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フロントグリルのないクルマはなぜ増えた? 新しさの象徴!? ブランドの“顔”となるグリルの意味とは

プレミアムブランドにとって重要な役割を持つフロントグリル

 フロントグリルは、クルマのデザインにもっとも大きく影響を与える要素のひとつです。

 たとえば、レクサスの「スピンドルグリル」やBMWの「キドニーグリル」は、そのブランドのイメージを形成するうえで欠かせない存在となっています。

2023年8月に日本で発表されたボルボのコンパクトSUV新型「EX30」。フロントグリルのないデザインだ
2023年8月に日本で発表されたボルボのコンパクトSUV新型「EX30」。フロントグリルのないデザインだ

 ただ、フロントグリルのデザインコンセプトを統一することの重要性が指摘されるようになったのは比較的最近のことです。

 そこにはさまざまな事情によって、それ以外の部分で差別化を図ることが難しくなっているという背景があります。

 クルマの基本機能は、言うまでもなく「走る・曲がる・止まる」ですが、近年のほぼすべてのクルマは、この点において実用上問題のないレベルにまで進化しています。

 もちろん、ここでいう「実用上問題のないレベル」とはあくまで「高速道路を必要十分なスピードで走ることができる」などといった意味であり、各ブランドで微妙な味付けの違いがあることは事実です。

 ただ、そのブランドのクルマでなければできないことがあるということはほとんどなく、その意味で機能上の差別化が難しくなっています。

 基本機能の部分で各ブランドのクルマの違いが見えづらくなっているなか、エクステリアデザインはほかのブランドのクルマと明確に差別化を図ることのできる数少ない部分です。

 ただ、エクステリアデザインについても、各種規制やユーザーニーズの面から極端な差別化を図りづらいのが実情です。

 そのなかで、フロントグリルだけはそうした影響をほとんど受けることなく、比較的自由にデザインすることが可能です。つまり、デザイナーに残された数少ない「フロンティア」であるということができます。

 フロントグリルのデザインをそのブランドのアイデンティティとすることで、エントリーモデルからハイエンドモデルまで連続した存在であることが伝わり、そのモデル単体ではなくそのブランド全体のファンになってもらうことができるようになります。

BMW「I7」。BEV(電気自動車)だがフロントには巨大なキドニーグリルを採用。ただしデザインのみで風は通さない
BMW「I7」。BEV(電気自動車)だがフロントには巨大なキドニーグリルを採用。ただしデザインのみで風は通さない

 ブランドのファンになってもらえれば、その時々のライフスタイルによってどのモデルを選ぶかの違いはあれど、そのブランドと長い関係を築いていくことができます。

 クルマの基本機能が成熟した現在、そうした関係構築こそがプレミアムブランドに求められており、フロントグリルのデザインはそこに対して非常に重要な役割を持っています。

Nextフロントグリルがないモデルが増えた理由は「BEV」にある
Gallery 【画像】昔から存在していた! 有名な“フロントグリルのないクルマ”を画像で見る(45枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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