”というサブネームが消滅したこと。デザインやメカニズムだけでなく、ネーミングまでも一新された理由について、開発責任者に聞いてみました。

そのネーミングの変化からもシリーズ内でのポジショニングの変化がうかがえるトヨタ新型「ランドクルーザー」(250系)
そのネーミングの変化からもシリーズ内でのポジショニングの変化がうかがえるトヨタ新型「ランドクルーザー」(250系)

 トヨタのランドクルーザーは、2023年で誕生72周年を迎えた歴史あるシリーズです。コンセプトは「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」であること。それは歴代モデルすべてに課せられてきたランドクルーザーの使命でもあるのです。

 その前身であるトヨタ「ジープBJ型」は、当時の警察予備隊からの要請で1951年に開発がスタート。しかし、結果的には競合に敗れ、採用には至りませんでした。

 しかし、エンジニアたちはあきらめませんでした。開発陣は自分たちの開発力とBJ型の実力の高さを証明すべく、BJ型で富士山の登頂にチャレンジ。史上初めて、富士山の6合目(標高2700m)までクルマで到達することに成功します。

 その偉業もあって、BJ型は国家地方警察のパトカーに採用されます。「暮らしを守る」というランドクルーザーシリーズの使命が明確になった瞬間でした。

●悪路走破性は300系と同レベルにまで向上

 以降、絶え間なく進化を続けてきたランドクルーザーシリーズですが、近年のラインナップは、常に最新技術が導入され、フラッグシップとして進化する300系のステーションワゴン、高い耐久性と走破性が求められるヘビーデューティモデルの70系、そして、優れた悪路走破性をベースに扱いやすさと快適性をプラスし、人々の生活を支えるライトデューティモデル“プラド”の3車種が展開されてきました。

 今回登場した250系は、3台の中の“プラド”の後継車となるモデルです。

 エクステリアは、悪路走行時の視認性にも配慮したスクエアなランクルらしいシルエットを採用。対するインテリアは、操作性を考えてスイッチ類の形状まで吟味するなど、リアルオフローダーらしい機能性に富んだ空間に仕上げています。

 ボディサイズは、全長4925mm、全幅1980mm、全高1870mm。従来型“プラド”比で100mm長くなり、95mmワイドになり、20mm背が高くなっています。またホイールベースも、従来型“プラド”比で60mm長い2850mmとなっています。

 新しい250系は、300系と同じラダーフレーム構造を持つGA-Fプラットフォームを採用。従来モデルである“プラド”に対し、フレーム剛性が50%、車両全体の剛性は30%もアップし、悪路走破性はフラッグシップの300系と同レベルにまで向上したといいます。

 パワートレインは全5タイプを設定。仕向け地に合わせて最適なユニットを採用します。日本市場向けは、2.8リッターディーゼルターボ+8速ATと、2.7リッター自然吸気ガソリン+6速ATの導入が決定。また、シリーズ史上初となるハイブリッドも導入も検討中とのことです。

 足回りは、サスペンションの基本性能を向上させるとともに、スイッチ操作でフロントスタビライザーの状態を切り替えられる“SDM”(Stabilizer with Disconnection Mechanism)”をトヨタブランドとして初採用。オフローダーとしての性能を大幅に向上させています。

 このように、従来モデルに対して大幅な進化を遂げた250系ランドクルーザーですが、なぜ、長年親しまれてきた“プラド”というサブネームが消滅したのでしょうか?

Nextシリーズの中核モデルへと進化した250系
Gallery 【画像】名称変更がシリーズ内での立ち位置の変化を物語るトヨタ新型「ランドクルーザー」を写真で見る(35枚)
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