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かつては世界中で無数に存在したのに今や激減!? 数々の歴史的名車を生み出した“コーチビルダー”って何?

自動車の歴史に深く関わる「コーチビルダー」

 欧米の自動車の歴史を語るうえで、欠かすことの出来ない存在と言えるのが「コーチビルダー」です。

 たとえば、フェラーリであればピニンファリーナやスカリエッティ、ロールス・ロイスやベントレーであればマリナー・パークウォードやジェームス・ヤングといったコーチビルダーたちと深く関わっていました。

 最盛期には数百を超えるコーチビルダーが存在していたとされますが、彼らはいったい何者なのでしょうか?

1969年に誕生したGT-Rと、1968年に創業したイタリアのカロッツェリア「イタルデザイン社」の50周年を記念して、2021年に世界限定50台で登場した「GT-R50 by イタルデザイン」。消費税込みの車両価格は1億4530万5600円(当時)
1969年に誕生したGT-Rと、1968年に創業したイタリアのカロッツェリア「イタルデザイン社」の50周年を記念して、2021年に世界限定50台で登場した「GT-R50 by イタルデザイン」。消費税込みの車両価格は1億4530万5600円(当時)

 コーチビルダーの「コーチ」とは、イギリス英語で馬車のことを指します。

 自動車が普及する以前には、富裕層の移動手段は豪華な馬車(=コーチ)であることが多く、イギリスなどでは高度な技術を持ったコーチ製作業者、つまりコーチビルダーが多く存在していました。

 19世紀半ば頃になると、シャシを製作する者、ボディを製作する者、外装を手掛ける者、内装を手掛ける者といったように、コーチ製作の各工程で分業化が進み、コーチビルダーは一大産業となりました。

 20世紀に入ると、欧米各国で自動車が登場するようになります。ただ、黎明期の自動車は、まずはしっかりと走ることが求められており、デザインについては現在ほど重要視されていませんでした。

 一方、1930年代に入る頃には、富裕層の移動手段として自動車が定着するようになります。

 その結果、一部の富裕層は「他人とは違うモノ」を求めるようになりました。ただ、当時の自動車メーカーのほとんどはエンジンを中心としたシャシーの製作に特化しており、内外装のデザインは不得手でした。

 そこで、一部の自動車メーカーは、かつてのコーチビルダーと手を組むことで高い性能と美しい内外装を両立した自動車を製作するようになりました。

 こうした経緯からもわかるとおり、コーチビルダーはあくまで内外装を手掛ける存在であり、エンジンやサスペンションといったクルマの基本構造に関与することは、原則としてありません。

 その反面、当時の自動車メーカーだけでは成し得ることのできなかった、工芸品のような内外装を実現できる唯一無二の存在でもありました。

 コーチビルダーは第二次世界大戦後に全盛期を迎え、イギリスやイタリア、フランスなどに無数のコーチビルダーが誕生します。

 コーチビルダーは、イタリアでは「カロッツェリア」、フランスでは「カロッスリー」などと呼ばれることもありますが、その成り立ちや役割はおおむね同じものと考えられています。

Next再び脚光が集まる「コーチビルダー」
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