ビートルズやミック・ジャガーも愛した“ボンドカー” 60年前の「DB5ヴァンテージ」がオークションに登場 ビッカビカの「銀のアストンマーティン」とは
21台しかない左ハンドル仕様のうちの1台
2025年10月31日に米国ラスベガスで開催されるブロードアローオークションにて、1965年式アストンマーティン「DB5ヴァンテージ」が出品される予定です。
どんなクルマなのでしょうか。

1963年から1965年にかけて生産されたアストンマーティンDB5は、イタリアのカロッツェリア、ツーリング・スーパーレッジェーラでフェデリコ・フォルメンティ氏によってデザインされたモデルです。
イタリアの洗練されたスタイリングと、アストンマーティンの誇るエンジニアリングの融合こそが、この名車の真髄といえるでしょう。
DB5は、成功を収めた先代「DB4」の進化版として誕生しましたが、最大の違いはボンネットの下にありました。アルミ製ボディの中には、排気量を拡大した4リッター直列6気筒エンジンが搭載され、ZF製5速マニュアルまたはボルグワーナー製3速オートマチックが選択可能でした。滑らかで力強い加速性能は、当時としては極めて上質なものでした。
インテリアもまた贅沢の極みでした。フル・コノリーレザーの内装、リクライニングシート、ウィルトン製ウールカーペット、ツイン燃料タンク、ガーリング製ディスクブレーキ、そして15インチのクロームワイヤーホイール。これらがすべて標準装備でした。
DB5といえば、映画「007」シリーズでジェームズ・ボンドが操る「ボンドカー」として知られています。
しかし、その魅力はスクリーンの中だけにとどまらず、60年代のロック界を代表するポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、ミック・ジャガー、ロバート・プラントといったスターたちもこのDB5を所有していました。
まさに“スウィンギング・ロンドン”の象徴であり、デヴィッド・ブラウン時代のアストンマーティンがもっとも輝いた瞬間を体現する存在でした。
1964年には、ハイパフォーマンス仕様の「DB5ヴァンテージ」が登場します。生産台数はごくわずかで、エンジンは同じ排気量ながら、3連のウェーバーキャブレターと改良されたカムシャフトを採用。最高出力は321馬力にまで引き上げられました。その結果、最高速度は150マイル(約240km/h)、0-60マイル加速(約0−96km/h加速)は6秒未満という、当時としては驚異的な性能を誇り、当時最速クラスの4シーター・グランドツアラーとなりました。
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オークションに出品予定の1台は、1965年製のアストンマーティンDB5ヴァンテージで、わずか60台しか存在しないクーペのうち、左ハンドル仕様は21台のみという極めて希少な一台です。
ボディはシルバーバーチ、インテリアはブルーのコノリーレザーという典型的な組み合わせで、ZF製5速マニュアルを装備。さらにトリプルイヤー付きクロームワイヤーホイール、ノーマルエア製エアコン、ボッシュ製ラジオ、リアウィンドウヒーターなど、当時としては贅沢なオプションが備わっていました。
1965年4月30日、英国ニューポート・パグネルのアストンマーティン本社で完成したこのクルマは、米国オハイオ州在住のオーナーに納車されました。当初はシエラブルーにダークブルーの内装という仕様で、ロンドン登録のナンバー「DGY 159C」を取得。オーナーはこのクルマとともに英国各地を巡り、グランドツアラーの本来の魅力を存分に味わったと考えられています。
その後、クルマはアメリカに渡り、2012年にはニューヨークのコレクターが購入し、翌年コネチカットの老舗ヴィンテージカー販売店に渡りました。2019年に別の個人コレクターが取得し、現仕様のシルバーバーチに再塗装を含むレストアが施されました。
現在は南カリフォルニアの著名なコレクションからの出品で、レドンドビーチの名門「Fast Cars」による追加整備も実施されています。クロームやメッキ部分の輝きは美しく、Cibie製ドライビングライトや当時物のモトローラ製ラジオが装着され、オリジナルの雰囲気を見事に保っています。
ビルドシートの写しや英国モーターインダストリー・ヘリテージトラストによる認定証も付属し、エンジンとトランスミッションがマッチングナンバーであることが確認されています。
落札予想価格は85万米ドルから100万ドル(1米ドル150円換算で日本円で約1億2750万円から約1億5000万円)とされています。
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