「ほんとにやりますからね!」傷がつかない“テギメント加工”って何!? ドイツ時計「ジン」の堅牢さに迫る【ミリタリーウォッチの世界】
●店長の私物を金属でガリガリ!
Sinn(ジン)は、ドイツを拠点とする時計ブランドであり、数多くのパイロットウォッチやダイバーズウォッチを作り続けています。
昨年にも「856.S.UTC」というモデルがドイツ軍のKSKというユニットなどに供給されるなど、その堅牢性と機能性には定評があり、プロユースの時計として高い評価を得ています。
「ドイツ軍パイロットで飛行教官でもあったヘルムート・ジンが、自らの名前をブランドに冠し、1961年にフランクフルトでパイロット用の時計を作り始めました。ジンの時計はダイバーやパイロット、GSG9(ドイツ連邦警察局特殊部隊)などのプロフェッショナルたちも強い信頼を寄せ、過酷な環境の中でその実用性の高さを実証しています」
そう話すのは、今回訪れた渋谷にある旗艦店「ジン・デポ」の店長・小出さん。店舗のYou Tubeチャンネルにも出演しており、ジンの歴史とプロダクトを知り尽くした人物です。さっそくですが、ジンが軍用時計としていかに優れているかを尋ねると、自身の時計をスッと差し出し…

「どうぞ、傷つけてもいいですよ」
とドライバーのようなものを差し出され、筆者はフリーズ。いやこれ高級時計ですよね、と尻込みしていると小出さんが、「“テギメント加工”してあるので大丈夫ですよ」と満面の笑み。
この「テギメント加工」とはジンが得意とするテクノロジーのひとつで、窒素を使用した浸炭加工を時計のケースに施すことにより鋼材の表面に炭素分子を拡散・浸透させ、焼入れして硬化させる技術のこと。
セラミックス同等以上の硬度を誇る耐傷性があり、SSケースだけでなくチタンにも施せるなど、驚異的なテクノロジーですが、わかっていても傷を入れるのが怖い。
「ほんとにやりますからね」
そう言って、ケースサイドを思いっきりガリガリ!とやってみましたが、全然傷つかない…。
こちら小出店長の私物らしく、かなり勇気が必要でしたが、たしかにケースはピカピカ。もう10年以上愛用しているとおっしゃってましたが、まるで新品のような美しさでした。
●湿気にも独自機構で対応するさまざまなテクノロジー
さらにデモンストレーションしてくれたのが、時計を湿気から守る除湿機構「Arドライテクノロジー」です。

「機械式時計のムーブメントには潤滑オイルが使われていますが、時計内部の水分がオイルを劣化させ、精度に悪影響を及ぼします。そこでジンの除湿機構として“ドライカプセル”を搭載しています」(小出さん)
このカプセルには特殊乾燥剤が充墳されており、これはケース内の水蒸気を吸収し時計ケース内の湿気を取り除くとのこと。ケースサイドに見えるカプセルの色がライトブルーからネイビーブルーに変わることで、時計内部の湿度を示すとのこと。
これは交換可能になっており、オーバーホールの際は自動的に交換されるそうです。
他にも80,000A/mの高い耐磁性能を誇る「マグネチック・フィールド・プロテクション」の仕組みなども解説いただき、ジンの高い技術力を体感できました。
「最近はYou Tubeの影響なのか、実際にお店を訪れても最初からフランクな方が多いんです」と小出さん。
動画やSNSなどを使った独特な広告戦略をとるジンならではのファンマーケティングなのか、たしかにYou Tubeの和やかな雰囲気を見てから訪問するのは、ユーザーにとっても安心できるはず。質実剛健なモノづくりで着実にファンを増やし続けるジンは、コロナ禍においても売り上げを伸ばしてきたとのこと。
ミリタリーウォッチとしての堅牢性と、ユーザーとの距離感を大切にするジンの面白さから今後も目が離せません。
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