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1週間かけて煮込んだデミグラスソースに舌鼓を打つ。上野周辺に出かけたら寄りたい「洋食 黒船亭」の味とは【何度でも行きたい町洋食#25】

明治35年創業、鳥鍋の店が最初。震災や空襲を乗り越え、40年前から洋食店に

 上野・不忍池の近くに建つ「洋食 黒船亭」。4階にある店内に入ると、大きな窓から、上野駅〜松坂屋の中央通りが一望できます。

「当店は1902(明治35)年、初代の須賀惣吉が上野公園下にて料亭『鳥鍋』をはじめたのが最初です。1917(大正6)年に現在の場所で、初代と二代目の利雄が『カフェ菊屋』を始めました。一流のコックの料理が、エプロン姿の女性にサービスされるという、大正モダンの大変おしゃれな店だったんですよ」と話すのは支配人・シェフソムリエの岡田さん。

 1945年(昭和20)年、東京大空襲で店舗が焼けたのち、喫茶店「ニッサン・ソーダファウンテン」をオープン。

 その後、映画館、本格中華料理店、化粧品・雑貨の店、婦人服店などを経て1986(昭和61)年に、三代目の光一氏が「レストラン キクヤ」を「洋食 黒船亭」としてリニューアルオープンしたとのこと。

 最初の鳥鍋の店から数えて124年の歴史があります。

洋食 黒船亭
洋食 黒船亭

「黒船亭の名前はペリーからではなく、この辺りの旧町名が黒門町なので、そこから『黒』を一文字取ったものなんですよ」

 料理について聞いてみると、

「当店の料理はそれこそ、肉や魚、野菜などの食材は現地に行くなどして吟味したものを用い、ほぼ全てが一から手作りです。

 デミグラスソースやベシャメルソース、サラダのドレッシングなど全て。いいものを、昔ながらのやり方で丁寧に作っているので、当然そこそこのお値段になってしまう。

 でもその値段を出すだけの価値がある、全てに手間と時間と愛情をかけた料理なんです」

 こだわり抜いた食材を用い、時間をかけて丁寧に作り上げた料理の数々。洋食 黒船亭のおすすめ料理を紹介します。

洋食 黒船亭の看板メニューといえばこれ!「ビーフシチュー」

「和牛バラ肉を自家製デミグラスソースとワインのコクのあるソースで柔らかく煮込みました」

 黒船亭のこだわりといえば、やはりデミグラスソース。

「黒船亭のデミグラスソースは、1週間かけて素材をゆっくり、じっくり煮込んで漉して、また煮込んで、という作業を繰り返しながらお作りしています。代々受け継がれてきた伝統の味を是非楽しんでいただきたいですね」

ビーフシチュー4800円。肉の美味しさ、ソースの深み、全てが完璧!
ビーフシチュー4800円。肉の美味しさ、ソースの深み、全てが完璧!

 デミグラスソースを使った料理は他にも、タンシチュー、ビーフとタンのミックスシチュー、メンチカツ、ハンバーグステーキ、ハヤシライスなどがあります。

 ランチタイムにはサラダやスープ、デザート、ドリンク付きの「ハヤシライスセット」4350円も。こっちも気になります。

品のある軽やかな美味しさ。赤・黄・緑のコントラストも美しい「オムライス」

「当店のオムライスは、白いご飯を炒めて作るのではなく、ブイヨンとトマトペーストで炊き上げたのち、注文が入ってから具材を炒め、ケチャップとトマトピューレを足して仕上げたチキンライスです。具はエビとチキンですね」

オムライス2700円(Sサイズ1500円)、ランチタイムのセットは3850円
オムライス2700円(Sサイズ1500円)、ランチタイムのセットは3850円

 かかっているのはケチャップ。玉子もトロトロではなく薄焼きの、誰もが懐かしく思う見た目。ケチャップの赤、玉子の黄色、パセリの緑と色鮮やか。

 食べてみると、炊いているからなのか、炒めたチキンライスとは違い、味が一粒一粒にしっかり染み込んでいる上にくどくなく、すっきりと味わえます。

 すっきりしているけれど旨みはしっかり。とても品のある美味しさです。

様々な食感の違いも楽しい「エビとホタテのミックスグラタン」

「ベースのベシャメルソースも、デミグラスソース同様かなり手をかけて作っていますね。

 先ほども話したように、当店は食材にこだわっており、エビやホタテなど魚介類も、現地に行き吟味して仕入れております。冬季は三陸の大粒の牡蠣を使った『牡蠣のグラタン』がとても人気なんですよ」

スプーンですくうと、存在感のあるエビとペンネが。香りも一気に広がってくる
スプーンですくうと、存在感のあるエビとペンネが。香りも一気に広がってくる

 口に入れた瞬間、ふわっと広がる香りと旨み。一気に多幸感が訪れます。

 パリパリのパン粉とトロトロのホワイトソースやチーズ、プリッとしたエビにモチッとしたマカロニ。様々な食感も楽しい一皿。これは黒船亭に来たら必ず頼みたい!

 洋食の名店で作られるグラタンのクオリティはやっぱりすごい! と改めて実感します。

「いろいろな国のワインも揃っているので、料理と一緒にワインも楽しんで欲しいですね。私自身がスロベニアのワインを現地に行って選んでいます。他にブルガリアやウクライナ、ギリシャのワインなどもありますよ」

 グラスワインの場合、赤2種、白2種、スパークリング1種の軽5種からセレクト可能。

 もちろん、シェフソムリエの岡田さんが、注文した料理に合うおすすめのワインをアドバイスしてくれます。

「当店のゴハンは、新潟県南魚沼にある黒船亭の専用田んぼで収穫するコシヒカリです。ふっくら甘味のあるお米を、水にもこだわって炊いているんですよ」(三代目料理長 石出 正浩さん)
「当店のゴハンは、新潟県南魚沼にある黒船亭の専用田んぼで収穫するコシヒカリです。ふっくら甘味のあるお米を、水にもこだわって炊いているんですよ」(三代目料理長 石出 正浩さん)

 店内には絵やオブジェがさりげなく飾られています。

「当店の二代目が若い芸術家のパトロン、支援をしていた縁があり、作品の一部を店内に置いているんですよ」

 以前、某鑑定番組に出したところ、かなりの評価額になったとのこと。さすが芸術の街、上野ならではのエピソードです。

「7階には28名まで着席できる部屋があるので、パーティーや会食でのご利用もおすすめですね。10名から利用できます」

 上野公園や不忍池で桜の咲く時期になると、普段以上にお客様が多く訪れるため、3〜4月は予約をするのがおすすめ。狙い目は、午後ちょっと遅めの時間、またはやや夕食に早めの時間、とのこと。

 きっと毎年、上野で花見をして黒船亭で食事、という家族も多いんだろうなぁ。

 花見だけではなく、美術館や博物館、動物園などで楽しんだのち、ここで食事をしたくなる、全てが美味しくて素敵なお店でした。

「洋食 黒船亭」
住:東京都台東区上野2-13-13キクヤビル4F 
TEL:03-3837-1617
営:11:30〜15:30(14:30) 、17:00~21:45(21:00LO)、土日祝日11:30~21:45(21:00LO)
休:月曜(月曜祝日の場合は翌火曜休み)

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