本州最北のケーブルカーってどこにある? 海面下140mまで降りる“正式な鉄道” 世界でも珍しい「地下ケーブルカー」とは
津軽半島を公共交通機関だけを使って旅するには?
青森県の西側に位置する津軽半島には、世界でも珍しいケーブルカーがあります。通称「もぐら号」、正式には「青函トンネル竜飛斜坑線」がそれです。

もともとは、1961年に建設が開始され、1988年に開通した全長53.85kmという世界最長級の海底トンネル、青函トンネルの工事・保守用の斜坑(資材や人員を輸送する道)として作られたものですが、現在は「青函トンネル記念館」が運営するケーブルカーとなっています。
観光客用のアトラクション的なケーブルカーと思いきや、じつはこれ、鉄道事業法上の鉄道路線として登録されており、法律の上ではれっきとした「正式な鉄道(鋼索鉄道)」となっているのが特徴です。
そんなケーブルカーに乗るにはどうすればいいのでしょうか。今回は、青森駅から公共交通機関を使って行ってみました。
いや、レンタカーを借りれば確かにアクセスはものすごく楽です。青森駅、もしくは東北新幹線の新青森駅からは、クルマでおよそ1時間30分。国道280号線を北上し、途中県道14号、国道339号を通るルートで、「龍飛崎」を目指して運転すれば迷うことなく到着します。
確かに電車やバスを使うとなると、ちょっと不安が残るのも事実です。まずは青森駅から津軽線で北上していくのですが、そもそも津軽線の下りは1日9往復で、午前中は青森駅6時16分発、8時14分発、11時01分発の3本しかありません。
しかも津軽線は2022年に発生した豪雨災害で、現在も蟹田(かにた)駅と終点の三厩(みんまや)駅間28.8kmが運休となっており、この区間は2027年4月1日をもって廃線となることが決定しています。
生成AIに「青森駅から青函トンネル記念館に公共交通機関で行く方法を教えて」と聞くと、だいたいどのAIでも「津軽線で終点の三厩駅に行き、そこから町営バスで行く」と答えてくれるのですが、そんな理由もあり、そのルートはじつは現在、使えません。
今回は、まず8時14分青森駅発の津軽線で、蟹田駅を目指します。
ローカル線ですが、この日は平日だったこともあり車内は通学の高校生が多く、立っている人もいるくらいの混雑ぶりです。ただそれも、駅に到着していくにつれ減っていき、現在の終点、蟹田駅に着く頃には2両編成の中に20人くらいの乗客、という感じになりました。
蟹田駅から先、知っておきたいのが乗合タクシーの「わんタク」の存在です。

わんタクとは、2022年7月から実証実験で日中帯(9時から17時の間)に運行されている乗合タクシーです。
蟹田駅と龍飛埼灯台ルートを走る定時定路線型の「わんタク定時便」と、津軽エリアで発着場所と時間を選べる「わんタクフリー便」があり、使いこなすことができれば、かなり便利に津軽半島の各地を観光することができます。
ただし、夏休み期間などで観光客が多い季節は注意が必要です。わんタクはハイエースを使った乗合タクシーで、乗車定員が少なく、満席だと乗ることができません。今回も奥津軽いまべつ駅から予約なしで乗ろうとした若い2人組が、満席のために乗車することができませんでした。
わんタクは定時便もフリー便も、1週間前から電話やWEBで予約できるので、旅程が決まったら必ず予約しましょう。
津軽線で蟹田駅に8時50分に到着。旅慣れた自分は1週間前に予約をしていたので、9時ちょうどに蟹田駅を出発する、わんタク定時便の1便に乗ることができました。
わんタクの料金は、利用区間にかかわらず定額で、中学生以上は1回なんと500円。さらにマイナンバーカードを提示するだけで割引となり、200円引きの300円で乗ることができます。これは、非常にオトクな感じがします。
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