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冷凍して押すだけで即完成! 価格上昇によりアイスも安価で手に入りずらくなった“いま” クイジナートの新作「フローズンデザートメーカー」は買いなのか?

アイスは“安いご褒美”ではなくなった。だから選び方が変わり始めた

 昔からアイスは、日常のご褒美として優秀だった。仕事帰りにひとつ、風呂上がりにひとつ。外食ほど大げさではなく、ケーキほど構える必要もない。それでいて、きちんと気分を切り替えてくれる。生活のなかに自然に入り込める嗜好品だった。

 ただ、ここ数年でその前提は少しずつ揺らいでいる。価格の上昇はもちろんだが、それ以上に大きいのは、「何を食べているのか」を以前より気にする人が増えたことだ。

 特に子育て世帯では、子どもに食べさせるなら原材料は見ておきたいという感覚が当たり前になった。一方で大人も、健康を意識しながら甘いものを楽しみたいという気持ちを持っている。

 つまり今のアイスには、価格と満足感だけでなく、安心感まで求められるようになってきている。

 ここに、いまの時代らしさがある。単に「モノが高くなった」では終わらない。高くなったからこそ、人はより納得できる消費を求め始める。アイスも例外ではない。だからこそ、家庭で作るという選択肢に、以前とは違うリアリティが生まれてきた。

本体ユニット、本体ハンドル、デザートカップを並べたクイジナート「ICE-FD10J」
本体ユニット、本体ハンドル、デザートカップを並べたクイジナート「ICE-FD10J」

手作りアイスの価値は、節約ではなく“選べること”に移っている

 家庭でアイスを作る、と聞くと、少し前までは「子どもが喜ぶイベント」か「ちょっとした節約術」くらいの印象だったかもしれない。実際、そうした側面は今でもある。だが、今回のクイジナートの新作を見ていると、そこに別の価値がはっきり乗ってきているのを感じる。

 フローズンデザートメーカー ICE-FD10Jは、材料をカップに入れて24時間以上冷凍し、食べたい時に本体を装着して仕上げる仕組みの製品だ。

 アイスクリーム、シャーベット、ミックスイン、ミルクシェイク、スラッシーの5モードを搭載し、付属の3つのカップで複数の味を仕込んでおける。ここだけ聞くと、確かに「アイスメーカー」なのだが、この製品の本質はそこではない。

 ポイントは、自分で選んだ材料を、自分のタイミングで、最後に仕上げられることだ。つまり、完成品を買うのではなく、半歩手前の状態を冷凍庫に持っておける。今日はバニラ、明日はフルーツシャーベット、ある日はチョコにナッツを足してミックスイン。選べることそのものが、体験になる。

 多くの調理家電は「手間をなくす」方向に進化してきた。もちろんそれは正しい。しかし今、生活者が本当に求めているのは、単なる時短だけではない。

 全部お任せではなく、“自分の好みを反映できる余白”も残してほしいのだ。ICE-FD10Jはそこを押さえている。作業自体はシンプルだが、味づくりの主導権はユーザーに残っている。この距離感がちょうどいい。

冷凍しておいたカップに本体を装着し、上から押し込むようにして仕上げていく
冷凍しておいたカップに本体を装着し、上から押し込むようにして仕上げていく

“安心素材”と“ご褒美感”は、なぜ両立しにくかったのか

 健康志向のデザートというと、どこかで「我慢の延長」のような空気がつきまとうことがある。甘さ控えめ、脂質控えめ、カロリー控えめ。確かに体にはやさしいかもしれないが、食べた時の高揚感まで薄くなってしまうと、続かない。

 逆に濃厚さや贅沢感を求めると、今度は原材料や糖分が気になる。このねじれは、多くの人が薄々感じているはずだ。

 今回の製品が面白いのは、そのねじれに対して「中間を作る」発想を持っていることだ。発表会でも印象的だったのは、市販品ではなく、自分で選んだ材料で作りたいというニーズを前提にしていた点である。

 つまりクイジナート自身が、この製品を“家庭内で素材と満足感のバランスを取り直す道具”として見ている。

果実感のあるシャーベットがカップの上までふんわり立ち上がった状態
果実感のあるシャーベットがカップの上までふんわり立ち上がった状態

 もっとも、誤解してはいけない点もある。この製品は、何でも好き放題に凍らせればうまくいくわけではない。メーカー担当者の実演でも説明があったが、糖分は一定程度必要だ。

 糖分がないと固くなりすぎて、攪拌するための刃が入りにくくなるため、練乳やシロップ類が推奨されている。つまり「完全無糖の夢のアイスメーカー」ではない。だが、ここが逆に重要でもある。

 健康志向とは、ゼロか百かではないのだ。全部を削ぎ落とすことではなく、どこを残し、どこを調整するかを自分で決めること。それが本来の意味に近い。

 この製品は、その判断をユーザー側に返してくれる。甘さを少し抑えることもできるし、牛乳やフルーツの比率を変えて、自分なりの着地点を探ることもできる。安心素材とご褒美感は、完全に相反するものではない。家庭のなかで再編集できるものなのだと教えてくれる。

本体上部には、アイスクリーム、シャーベット、ミルクシェイクなどのモードがアイコンで示されている
本体上部には、アイスクリーム、シャーベット、ミルクシェイクなどのモードがアイコンで示されている

家族向け家電に見えて、実は“大人の余白”もきちんと残している

 こうした製品は、どうしても「子どもと一緒に楽しむ家電」として語られがちだ。もちろんそれは間違っていない。

 材料を選びながら一緒に作る時間は、家庭内の小さなイベントになるし、子どもが自分の好きな味を選ぶ楽しさもある。アイスが高級化している時代に、家族で共有できるデザート体験として成立するのも確かだ。

 ただ、発表会で感じたのは、それだけではないということだった。たとえばミックスインでナッツやクッキーを加えたり、シャーベットやスラッシーで少し大人向けのアレンジを考えたりする余地がある。単なる“子どものための製品”ではなく、大人が自分の嗜好を持ち込める設計になっているのだ。

 この「大人の余白」は大事だと思う。家電の価値は家族のためだけでは決まらない。自分自身がどう心地よく使えるか、どう気分を上げてくれるかが重要になる。ICE-FD10Jは、家族との共有と、自分のご褒美時間の両方にまたがれる。そこが単なるファミリー家電では終わらない理由だ。

 

チョコレートベースにナッツを加えるミックスインの実演シーン
チョコレートベースにナッツを加えるミックスインの実演シーン

いま欲しいのは、“安さ”より“納得感”をくれる家電だ

 時代が不安定になるほど、人は小さな満足の質に敏感になる。派手な贅沢ではなくてもいい。ただ、自分が選んだと胸を張れるものにお金や時間を使いたい。

 起業家として事業や商品を見ていると、その感覚は年々強くなっていると感じる。価格競争の時代から、意味競争の時代へ。ユーザーが本当に買っているのは、機能そのものではなく、その機能が自分の生活にどう効くかという“理由”なのだ。

 その意味で、クイジナートのフローズンデザートメーカー ICE-FD10Jは、今の空気をよく映している。これは「アイスを家で作れる」という話では終わらない。高くなった既製品をただ置き換える製品でもない。

 自分や家族にとってちょうどいい甘さや素材を選びながら、それでもきちんと満たされるご褒美を作る。そのための家電だ。

紙カップに盛られたスラッシー系のアップルソルト
紙カップに盛られたスラッシー系のアップルソルト

 安心のためにおいしさを我慢するのでもない。満足のために後ろめたさを飲み込むのでもない。その中間を、家庭で実装するための道具。そう捉えると、この製品は単なる新作キッチン家電ではなく、いまの生活者の気分にかなり正確に寄り添った一台に見えてくる。

 アイスは、もう安いご褒美ではない。だからこそ、家で作る意味が出てきた。その意味とは節約だけではなく、納得感のある甘さを自分の手に取り戻すことなのだ。クイジナートの新作は、その入口としてかなり魅力的に映った。

●製品概要
クイジナート フローズンデザートメーカー ICE-FD10J
価格:オープン価格
実勢価格:1万7930円(税込)前後 ※編集部調べ
発売予定:2026年4月下旬
モード:アイスクリーム/シャーベット/ミックスイン/ミルクシェイク/スラッシー
本体サイズ:約幅110×奥行110×高さ415mm
質量:約1.6kg
コード長:約1.5m
付属品:デザートカップ3個、オリジナルレシピ

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「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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