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パネライの歴史とともに振り返る――90年代軍用時計のアーカイブを復刻したパネライ「ルミノール マリーナ ミリターレ」新作の魅力とは

軍用から民間へ。大きく舵を切った90年代のパネライを象徴するアーカイブ

 1860年の創業以来、その歴史においてイタリア海軍と深い関係性を築いてきたパネライ。名品「ルミノール」「ラジオミール」を含むパネライの時計は、同軍の軍事機密として長く門外不出とされてきました。

 その潮目が大きく変わったのは1993年。前年のバブル崩壊による世界的な経済危機への対策として、パネライは民間市場への参入を決定。

 イタリア海軍特殊潜水部隊のために開発された潜水時計からインスピレーションを得た10種類の時計を一般向けに発表します。

針とインデックスの色調が異なる“非マッチング”仕様をはじめ、蒐集家の心をくすぐるディテールが満載。文字とインデックスの字体も1993年当時のものを再現している
針とインデックスの色調が異なる“非マッチング”仕様をはじめ、蒐集家の心をくすぐるディテールが満載。文字とインデックスの字体も1993年当時のものを再現している

 同年9月10日に、イタリア海軍駆逐艦ルイジ・デュラン・デ・ラ・ペンネ艦上で行われた発表式典には、当時のイタリア海軍潜水部で最高位にあったアオスタ公アメデーオが出席するなど、そのデビューは輝かしいもの。

 中でも「ルミノール Ref.5218-201/A」と「マーレノストゥルム Ref.5218-301/A」は、パネライが軍用専門のメーカーから時計ブランドへと飛躍する第一歩となった重要なアーカイブモデルです。

 やがてパネライは1997年にヴァンドームグループ(現リシュモングループ)の傘下に入り、高級時計ブランドとして新たな道を歩んでいきます。

 こうした歴史的背景を体感できるのが、本年9月10日よりパネライ フィレンツェ本店で開幕する「時の深淵」展。創業から現在に至るまでの歩みを、書簡や技術図面、特許資料、初期カタログや写真などの貴重な資料で振り返り、パネライがどのように世界的ブランドへと進化していったのかを伝えます。

 そしてこの特別展の開幕に合わせて発表されたのが、今回ご紹介する「ルミノール マリーナ ミリターレ PAM05218」(126万5000円 消費税込)。前述の「ルミノール Ref.5218-201/A」と「マーレノストゥルム Ref.5218-301/A」の発表直後に、イタリア海軍専用品として製作・供給された「ルミノール Ref.5218-202/A」に対するオマージュを捧げた、特別なタイムピースです。

オリジナルを継承する44mm径&“非マッチング”ダイヤル

 まずケース径は44mm。このサイズはオリジナルに倣うもので、従来の軍用標準であった47mmサイズからの脱却を象徴しています。

 オリジナルモデルではPVD加工を施していたスティールケースを採用していましたが、新作ではDLCコーティングによってオリジナルのルックスを再現。

 硬度と耐摩耗性、耐腐食性を向上させるとともに、重厚なオールブラックの外装によって独特の存在感を強調します。

雰囲気を添えるストレートシェイプのカーフレザーストラップ。DLC加工を施したスティール製の台形バックルは、オリジナル同様ストラップに縫い付けられている
雰囲気を添えるストレートシェイプのカーフレザーストラップ。DLC加工を施したスティール製の台形バックルは、オリジナル同様ストラップに縫い付けられている

 また、ぜひ注目したいのがダイヤル部分。パネライのダイヤルといえばアイコニックなサンドイッチ構造が知られていますが、本作ではこれもオリジナルに倣い、溝にスーパールミノバを流した1層構造のホローダイヤルを採用しています。

 インデックスと針には本来同じグリーンのスーパールミノバが施されるはずが、1993年生産の初期モデルでは一部個体においてトリチウムとニスが化学反応を起こし、インデックスの数字がオレンジブラウンへ変化してしまいます。

 偶然が生み出した2トーンの対比は、後年コレクターズピースを象徴する“非マッチング”のディテールとして、その希少性とともに愛される結果を生み出しますが、新作「ルミノール マリーナ ミリターレ」ではキャラメル色のスーパールミノバを塗布したインデックスに、明るいトーンの針を組み合わせることで、この現象を再現しています。

 このほか時計としての機能性においては、ねじ込み式ケースバックにより実現した30気圧の防水性能を装備。

 ムーブメントには手巻きの自社製キャリバーP.6000を搭載、3日間のロングパワーリザーブとともに毎時21,600振動による安定した精度を誇ります。

 ストラップには直線的なフォルムにヴィンテージ感香るゴールデンブラウンカーフを採用、また交換用にブラックラバー製ストラップが付属するなど、実用性もしっかり配慮されています。

 パネライが長年培った軍用時計としての堅牢性と、民間時計としての洗練された意匠に、ブランドとしての大きな方向性の転換を迎えた90年代の空気感がたっぷり。コレクターならずとも思わず、惹かれる魅力的な1本です。

製品仕様
「パネライ ルミノール マリーナ ミリターレ」
・品番:PAM05218
・価格(消費税込):126万5000円
・ケースサイズ:44mm径・13.05mm厚
・ケース:DLCコーティングを施したスティール
・ストラップ:ゴールドブラウンのカーフレザーストラップ、ブラックラバーのスペアストラップ
・ダイヤル:マットブラックホローダイヤル、「MARINA MILITARE」表記、非マッチング仕様
・ムーブメント:手巻きメカニカル P.6000キャリバー
・駆動時間:3日間パワーリザーブ
・防水性能:30気圧(約300m)

Gallery 【画像】スケッチも公開!パネライ最新モデルの魅力を画像で見る(11枚)
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