アラブの王子に愛された「まつ毛ミウラ」をオークションで発見 わずか274台しか作られなかったランボの“元祖スーパーカー” 58年前の初期「P400」とは
後に登場したスーパーカーすべてに影響を与えた1台
2026年3月に米国フロリダ州アメリア島で開催されるブロードウェイオークション主催のオークションで、1968年式ランボルギーニ「ミウラP400」が出品される予定です。
どんなクルマなのでしょうか。
1966年、創業からわずか3年後のジュネーブショーで市販仕様が発表されたランボルギーニ「ミウラ(Lamborghini Miura)」は、自動車界に衝撃を与えました。
ベルトーネのマルチェロ・ガンディーニが手がけた未来的なボディデザインと、コクピット直後にV12エンジンを横置きで搭載するミッドシップレイアウトは、それまで主流だったフロントエンジンの常識を覆すものでした。
その造形と革新的なパッケージングはまるでレーシングカーのようであり、高性能ロードカーの歴史を書き換える存在となりました。
シャシ構造自体は、上下Aアーム式サスペンションやベンチレーテッドディスクブレーキ、ラック&ピニオン式ステアリングなど、当時のスポーツカーとしては堅実な設計でした。しかし、ジオット・ビッツァリーニ設計の3.9リッターV12エンジンを横置きミッドに搭載したことで、標準仕様でも350馬力を発揮し、最高速度174mph(約270km/h)という当時の市販車記録を達成しました。
王族や富豪、映画スターなど世界の名士たちはこぞってミウラを求め、その成功を受けてエンツォ・フェラーリもミッドシップ車の開発を急がざるを得ませんでした。操作性や居住性に独特のクセはあったものの、圧倒的なドライビング体験がそれを補って余りあるものでした。

初期型P400は1969年4月までにわずか274台のみが生産され、その後改良型が登場したものの、純粋な革新性という点では初期型が特別な存在といえます。
オークションに出品予定のシャシ番号3637は、1968年7月19日にサンタアガタ工場で完成したシリーズIIの強化シャシー車で、ビアンコの外装にロッソのレザー内装という印象的な仕様でした。
大型ホイールやKoni製ショックアブソーバー、ラジオなどを装備し、英国正規代理店を通じて納車されました。最初のオーナーは、サウジアラビアの王族であるアブドゥル・エラ王子で、リヤドとロンドンに居住していました。外交割引を受けて購入されたとされ、英国到着後はショーやテレビ番組にも登場した可能性があります。
その後、英国で登録されたのち、1980年代にはレバノンの実業家の手に渡りました。レバノン滞在中にボディへ損傷が生じ、別のミウラのパネルを用いて修復されたと考えられていますが、オリジナル部品も一部保持されています。
2005年に売却された後はクウェートへ渡り、元首相シェイク・ジャーベルのコレクションに加えられました。2018年から大規模なレストアが行われ、当初のビアンコ/ロッソ仕様へと復元されています。その後アメリカへ輸入され、現在は非常に良好な状態にあります。
シャシ番号3637は、王族による初期所有から再びアラブの名士に受け継がれた由緒ある一台です。工場記録と一致するオリジナルのV12エンジンを保持し、希少なP400の1台として高い価値を備えています。工具一式やレストア記録なども揃った、コレクターにとって魅力的な存在です。
この1968年式ランボルギーニ「ミウラ」、落札予想価格は150万ドル以上(1USドル=155円換算で、日本円で約2億3250万円以上)とされています。
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