“本物の掃除力”とは何か――あえて「重量と密着」を追求するミーレ Triflex HX2が投げかける問い【家電で読み解く新時代|Case.15】
コードレスは“軽さ”だけでいいのか?
今回取り上げるのは、ドイツの高級家電ブランド・ミーレが発表した新作コードレススティック掃除機「Triflex HX2」です。
コードレスは軽くて当たり前――そんな常識を覆すべく、ミーレはあえて「重量と密着」という挑戦的なアプローチを選びました。約3.6kgの重さを活かして床に吸い付き、ドイツ製モーターとVortexテクノロジーによる圧倒的な吸引力を発揮するTriflex HX2。
軽さを売りにする競合が“表面を撫でるような”清掃にとどまる一方で、ミーレは「一度で根こそぎ取り切る」清掃力を提示しているのです。

100年問い続けてきた「掃除機の答え」
ミーレが初めて掃除機を発売したのは1927年。以来、ほぼ100年にわたり、同社は掃除機開発を続けてきました。人々が本当に掃除機に求めるものは何か――その問いに対し、ミーレが出した答えは一貫しています。
「根こそぎきれいにする」、「あらゆる場所をきれいにする」という2つの原則を背骨として、掃除機を開発し続けてきたのです。
筆者自身、2017年にドイツ・ギュータースローの本社などに訪問し、共同経営者兼代表取締役であるDr.マルクス・ミーレと対話した経験があります。
併設のミュージアムには、1928年から1962年まで生産された「Melior」など、歴代掃除機が展示されていました。時代ごとに進化する機能やデザインを目の当たりにしました。
また、IFAのミーレブースを10年以上定点観測してきたことで、「Immer Besser(常により良いものを)」というブランド哲学が、単なるスローガンではなく、ものづくりの現場に息づいていることを強く実感しました。

日本市場の潮流と“本質的掃除力”への回帰
日本の掃除機市場はここ数年で大きな変化を遂げてきました。キャニスター型が主流だった時代から、今ではコードレススティックが市場の半数以上を占めています。
共働き世帯の増加や住空間の変化により、軽量化や取り回しの良さが評価されてきました。
しかし、その裏側で「軽いけれど吸引力が物足りない」「アレルギーやペットの毛に対応しきれない」という声も増えています。
利便性だけでは満たされない“本物の掃除力”へのニーズが、静かに、しかし確実に高まっているのです。

Triflex HX2の哲学――重さは高性能の証
Triflex HX2の本質は「重さ」です。この重量が床にしっかりと密着し、フローリングの溝やカーペットの奥に潜む細かなホコリをも逃しません。
これは単なる物理的な重みではなく、掃除力の裏付けであり、掃除機開発に100年近く費やしてきたミーレの哲学を最新のコードレススティック型に移植した証でもあります。
「重くないですか?」と問われれば、ミーレ・ジャパンのマーケティング部カテゴリーマネージメントマネージャー佐村由紀子氏はこう答えます。
「その重さこそが高性能の証です。床に密着するから、見えないゴミまで確実に取れるのです」。そして、「軽快さを追求するあまり、結局は何度も往復しなければならない掃除機と、一度で仕上げてしまう掃除機。どちらが本物の掃除力を有するかは自明で、掃除後の床を見てもらえれば一目瞭然です」と。

プロが語る「密着清掃」のリアリティとは?
実際、筆者は2年前に訪問した世界最大の家電見本市「IFA」のミーレブースや、日本では発表会開催以前の識者限定で開催されたトライアル会に参加して、Triflex HX2にこれまで何度か触れてきています。
そこでは筆者以外の有識者たちの声も取材していますが、まさに多くの掃除機を使っているプロの目線からも、Triflex HX2はかなり評価されていることがわかりました。
「フローリングの溝から目に見えないゴミまでごっそり取れて驚いた」、「カーペット掃除で掻き出し感が段違い。これならダニやペットの毛も安心できる」、「吸引力が強いから、軽量モデルのように何度もこする必要がない」、「アクセサリー群が“清掃の守備範囲”を一気に広げてくれる」。
こうした声からも、Triflex HX2は“重さを武器にした密着清掃”と“アクセサリーによる多様な清掃シーン対応”の両立を果たしていることがわかりました。

20年使える投資的値をどう測る?
価格についても同様です。Triflex HX2の最上位モデルは税込約12万円前後と市場平均を大きく超えますが、十年単位で使える堅牢さとサポートを備えた製品に対し、「高いか安いか」ではなく「投資に値するかどうか」という基準で評価すべきでしょう。
ミーレは自社の家庭用機器を「20年の使用に耐える」設計思想(コードレススティック掃除機はバッテリー使用のため除く)で開発・試験すると明言しています。
掃除機カテゴリーでも、試験の一例を紹介すると、コードレススティック掃除機の床用ヘッドは約900kmの走行試験、キャニスター掃除機の筐体・キャスターは16,500回の衝撃に耐えるとしています。
さらに耐久性は物語も綴ります。ミーレは自社のユーザーストーリーで、23年使い続けられた洗濯機や、37年選手の食洗機といった実例を紹介。
中には1968年購入の洗濯機が“祖母から母へ、そして孫へと受け継がれた”エピソードも公開しています。“ドイツらしい物持ちの文化”と、修理しながら使い続けられる設計が、ブランドへのロイヤルティを高めているのです。
表面的なコストパフォーマンスではなく、長期的な満足と清掃体験の質を提供するのがミーレの哲学なのです。
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